第10章 もうひとつの高次脳システムの出現︱鳥類の脳

 鳥類は陸生の脊椎動物の中でも、豊富な種のヴァリエーションを持ち、適応放散に成功したグループと言えるだろう。その証に種数はおよそ1万種にものぼる。生息域は広く、砂漠や極地、高山帯や海洋にまでに及んでいる。鳥類のこうした繁栄の要因が、その飛翔行動にあるということは想像に難くない(飛ばない鳥もいるが)。それだけではない。優れた視覚や聴覚による外界の認知や複雑なコミュニケーション、巣作りや道具作成に見られるような精巧な運動能力も、鳥類の繁栄に大きく寄与していると思われる。なぜ鳥類は、このような複雑な行動や認知を持っているのだろうか? その疑問を解くカギは鳥類が持つ「大きな脳」にある。鳥類の大脳は哺乳類と並んで大きい。しかし、哺乳類とは独立な進化を経て現在の形にいたっている。いわば、私たちヒトなどとは異なる「もうひとつの高次脳システム」なのである。
本章では、鳥類の脳、特に高次の働きを司る大脳について、その構造と発生、および複雑な認知機能などについて解説していく。

鳥類とは

 まずは鳥類の分類学上の位置づけを簡単に整理する。約3億5000万年前に、哺乳類・爬虫類・鳥類などを含むグループの祖先にあたる原始羊膜類から竜弓類が分岐した。竜弓類は、爬虫類と、既に絶滅した中竜類を含むグループである。鳥類は、その竜弓類を構成する主竜類というグループに含まれる。なお主竜類には鳥類に加え、爬虫類の一部であるワニ類も含まれていることから、鳥類とワニ類は系統的に近いことが知られている。図1の系統分岐を鳥類から過去にさかのぼれば、その分岐は竜盤類、さらには鳥盤類という「恐竜」の系統と繋がる。そう、鳥は恐竜なのである。

図1.現生鳥類へ至る系統樹。系統分岐を順にたどれば、鳥類が恐竜のいわば“分派”であることがわかる。鳥類と哺乳類は3億年以上前に分岐し、互いに異なる進化の道を歩みながらも、両者には同じような大脳の大型化が生じている。

 鳥が恐竜だと聞いて驚く人は今や少数派であろう。1990年代後半まで、鳥の祖先は始祖鳥(Archaeopteryx)とされていた。というのも、始祖鳥をさらにさかのぼることができる化石資料はなかったためだ。恐竜は一部の爬虫類と系統的に繋がるという理解は定着していたが、鳥類とは全く繋がっていなかった。しかし、アメリカの古生物学者ジョン・オストロム博士が小型の肉食恐竜ディノニクス(Deinonychus)を研究する中で、その骨格が鳥と類似していることに気づき、鳥の恐竜起源説を提唱したのが70年代である。1996年に発見されたシノサウロプテリクス(Sinosauropteryx)の化石から、恐竜に羽毛があることが判明したことで、鳥の恐竜起源説が裏付けられる契機となった。その後、羽毛の生えた恐竜の化石が次々と見つかり研究が進んだことで、今日では鳥の祖先が恐竜であることに疑いの余地はほとんどない。ちなみに、シノサウロプテクスは、中国表記で中華竜鳥と名付けられているが、もちろん鳥ではなく恐竜である。誤って名付けられたのである。このことは、発見当時、羽毛=鳥という見方がどれほど根強い定説であったかということを物語っている。

大脳皮質のない鳥の脳︱Bird brain?

 俗に英語で「bird brain」と言うと、さながら「間抜け」のような意味である。しかし近年の神経解剖学や動物心理学、動物行動学といった多方面の研究から言えることは、少なくとも鳥類の脳は「bird brain」ではない。では、なぜそう言えるのであろうか?
そのことを確認するのに、まず鳥類の大脳、特に背中の側(背側部)を見てみよう。そこでは脳が外に大きく張り出しているのが見て取れる(図2)。魚類や爬虫類、両生類と比べれば、鳥類が哺乳類と同じように大きな大脳を持つことがよくわかる。なかでもカラスは、非常に大きな大脳を持っている(図3A)。ところが鳥類の大きな脳には、ヒトなどでは高次認知機能を司る大脳「皮質」がない。

図2.様々な分類群における脳の外観。濃いグレー部分が大脳。鳥類と哺乳類は、脳全体に対して大脳が大きいことがわかる。

 1900年代初頭、鳥類の脳を最初に調べたドイツの解剖学者ルードビッヒ・エディンガーらは、鳥類の大脳には哺乳類の大脳の背側部に見られる層構造、つまり大脳皮質がないことに気づいた。鳥の脳切片を観察すると、細胞が集合している合間を縫うように境界線が走っている。鳥の大脳では、細胞が層に分かれて配列されているのではなく、細胞がぎっしり詰まっていて、それらが境界線によって区切られることで領域が形成されている。このような細胞が充填された構造は、哺乳類の大脳では背側部ではなく、腹側部にある大脳基底核(線条体)に見られる特徴である。それゆえエディンガーらは、充填構造をしている鳥類の大脳は哺乳類の大脳基底核(線条体)が大型化したものであると考え、鳥類の大脳の各部位を、高線条体や新線条体のように、「○○線条体」と名付けた。
さらに当時は、脳の深い部分にある部位は「古く」、原始的な「本能」を司り、複雑な認知や行動は脳の表層部にある大脳皮質が司るという理解が主流であった。このような脳に関する当時の誤った考えも相まって、鳥類の大きな大脳は「本能を司る」基底核が大型化したにすぎないと理解されたのである。もっと言えば、大脳皮質のない鳥類の大脳は哺乳類と比べ劣った脳、と考えられてきたわけである。
もちろんそのような理解はいくつもの点で誤りがある。そもそも劣った脳、優れた脳という見方が生物学的に意味をなさないのは当然である。それに加え、今や、カラスの道具作りや数の概念など、哺乳類では大脳皮質が司っているような複雑な行動を、鳥類の脳も生み出せることを示す研究が次々と報告されている。そのような鳥の複雑な認知機能の解明と並行して、比較神経解剖学の研究知見も蓄積されていく中で、「鳥類の大脳=大きな基底核(線条体)」という理解が誤りであることが次第に明らかになっていった。

図3.A:ハトとカラスの脳の外形、B〜D:脳断面の模式図

 脳や脊髄の原基となるのが神経管である。その神経管の中で、最も先端の部分が膨らんだ部分を終脳胞と言い、後の大脳となる。終脳の背側の部分を外套と呼び、哺乳類の場合は大脳皮質となり、鳥類の場合は大脳の背側部となることがわかった。つまり哺乳類の大脳と鳥の大脳背側部は相同であることを示す結果が次々と報告されたのである。例えば、脊椎動物の外套に共通して発現する遺伝子(Pax-6やEmx-1、Tbr-1)が、鳥類の大脳背側部にも同様に発現することが確認された。同様に、外套で興奮性ニューロンに関連する遺伝子(VGluT1やmGluR2)も、鳥類の大脳背側部で豊富に発現することが確認されたのである。このような分子生物学的な研究からも、脳領域間の神経連絡を調べた研究からも、鳥類の大脳背側部は大脳基底核である、というエディンガー以来の鳥類脳に対する理解が誤りであることが判明したのである。このような経緯を経て、鳥類の大脳背側部は独自の充填構造をした外套である、という理解にいたった。
2005年、エディンガーらが命名した鳥類の脳部位名の全面的な改定が行なわれ、大脳背側部の各部位の名称は高外套や巣外套などのように、「○○外套」と修正された。2005年頃を境に、鳥類の脳に関する論文では、同じ脳部位に対して異なる表記がなされているが、その理由にはここで述べた経緯がある。
鳥類も哺乳類と同様に、その進化において外套を大型化させたのである。とはいえ、鳥類の外套が哺乳類の大脳皮質とは異なる構造を持つことは事実である。6層からなる大脳皮質では、領野を問わず一貫した接続の仕組みが保たれている。末梢からの感覚入力が第4層へ入り、運動出力は第5ないしは第6層から出ていく、といった仕組みである。この一貫した仕組みが、大脳皮質の情報処理に秩序と柔軟性をもたらす重要なインフラとなっている。
興味深いことに、似たような接続の仕組みが鳥類の外套にも見られる。例えば、鳥の視床の視覚領域から感覚情報の入力を受け取る内外套には、哺乳類の大脳皮質の第4層に特異的に発現する遺伝子(例えばEag2、Rorβ)が同じように発現することが確認されている。このことから、鳥の内外套と哺乳類の大脳皮質第4層との相同性が指摘されている。中脳や脳幹への出力を持つ鳥の高外套でも、哺乳類の第5層特異的な遺伝子(例えばCitp2、Er81、Fezf2など)の発現が確認されており、その相同性が指摘されている。
このように、遺伝子発現と神経連絡の両面から、鳥類の外套の各部位と哺乳類の大脳皮質の特定層との相同性を認めることができそうである。とはいえ、遺伝子発現と神経連絡が必ずしも対応がつかない部位もあり、鳥類の外套と哺乳類の大脳皮質との相同性は、情報処理の流れを反映する神経連絡とは、必ずしも一致するものではなさそうである。それでもなお重要なのは、層構造のない鳥類の外套が、これから紹介する大変興味深い行動を生み出すことに成功していることである。高度な認知・行動の進化には、大脳「皮質」は必ずしも必要ではないのである。

大きな外套の発生メカニズム

 鳥類の大脳が大きくなった構造的な要因は、背側脳室稜(DVR)と呼ばれる領域の大型化にある。DVRは爬虫類および鳥類の大脳において発達した領域で、複数の神経核から構成される(第9章参照)。鳥類のDVRについては、神経接続に関する研究が多くなされており、視床から視覚や聴覚、体性感覚などの感覚情報の入力を受けることがわかっている。それゆえ、哺乳類で言えば大脳皮質の1次感覚野から連合野に相当する機能を持つと考えられている。実際に複数の研究によって、鳥類のDVRが単一および複数の感覚情報処理を担うことが確認されている。
しかし、興味深いことに、発生学的には、鳥類のDVRは哺乳類の大脳皮質と相同ではない。むしろ、哺乳類大脳において、情動や記憶で重要な役割をもつ扁桃体を形成している細胞群との相同性が高いのである。脳の進化において、情報処理機能の獲得とそこに用いられる細胞群の発生由来との関係は、私たちが考えている以上に場当たり的であったのだろう。
外套に視点を戻すと、その大型化を導く発生学的メカニズムはいまだ解明されていないが、その解明の糸口は徐々に見えつつある。脳の発生過程における大脳の大きさの調節には、哺乳類、爬虫類、鳥類に共通して、脳室下帯(SVZ)という脳室の中の一領域が関係している。そこでの神経細胞の増加を調節する機能が重要な役割をもつことが明らかになっている。特に、霊長類の大脳皮質の発生過程において、基底前駆細胞が多いという特徴がみられることから、これらの前駆細胞が大脳皮質の大型化に関与していることが示唆されている。
一方で、ニワトリの外套の発生過程においても基底前駆細胞が見いだされており、外套の大型化に関与している可能性が考えられるが、哺乳類の基底前駆細胞との違いもわかっている。さらに興味深いとことに、基底前駆細胞はカメの外套には存在するが、ヤモリやワニには存在しないことも判明している。これらのことを踏まえると、鳥類の外套の大型化は、哺乳類と同様に基底前駆細胞が重要な役割を果たすのであるが、その発生メカニズムは独立に進化したと考えられる。
以下では鳥類の学習・記憶、運動制御や認知機能における脳の機能について、DVRの役割を中心に紹介していくことにする。

刷り込み

 アヒルやニワトリは生まれてすぐに歩いたり食べたりすることができる。こういった特性を早成性という。動物がある特定の時期に物事を短時間で覚え、それが長期間にわたって保持される刷り込みという現象は、こういった早成性鳥類の雛鳥に見られる学習の仕方である。この現象自体はかなり古くから知られていたが、それを動物行動科学として確立したのはコンラット・ローレンツであろう。彼を後ろから追いかけて歩くハイイロガンの写真をご覧になったことのある方も多いのではないだろうか。
卵から孵ったばかりの雛鳥は、孵化直後の数時間~数十時間の期間に自らが晒されたものに対して強い嗜好性が生じるとともに記憶する。ごく自然な状況では、刷り込みの対象は自ずと親鳥となるが、実験的に環境を操作することで、玩具や空き缶など非生物に対しても生じる。逆に、この十数時間の期間を逃すと、何に晒しても刷り込みは全く生じない。このように、刷り込みは生後のごく限られた期間に強く生じる学習であり、この期間のことを臨界期(あるいは感受性期)とよぶ。
刷り込みは主には視覚性の学習であり、中外套の内側部(Intermediate medial mesopallium、IMM)が強く関与している。刷り込み学習後のニワトリ雛(ヒヨコ: Gallus domesticus)のIMM領域に非常に細い金属ワイヤーを埋め込み、実際に刷り込みを施され、刷り込み物体を追っている間のヒヨコのIMM領域のニューロンの活動を調べると、強い応答が見られる(活動電位の生起頻度が高くなる)。もちろん、同じヒヨコに、刷り込み物体ではない物体を提示しても、ヒヨコはそれを追っかけないし、IMM領域のニューロンも応答しない。さらに、刷り込み直後のヒヨコのIMM領域には、シナプス可塑性の標識分子として用いられる最初期遺伝子c-fosタンパクやNMDA受容体の発現が上昇することも判明しており、IMM領域では神経回路の柔軟(可塑的)な変化が生じていると考えられている。
一方で、IMM領域の化学的な局所破壊、あるいは神経阻害剤の投与よる一過的な不活性化によって、刷り込み学習が阻害されることも明らかになっている。
これら多くの研究からIMM領域が刷り込みに重要な役割を果たすことが明らかになっているが、刷り込み物体を他の物体と識別する知覚・認知の面において重要なのか、あるいは刷り込み物体への嗜好という情動的な側面において重要なのかは明らかになっていない。
近年の研究において、刷り込み物体への嗜好を追従運動量(刷り込み物体を追いかけた総距離)として計測し、その際のIMM領域の神経活動をc-fosタンパクを指標として定量分析した結果、神経活動量と追従運動量とが対応することが報告されている。認識と情動を二分したメカニズムの理解の妥当性についても議論が必要であるが、IMM領域は刷り込み物体への嗜好性という情動的な側面に関与していると考えられる。

小鳥のさえずり

 鳥と言えば羽の美しさもさることながら、小鳥のさえずりも実に心地いい。さえずりの音色を楽しむために、小鳥は古くからペットとして飼われてきたほどである。もちろん、小鳥のさえずりは私たち人間を魅了するための行動ではなく、典型的にはオスによるメスへの求愛行動である。
さえずり(以下では歌〔song〕と呼ぶ)は、数秒から数十秒にわたる音素系列の発声行動であり、周波数と時間(数十ミリ秒~数秒)の異なる複数の音素が順序立って配列される(図5)。学習を要することなく孵化後の成長とともに発声するシンプルな「地鳴き」と呼ばれる音声とは対照的に、歌は、典型的にはオス親の歌を聞き、その真似を繰り返しながら数十日かけてようやく定着する学習性の行動である。このような歌行動は、鳥類の中でもスズメ目、ハチドリ目、オウム目の3つの系統においてのみ進化した。

図5. キンカチョウの歌をソナグラムで表したもの。黒またはグレーの模様が音声(音素)。ごく短い時間内に、複数の音素が順に並んだ構造をしている。同じ個体は常に同じ歌を発し、個体が違うと歌も違う。

 これらの鳥の脳には、歌を学習し歌うための特殊な神経回路が備わっている。歌の神経回路は役割の異なるふたつの回路から構成される。ひとつは、歌を学習するための迂回投射系と呼ばれる回路、もうひとつは、複雑な音素系列を発声する運動制御のための直接投射系と呼ばれる回路である(図6)。これらふたつの神経回路は完全に独立しているわけではなく、後述するHVCというDVRの神経核を介して接続している。

図6.歌鳥の歌回路

歌の学習と記憶

 歌の学習は、孵化後の早い時期に父親の歌を聞いて記憶する「感覚学習期 (sensory learning stage)」から始まり、数週間かけて次第に自ら発声するようになる「感覚-運動学習期(sensori-motor learning stage)」にいたる。感覚-運動学習期では、自ら発声した歌を自らの耳を介して聞き、記憶したお手本である父親の歌に近づくように徐々に歌が調整され、最終的にはお手本とは少しだけ異なる独自の歌を安定して歌うようになる。
歌の学習には迂回投射系の神経回路が必要である。迂回投射系は、巣外套のLMAN核→大脳基底のAreaX核→視床背外側核(DLM)→LMANというループ回路を形成している。歌学習前にLMAN核あるいはAreaX核を局所破壊された鳥は、いくらお手本の歌を聞かせても歌を学習できない。逆に、歌を学習した後にこれらの神経核を局所破壊しても歌には影響しない。
迂回投射系は、歌学習後「お役御免」となり機能していないのだろうか。実はそうではない。迂回投射系の中でも特にLMANは、学習した歌を安定的に歌うための歌の維持に不可欠なのである。先に述べたように、歌の感覚-運動学習とは、記憶した歌をただ音声として運動出力するのではなく、自分が発した歌をリアルタイムに自分の耳で聞き、それが歌おうとしている歌とどれほど違うのかを比較照合し、少しずつ変更しながら修正していく過程なのである。歌おうとしている歌と今自分が歌った歌との照合と修正は、学習後も常に働いているのである。実際に、歌を学習した後の鳥の内耳を化学的阻害や物理的に塞いで音が聞こえない状態にすると、安定していたはずの歌の構造が次第に崩れ不安定化してしまう。歌おうとした歌と比較照合する情報が耳から入ってこないことで、照合・修正のメカニズムが過剰な変動を引き起こしてしまうのである。
この照合・修正にはLMANが重要な役割を持つことが明らかになっている。LMANの破壊は学習した歌に影響しないことは既に述べた。しかし、LMAN破壊の影響は、内耳を破壊された鳥で露呈する。歌学習後、内耳を破壊された鳥のLMANを破壊すると、自分の声が聞こえないことで本来生じるはずの歌構造の崩れが生じないのである。LMANの破壊は、歌構造が崩れるのを妨害したとも言える。これが意味することは何だろうか。自分の声が聞こえないことで歌構造が崩れ不安定化するのは、照合・修正メカニズムが機能しているからこそ生じるのである。逆に、自分の声が聞こえないのに歌構造の崩れが生じないということは、このメカニズムが機能していないことを意味する。すなわちLMANの破壊によって、照合・修正メカニズムの機能が停止したのである。裏を返せば、LMANがまさに照合・修正メカニズムに関与していることの証拠と言える。
このような照合・修正メカニズムが機能するためには、比較照合の基準となるべきお手本の歌の記憶が、脳内のどこかに保存されている必要がある。巣外套内の一次聴感覚領域が投射する高次聴覚領域、巣外套の尾内側部(caudo-medial nidopallium, NCM)は、歌の記憶を担うと考えられている。お手本を含む様々な歌をキンカチョウ(Taeniopygia guttata)に聞かせ、最初期遺伝子c-fosやzenkタンパク発現を指標としたNCMの神経活動を解析した研究によると、NCMの神経活動は、お手本の歌を聞いた時に強く活動することが判明している。お手本とは異なる歌を聞いた時には、それに含まれる音素や時系列構造がお手本の歌に類似し、キンカチョウがその歌に強く注意を向けるほど、強い神経活動が生じるのである。
さらに近年、感覚期から感覚運動期にわたって、自由に行動しているキンカチョウの幼鳥のNCMから神経活動を長期間記録した研究から大変興味深いことがわかった。幼鳥のNCMでは、お手本の歌を繰り返し聞くことで、同じ細胞の神経活動が次第にお手本の歌に対して強く応答するように変化し、NCM領域におけるその細胞数も増加することが明らかになった。繰り返しお手本の歌を聞くことで、その歌に対してNCM神経細胞が次第に選択して応答することで、お手本の歌の記憶がNCMに形成されていくと考えられる。

歌の運動出力とミラーニューロン

 学習した歌を歌う、つまり音声運動の出力制御は、巣外套の尾背側部にあるHVC(Higher Vocal Centre)という神経核を最上位中枢とする直接制御系の神経回路が関与する。カナリヤの左右の脳のHVCをいずれも局所破壊すると、歌の構造が不明瞭になったり、非常に単調な音に劣化したまま回復しない。さらに、実際に歌を歌っているゼブラフィンチのHVCの単一ニューロン活動を解析すると、歌を構成する音素とその配列順序に選択的な応答を持つことが判明しており、HVCは音素を適切なタイミングで配列することで歌として出力する運動制御を担うことが明らかになっている。
HVCには興味深い応答を示すニューロン群が近年報告されている。ミラーニューロンである。ミラーニューロンとは、マカクザル(Macaca)の下前頭/下頭頂皮質にある運動と視覚の感覚統合野で見いだされたニューロンで、特定の動作とその視覚像の両方に応答選択性をもつ。このニューロンは、物体を指でつまむという動作をしている間に活動するが、同じ動作を見ただけでも活動する。しかも、見ているその動作が自分の指によるものである必要はなく、他者が物体を指でつまんでいる動作を見ても同様に活動する。つまりこのニューロンは、ある動作について、「する(運動情報)」ことと「見る(視覚情報)」ことを区別することなく両者を対応づけるように表現し、あるいは自分と他者を区別することなく対応づけるように表現していることから、ミラーニューロンと名付けられた。ミラーニューロンのこのような応答特性は、他者の行動を真似る能力に重要な役割を果たしている可能性がある。真似ることは、視覚情報として入力された他者の運動を、自分の運動に変換し出力することである。視覚情報として自他を区別せず、自分の運動出力にも関与するミラーニューロンの応答特性は、まさにこの過程に適した神経基盤である。
HVCニューロンの中には、特定の音素配列を「発声する」ときに活動し、かつ、同じニューロンが、スピーカーから再生された自分の歌の中のその音素を「聞いた」ときにも、さらには自分の歌のお手本となった(ただし自分の歌とは少しだけ異なる)父親の歌に含まれる類似の音素を聞いたときにも同様の活動を示すものがいる。興味深いのは、このようなひとつのニューロンが持つ「歌う(運動情報)」ことと「聞く(聴覚情報)」ことに対するふたつの応答特性は、常にどちらも生じるのではなく、ある時には歌うことだけに応答し、別の時には聞くことだけに応答するというような、どちらか一方の応答特性に時々で切り替わる性質をもつ点である。この性質は、マカクザルのミラーニューロンが、ある動作を行なう時にも、見た時にも、どちらにも常に応答していたのとは異なる。
このようなHVCのミラーニューロンにおける応答特性の切り替えが、どのようなメカニズムによるのかはまだ明らかになってはない。しかし、他者の歌を真似るという過程を考えると、他者の歌を聞くことと、自らそれを発声することは行動上同時に起こり得ないものであり、その切り替えの仕組みによってHVCの応答特性が切り替わっている可能性があるかもしれない。歌神経回路に発見されたミラーニューロンが、HVCのような特殊化した神経回路を持たない鳥の中外套にも、歌以外の視覚性の行動に関与する形で存在するのだろうか。その答えは未だ得られておらず、今後の研究によってその解明が期待される。

実行制御機能と巣外套

作業記憶

 私たちは日常生活の中で、様々な事柄の目的と手段を整理しながら処理している。会社の業務や学校の宿題、買い物や料理、あるいはゲームの攻略にいたるまで、あまり意識していないかもしれないが、目的とそれを達成するための方法やその順番を整理しながら巧みに処理している。このように、目的に向かって行動を調整することを実行制御機能と呼ぶ。実行制御機能を支える重要な認知機能のひとつに作業記憶(working memory)と呼ばれる、ごく短期間の記憶がある。作業記憶とは、ある行動を遂行するごく短い間だけ、必要な情報を覚えておく記憶である。作業記憶は単なる記憶機能だけではなく、目的達成に必要な情報を外部環境や自分の記憶から集め、しかるべき手順などを整理し計画する機能まで含めることもある。
作業記憶に不可欠な大脳領域は、哺乳類においては前頭皮質である。前頭皮質は複数の感覚情報が入力される感覚統合野であり、さらに運動野への接続を持つ、いわば感覚入力の終着と運動出力の開始を繋ぐ位置にある。このような神経接続を持つ鳥の外套領域は、巣外套の尾外側部(caudo-lateral nidopallium, NCL)である。NCLの機能阻害実験やニューロン活動の解析によって、巣外套この部位が作業記憶を担うことが示されている。
ハト(Columba livia)のNCLを局所破壊すると、作業記憶を要する行動課題(遅延交替反応課題)を正しく行なうことができなくなる。この課題の事例を紹介しよう。実験箱内の床に蓋付きの餌箱がふたつ設けられ、ハトには数秒間隔でどちらかの箱を選択する機会(「試行」と呼ばれる)が与えられる。ハトは自由に箱を選ぶことができるが、ひとつだけルールがある。同じ箱を連続して選んではならず、直前の試行で選ばなかったもう一方の箱を選ばなければならない。つまり、箱を試行ごとに交互に選ばなければならない。同じ箱を続けて選ぶと、箱の蓋は開かないまま試行が一時停止し、ハトは数十秒間「餌のおあずけ状態」に置かれる。この課題を正しく行なうためには、直前の試行で選んだ箱を(あるいは次に選ぶべき箱を)次の試行が始まるまでの数秒間、覚えておかねばならない。ハトは通常この課題を正しく行なうことができるが、NCLを局所破壊すると直前試行とは無関係にランダムに箱を選ぶようになり、顕著に成績が低下したことから、NCL破壊が作業記憶の阻害を招いたと考えられる。
こういった作業記憶におけるNCLの役割は、ニューロン活動を解析した研究結果からも裏付けられている。遅延見本合わせ課題という行動課題を用い、課題を行なっている最中のハトのNCLのニューロン活動を解析することで、NCLの作業記憶への関与が報告されている。遅延見本合わせ課題とは、コンピュータースクリーンにひとつの図形や写真がごく短時間提示された後、何も提示されない数秒~数十秒間(「遅延期間」と呼ぶ)をはさみ、複数の図形・写真が再び提示された時に、初めに提示された図形・写真を選ぶというルールの行動課題である。比較刺激を正しく選ぶと、直後に報酬として餌が与えられる。なお、初めに提示される図形や写真を「見本刺激」、遅延期間後に提示される複数の刺激を「比較刺激」と呼ぶ(行動課題中に提示する図形や音声のことを「刺激」と呼ぶ)。
遅延見本合わせ課題では、見本刺激を遅延期間中に覚えておかないと正答できないため、作業記憶が必要となる。この研究では、見本刺激として赤または緑の円を提示し、数秒の遅延期間の後に、赤と緑の円を両方とも比較刺激として提示する課題を行ない、課題を行なっている最中のハトのNCLから単一ニューロンの活動を記録し解析した。NCLから発見されたのは、見本刺激の提示直後から遅延期間を経て、比較刺激を選ぶ直前まで、継続して強く活動するニューロンであった。ここで見いだされたNCLニューロンの興味深い点は、見本刺激がスクリーン上から消えた後、比較刺激を選ぶ直前まで、視覚刺激の一切ない遅延期間中ですらその活動を持続させた点である。この神経活動は、まさにハトが見本刺激を作業記憶として覚えている期間に合致する。このような遅延期間に生じるNCLニューロンの活動は、作業記憶に関わる情報処理を反映したものであると考えられている。
近年、NCLの作業記憶への関与をさらに裏付ける研究が報告されている。この研究では、巧妙に改変した遅延見本合わせ課題が用いられている(図7a)。見本刺激が提示された後、遅延期間の途中に高・低2種類のビープ音(ブザー音)いずれかを鳴らし、それぞれが遅延期終了後の比較刺激の有り・無しと結びついた実験設定であった。遅延期中に高い音が鳴ると、その後は通常通り比較刺激が提示され、ハトは見本と同じ刺激を選ぶことで餌を得ることができる。一方、低い音が鳴ると、その後比較刺激は提示されないため、ハトは見本刺激を覚えていなくとも餌を得ることができる。ただ、高低どちらの音が鳴るかはランダムであり、ハトは遅延期に入るまでどちらの音が鳴るかは予想できなかった。つまりこの課題では、ハトは見本刺激をひとまず覚えておく必要があるが、遅延期間中に低い音が鳴った場合、以後は比較刺激を覚えておく必要はなく、いわば「忘れてよい」のである。先の研究で見出された遅延期間中のNCLニューロンの持続的活動が、見本刺激の作業記憶を反映しているのであれば、そのニューロン活動は、低音の「忘れてよい」という情報が得られると同時に消失するはずである。

図7.A:作業記憶の実験課題、B:作業記憶を反映したNCLの神経活動

 興味深いことに、NCLニューロンは、この予想通りの活動を示したのである(図7b)。先の研究と同様に、NCLのニューロンは、見本刺激を覚えておく必要のある高音条件では、遅延期から比較刺激を選択するまでの間、活動を持続させることが確認された。しかし、同じニューロンが、「忘れてもよい」という低音が鳴ると、速やかにその活動を消失させたのである。ハトが見本刺激を覚えているか否かに対応したNCLニューロンの活動は、まさに作業記憶を反映した神経活動であり、NCLが作業記憶に関わっていることを強く裏付ける結果である。

今は我慢、未来を選ぶ

 誰しも日常生活や趣味の中で「買いたい」「少し待てば安くなるから我慢」などの衝動や迷いに駆られた経験があるだろう。物の価値は時間の経過とともに低下する。これは多くの人が日常の中で学んでいることであり、経済学の基本でもある。バーゲンセールはその好例であろう。しかし、待てば安くなるという理屈は理解していながらも、欲しいものが目の前にあると我慢できないという葛藤に悩むのが私たちの心の性質であり、脳の働きでもある。こういった葛藤は何もヒトだけの悩みではない。多くの動物が日々の採餌の中で、餌が少ない今の場所で採餌を続けるのか/餌が豊富な(ただし確証はない)他の餌場を探すか、という現在と未来の選択に迫られているのである。
このような経済的葛藤における行動の制御は、ヒトを含む哺乳類では前頭皮質や大脳基底核、扁桃体から構成される神経回路が関与していることが判明している。鳥類においても研究が進んでおり、哺乳類と同様に大脳基底核や扁桃体、および、巣外套の尾外側部(NCL)が関与していることが明らかになりつつある。ここではNCLの役割を調べた研究について紹介しよう。
行動研究における経済的葛藤のモデルとして、「今すぐ得られる小報酬(餌)」と「将来得られる大報酬」を選択する課題が用いられる。実験箱において、ハトの前にあるコンピュータースクリーン上に赤・緑のふたつのボタンが提示され、それを押せば(つつけば)餌が得られる。ただし、赤・緑のボタンは、得られる餌量とそれが出てくるまでの時間が異なる。赤ボタンをつつくと、少量の餌が1・5秒後に得られ、緑ボタンをつつくと、赤の倍量の餌が得られるが、餌が出てくるまでに最短で1・5秒、最長で15秒待たなければならない。倍量の餌の待ち時間を1・5秒~15秒まで変化させ、1・5秒で得られる少量の餌と比較選択させ、ハトが緑ボタンを選ばなくなる(=倍量の餌を諦める)待ち時間を調べた結果、待ち時間が7秒付近で、緑と赤の選択が拮抗するようになり、9秒より長くなると、ハトは緑ボタンをほとんど選ばなくなり、少量の餌がすぐに得られる赤ボタンを選ぶようになることがわかった。
この行動データが意味するのは、ハトにとって、1・5秒後に得られる少量の餌の価値は、9秒後に得られる倍量の餌の価値を上回るということである。これら一連の条件比較を行なう中で記録されたNCLニューロンの活動は非常に興味深いものであった。NCLニューロンの多くは、倍量餌の待ち時間が7秒より短い条件では、緑ボタン(倍量餌)をつついた直後から高い活動量を維持していたが、選択肢間の価値が拮抗する待ち時間が7秒に近づくにつれ、ハトが緑ボタンをつついた場合であってもその活動量は非常に低かった。さらに、両者の価値が逆転する待ち時間9秒以上の条件では、ハトが赤ボタンをつついた直後に高い活動量を示すようになったのである。NCLのニューロン活動は、ハトがある報酬の選択に伴って活動するが、その活動量は、ハトにとっての選択肢間の価値が拮抗すると低く、両者の価値がはっきりと異なる(一方の価値が明らかに高い)と高くなることから、得られる報酬に対するハトの主観的な価値を反映している可能性が高い。つまり、NCLは、異なる報酬の選択肢間の価値を評価・判断する処理に関与し、今を我慢し将来を選ぶという行動の制御に関与していると考えられている。

カラスの大きなDVR

カラスの高度な認知機能

 これまで述べてきたように、鳥類の外套の機能に関する研究は、キンカチョウなどの歌鳥の特殊な歌神経回路を除けば、そのほとんどがハトとヒヨコ(ニワトリ)を対象に展開されてきた。それらの研究によって、冒頭にも紹介したように、エディンガー以来の誤解と先入観に満ちた「ポンコツな鳥脳」という誤った見解が覆されてきたわけである。そのような鳥脳の正しい理解と並走するように、心理・行動実験によって動物の認知能力を解明する動物心理学や比較認知心理学と呼ばれる分野の研究も進展し、従来ヒトを含む大型類人猿しか持たないと考えられてきた高度な認知能力が鳥類においても次々と明らかになってきた。その代表といえばカラスであろう。
カラスの興味深い行動は、ローレンツの名著である『ソロモンの指輪』にも記載されており、順位制の群れ生態の中で描かれているチョックという名のオスのカラスを思い出す読者もおられるだろう。さて、観察や実験によるカラスの行動研究は、北アメリカ大陸で種分化したカラス科のカケスなどを対象に、1970年代から進められてきた。しかし、繰り返し述べたように、鳥脳の正しい理解を欠いた当時は、脳科学を含めた広い分野へのインパクトは低かったのかもしれない。
カラスの認知機能が注目される契機となった有名な研究のひとつに、アメリカカケス(Aphelocoma californica)の貯食に関する複雑な記憶を報告した研究がある。カケスは獲得した餌を後で利用するためにそれを隠しておくという貯食を行なうが、この貯食の記憶は「何を・どこに・いつ」隠したのかという複雑な要素によって構成されることが実験によって判明した。この発見のポイントは記憶容量が多い少ないという点ではない。自らが隠した貯食物について、少し前に隠したか、数日前に隠したかを区別して覚えており、その記憶をもとに貯食物を取り出して利用するのである。つまり、自分の行動について近い過去と遠い過去を区別しているのであり、もっと言えば、カケスが自身の過去についての時間軸を持っている可能性を強く示すものである。
このようなカラスの高度な認知能力は近年さらに解明が進んでいる。他者を姿や鳴き声の特定の手がかりだけで識別するのではなく、姿(視覚)と声(聴覚)を統合した概念として他者を個々に認識していることや、自分が隠した貯食物をライバル個体が知っているか否かという他個体の知識の理解、さらには、道具を作って使う能力など、枚挙にいとまがないほどである。このような認知・行動は、20年前には、ヒトと類縁の類人猿だけが持つと考えられていた能力である。しかし今や、系統発生学的に霊長類(哺乳類)とは3億年来の隔たりを持ち、哺乳類とは構造的に異なる外套を持つ現生鳥類のカラスにも類似の認知・行動が進化したことは多くの動物行動研究者が受け入れている。カラスの高度な認知能力は、系統発生や脳構造の違いを超えて、高次認知機能が独立に進化する要因を探る、いわば「こころの進化」研究のモデルとして、生態学的な要因や脳の機能を探る研究へと発展している。

図8.キンカチョウとハシブトガラスの脳(半球のみ)の正面向き断面図。カラスの外套は外側に大きく膨らんでいる様子がわかる。なお、高外套や弓外套はこの断面には含まれていない。

 カラスの脳の特徴はなんといってもその大きな外套にある(図8)。カラスが属するスズメ目は鳥類の中でも大脳が大型化しているグループであるが、その中でもカラスの外套はとりわけ大きい。カラスの外套を大きくしている構造的な要因は、中外套と巣外套が大きくなっていることにある。大脳基底核に対する各外套部位の体積比率を指標として、カラスと、同じスズメ目のキンカチョウで比較したのが図9である。カラスの中外套や巣外套は、キンカチョウのそれらの部位と比較すると、1・5倍ないしは2倍も大きい。さらにごく最近、大脳の細胞の数をひたすら数えて様々な種で比較するという気の遠くなるような研究が報告された(実際には計算で推計している)。興味深いことに、鳥類の中では大きいとはいえ哺乳類に比べると実サイズはかなり小さいカラスの大脳には、霊長類と同程度の細胞数が含まれるということが判明した。おそらくこれは、細胞を密に詰め込むことができる充填構造という鳥類の大脳の特徴と、細胞自体が小型化したことによって実現されている可能性があると考えられている。

図9.キンカチョウとカラスの外套の大きさの比較

 脳が大きいことや、細胞が多いことは見た目や数字としてはわかりやすいが、そもそもそれが行動や脳機能の何を意味しているのかはわからない。少なくとも「体積が大きい、細胞が多い=優れている」という短絡的な理解は避けるべきである。動物のある行動には、複数の認知能力が関わっているだろうし、採餌にせよ他者とのコミュニケーションにせよ、そもそも動物の行動はその動物種の生態(暮らし)と密接に結びついて進化・発達した多様な(時として収斂する)形質である。それゆえ、動物の認知や行動は優劣や高低という量的尺度で計測することができず、当然、脳の大小と対応付けて論じることもできない。
とはいえ、客観的に観測可能な生態学的因子に着目し、多くの動物種に対して脳の大きさを比較することで、その因子と脳の特定部位のサイズや比率との関係が浮かび上がってくる場合もある。有名な例としては、霊長類では、群れの個体数や個体間の協力関係の数が多くなるほど、大脳皮質のサイズが大きくなることが報告されている。鳥類においても、採餌における「発明」的行動(Innovative behaviour)の頻度と、脳幹に対する大脳サイズ比との間に相関があることが報告されている。ここで言う「発明」とは、鳥類学の論文の中で、従来記載のない餌の摂食、または採餌の方法と定義されている。約6000報の論文を調査し、「発明」に該当する記録を分類上の科ないしは目レベルで比較した研究である。もちろん、そもそもの観察記録報告に、観察対象となる種や地域などに一定のバイアスが含まれる可能性はあるにせよ、柔軟な行動と脳サイズの関係を示唆した点では興味深い。さらに、そのような「発明」の行動観察例の中から、明らかな道具使用行動の事例だけを抽出し、その頻度と、体重に対する外套の各部位および大脳基底核の体積比との相関解析が行なわれた。そこから示唆されたのは、道具使用の頻度と巣外套および中外套の体積比が相関することであった。さらに、そのような相関は、カラス科とオウム目で最も顕著であった。
もちろん、このような巨視的レベルの解析は、道具使用のような高度な認知や行動におけるDVRの機能を直接示すものではないため、これまで紹介した神経活動や局所破壊を用い、個体レベルで行動と脳の関係を明らかにする研究がやはり不可欠である。

個体認識にもとづく優劣関係と巣外套

 これまで、カラスの認知能力とDVR(背側脳室稜)についての研究は、それぞれが独立に展開されてきた。認知研究は、あくまで行動レベルの実証にとどまり、脳研究も、サイズの種間比較に代表される巨視的レベルの検証にとどまっていた。しかし近年ようやく、認知・行動に伴うニューロン活動を調べる研究が進み始め、カラスの高度な認知を支える神経機構の一端が少しずつ垣間見えてきた。以下ではまず、複雑な群れ社会における柔軟な行動調整を支える個体認識に関する知見を紹介しよう。
カラスはよく群れを形成し、個体間で優劣順位関係を形成する。優劣関係とは、餌や配偶者などの資源をめぐる争いにおいて、激しい闘争をすることなく資源の優先権を決める役割を持つことである。これは昆虫を含む様々な動物に見られる関係である。典型的には、遭遇したオス同士が、体表の模様の色や大きさ、あるいは、鳴き声などを使ったディスプレイによってお互いの力を示し合い、自分が相手より強いか弱いかを判断することで、その場の資源の優先権が決まる。日常的に同じ個体が繰り返し出会うような、カラスの群れの場合、互いに出会う度にディスプレイを繰り返していたら、一日中ディスプレイばかりをする羽目になり、それだけで時間とエネルギーが消費されてしまうが、もちろん実際にはそうならない。カラスは、初対面の相手とは激しいディスプレイを交わすが、同じ相手と再び対面すると、もはや激しいディスプレイを交わすことはなく、初対面時の勝ち(優位)負け(劣位)に従って、劣位個体が優位個体に対し速やかに服従姿勢を示すことで、闘争が回避されるのである。つまり、初対面時の勝敗とその対戦相手を結びつけ「誰に」「勝った/負けた」を記憶することで、安定した優劣関係が構築され、群れ内における不要な闘争が回避されるのである。もちろん劣位個体はどの個体に対しても常に劣位というわけではなく、それぞれの他個体と優劣関係を個別に形成することで、ある個体には劣位だが、別の個体には優位であることもしばしばある。このような個体認識にもとづく優劣関係をつくることで、自分より優位な個体が接近すると、しおらしく服従姿勢を示し、劣位個体には威圧的に振る舞うという、目まぐるしく変わる群れ内の環境に即座に対応する行動調整ができるのである。
このような個体認識にもとづく優劣関係には、DVRを含む様々な脳部位が関与することが明らかになっている。すでに優劣関係が形成されたカラス2個体を対面させ、優劣が形成されていない未知個体との対面を対照条件として、脳のいずれの部位が活動しているのかを調べるために、組織学的な神経活動計測が行なわれた。
優劣関係を形成したカラスが対面した時に強い神経活動が生じたのは辺縁系と呼ばれる回路であった。劣位個体が優位個体に示す服従行動や優位個体が示す威嚇ディスプレイなどの社会行動の表出と相関する神経活動が見られたのは、外套下の分界条床核、中隔、および、海馬と扁桃体であった。対面した相手が優劣関係を形成した既知個体か未知個体かに相関した神経活動が見られたのは海馬と巣外套尾腹側部であった。ハトやニワトリの神経接続に関する研究知見を踏まえると、これらの部位は海馬を介して接続しており、対面した相手が誰であるのかという他個体認識の情報処理を、威嚇や服従という社会行動の抑制・表出へと繋ぐ一連の神経回路として機能している可能性が高い。興味深いことに、分界条床核や中核、海馬や扁桃体を含む回路は、主にげっ歯類を用いた哺乳類の社会行動にも関与することが知られており「社会脳回路(Social Brain Network)」と呼ばれる。個体認識に基づくカラスの優劣関係の形成・維持においても、巣外套を含む社会脳回路が機能していると考えられる。

数の認知と巣外套

 大きさや形にとらわれることなく物体の数を数える能力は、数的能力(Numerical competence)と呼ばれる。動物心理学研究分野では、様々な動物種に対して検証されてきたが、その実証例は、ヒトはもちろん、チンパンジーを含む数種の霊長類にほぼ限られている。鳥類では、いくつまで数えることができるかの差異はあるが、ヨウム(Psittacus erithacus)、ハト、そしてカラスで報告されている。数的能力は「数えられるか」という認知機能の研究だけでも興味深いが、近年、カラスのNCLのニューロン活動が数的能力の情報処理に関与していることを示す研究結果が報告された。この研究は数的能力に関わる神経活動を、霊長類以外の動物において初めて明らかにしたものである。
この研究では、遅延見本合わせ課題を用いることで、カラスが「数を数える」実験状況が設けられた(図10A)。具体的には、コンピュータースクリーン上に大きさの異なる円(ドット図形)が1~5個、見本刺激として提示され、カラスがその数を記憶し、1秒間の遅延の後に提示されるドットの数と一致するか否かを、ボタンをつつくか否かによって答える課題であった。この1秒の遅延期間中には、先のハトの遅延見本合わせ課題と同様、スクリーン上には何も提示されないため、カラスは見本刺激のドットの数を作業記憶として覚えておかなければならなかった。

図10.数を数える課題(A)と数を反映したNCLの単一ニューロン活動の例(B)。このニューロンは「3」を覚えている間だけ活動が増加する。上段は「1〜5」をカラスが覚えている時の(各10試行ずつ)同じニューロンの活動。ひとつの点が発火(活動電位)1回を表している。下段はそれらの平均グラフ。

 課題遂行中のカラスのNCLのニューロン活動は、ドット図形見本刺激の提示後、遅延期から比較刺激の提示まで多数見いだされた。さらに、個々のニューロンが強く応答する条件を精査すると、個々のニューロンの応答は特定のドット数に対して生じていることが明らかになったのである。つまり、NCLには、ドット図形が「1個」が提示されると応答を開始するニューロン、それとは異なるニューロンがドット図形「2個」に対して応答し、「3個」提示されるとさらにまた別のニューロンが応答する、というように、1~5個までの応答選択性をもつニューロンが存在したのである(図10B)。
ここでひとつ疑問を持った読者もいるだろう。このようなNCLのニューロン活動は、単にカラスの眼に映ったドット図形の数という客観的な情報処理過程を反映したものなのか、あるいは、カラスが図形をいくつと数えたのかという主観的な情報処理過程を反映したものなのか、という疑問である。これを解く手がかりは、カラスが数え間違いを犯した試行に隠されている。なぜなら、数え間違いは、提示されたドットとは異なる数を誤って数えるという自分のミス、すなわち、自分自身の内的な過程で起こるからである。もしNCLのニューロン活動が客観的な外部情報の処理過程を反映したものであれば、仮にカラスが数え間違ったとしても、それとは無関係に、見本刺激のドット数に対する応答選択性が常に一致することが予想される。一方、もしNCLのニューロン活動が、カラスの数を数えるという主観的な情報処理過程を反映したものであれば、どのような応答が予想されるだろうか。おそらく、先の予想とは逆に、ニューロンの活動は、提示されたドットの数とは必ずしも一致せず、カラスの数え間違いに伴って応答したり、しなかったりすることが予想される。例えば、「3個」に選択的に応答するニューロンは、ドットが「3個」が提示されたにもかかわらず、カラスがそれを「4個」と数え誤ると応答せず、逆に、ドットが「4個」提示されたにもかかわらず、カラスがそれを「3個」と数え誤ると応答するという予想である。
結論から述べると、前者と後者いずれの予想も支持された。同じNCL内に、数についての客観的な情報処理過程と、カラスの主観的な情報処理過程とが、異なるニューロン集団の活動として発見されたのである。NCLは、視覚的な情報にもとづく数という概念の処理過程に関与しており、そのニューロン活動はカラスの数の知覚に関わる主観的な情報処理過程を反映したものとして、大変興味深い発見と言える。

恐竜脳は鳥脳が大きくなった理由を語るか

 これまで述べてきたように、鳥の脳の最たる特徴は大型化した大脳である。では鳥の大脳は、その進化において、いつ、どのような要因によって大型化したのだろうか。その起源に迫るには、進化の歴史をさかのぼることができない以上、化石からその痕跡を探るしかない。鳥類の祖先である恐竜は、竜盤類と鳥盤類というふたつのグループから構成される(図1参照)。鳥類は竜盤類に属し、さらにその中の獣脚類に含まれる。したがって、獣脚類の恐竜から分岐したグループの中に現生鳥類の起源があるということになる。
図11に、獣脚類のコエルロサウルス類以降の系統分岐を簡略化したものと、現生鳥類(ダチョウ)および化石資料のエンドキャスト(頭蓋内の脳が収まっている空間)のX線CTスキャン画像からデジタル再構成された脳の外形を示した。近年、このような化石資料の頭蓋から再構成した脳を用いた比較研究が進み、現生鳥類鳥とは異なる系統の獣脚類の中には、始祖鳥よりも大きな脳を持つ種がいたことも判明している。このことから、脳の大型化は、現生鳥類を含め、獣脚類の進化において独立に何度か生じたと考えられている。

図11.A:現生鳥類を含む獣脚類の系統分岐、B:脳の外形

 現生鳥類の進化における脳の大型化をもたらした要因には様々な仮説が提唱されている。ここでは、主だったものをふたつ紹介する。ひとつは「飛翔」である。飛翔は、3次元空間で上下が逆さまにならないように身体を保ちながら、標的を認識し、あるいは、木々の間を衝突しないようにすり抜けたりするように、視覚と平衡感覚と運動を協調させる制御を高速で行なう必要がある。そのためにはある程度の大きな脳が必要であったと考えられている。この仮説を検証するためには、飛翔の獲得前後の脳の比較が必要であるが、飛翔がいつ進化したのかは、鳥の進化における大きな謎としていまだ残されたままである。
もうひとつは「恒温性」である。恒温性は、代謝によってエネルギーを産生し調節することができる恒常的生理機能のひとつである。恒温性によって、外界の環境によらず、筋肉や脳の代謝率を常に高い状態に保つことができるため、長時間、長距離の飛翔が可能となり、脳の大型化を後押ししたと考えられている。
恒温性についても、それがいつ進化したのかについては議論がある。興味深い仮説として、鼻腔の渦巻き構造(いわゆる鼻の穴)を恒温性の根拠とするものがある。現生鳥類の鼻の穴は渦巻き状になっており、吸気の際の外気がここを通ると温められ、加湿され、肺での交換効率上昇に寄与する。逆に、排気の際は、熱と水分の損失を抑える働きがあると考えられている。このような鼻腔構造は、白亜紀のオルニトゥラエ類の化石で確認され、それ以前の化石では確認されていない。それゆえ、恒温性は白亜紀に獲得されたと考えられている。恒温性は、羽毛の獲得との関係も議論が続きているが、いずれの説にもおおむね共通するのは、恒温性はかなりの歳月をかけてゆっくりと獲得されてきたという見解である。もちろん恐竜から現生鳥類へと至る進化の中で生じた体サイズの小型化も、代謝システムと切り離すことはできず、恒温性獲得の土台となった可能性も指摘されている。恒温性と飛翔のどちらが先に進化したのかは明らかではないが、恒温性の獲得が、長時間、長距離の飛翔を可能にし、脳の大型化をさらに後押しした可能性は十分に考えられる。

おわりに

 この章では、鳥類の脳、特に大きく発達した外套について、構造と発生、および認知・行動上の機能について解説してきた。哺乳類の大脳皮質とは細胞構築の異なる鳥類の外套は、大型化という点で哺乳類とは共通している。進化における脳の大型化の要因が、哺乳類の大脳皮質では、夜行性であった祖先種の嗅球と匂い情報処理がおそらく下地にあるのに対し、鳥類の外套では、昼行性であった祖先種の飛翔と、それにともなう感覚と運動の協調制御が下地にあると考えられる。鳥脳は、私たち哺乳類とは違う進化の道を歩んできた、もうひとつの高次脳システムと言えるだろう。
脳は外界を捉え行動しなければ意味がない。したがって、脳とその進化を理解するためには、脳が行動をどう制御し、その行動が動物の生存と繁殖にどう役立っているのかも解き明かさなければならない。脳のつくりがそうであるように、それが紡ぎだす動物の認知機能や行動にも、環境に応じた多様性と類似性が進化した。近年、複雑な記憶や道具の作成・使用、数の概念など、これまでヒト以外では大型類人猿だけに進化したと考えられてきた高次の心的能力が、カラスでも進化したことが明らかになってきた。自宅のベランダや近所の公園にいる「空飛ぶ類人猿」とでも言おうか。鳥類の脳と行動の探求は、系統発生や脳構造の違いを超えて、高次な認知機能がなぜ生まれたのかという、根源的な問いへの答えを見つける旅である。恐竜の末裔たちはきっとその答えを教えてえくれるはずである。

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ミエリン鞘はとも呼ばれ、軸索に巻き付いて絶縁体として働く構造である。これにより神経パルスはミエリン鞘の間隙を跳躍的に伝わる(跳躍伝導)ことで神経伝達が高速になる。ミエリン鞘は末梢神経系の神経ではシュワン細胞、中枢神経系ではオリゴデンドロサイトから構成される。

脳の中にある空洞のこと。脳脊髄液で満たされている。脊髄にあるものは中心管と呼ばれる。

神経堤細胞は脊椎動物の発生時に見られる神経管に隣接した組織。頭部では神経、骨、軟骨、甲状腺、眼、結合組織などの一部に分化する。

細胞の生体膜(細胞膜や内膜など)にある膜貫通タンパク質の一種で、特定のイオンを選択的に通過させる孔をつくるものを総称してチャネルと呼ぶ。筒状の構造をしていて、イオンチャネルタンパク質が刺激を受けると筒の孔が開き、ナトリウムやカルシウムなどのイオンを通過させることで、細胞膜で厳密に区切られた細胞の内外のイオンの行き来を制御している。刺激の受け方は種類によって多様で、cGMPが結合すると筒の穴が開くものをcGMP依存性イオンチャネルと呼ぶ。TRPチャネルも複数のファミリーからなるイオンチャネルの一群であり、非選択性の陽イオンチャネルである。発見された際に用いられた活性化因子の頭文字や構造的特徴から、A (Ankyrin), C (canonical), M (melastatin), ML (mucolipin), N (no mechanoreceptor), P (polycystin), V(vanilloid)の7つのサブファミリーに分類されている。TRPは、細胞内や細胞外の様々な刺激によって活性化してセンサーとして働いたり、シグナルを変換したり増幅したりするトランスデューサーとしての機能も併せ持つ。温度センサーやトウガラシに含まれるカプサイシンのセンサーとしても機能していることが知られている。

任意の遺伝子の転写産物(mRNA)の相同な2本鎖RNAを人工的に合成し生物体内に導入することで、2本鎖RNAが相同部分を切断して遺伝子の発現を抑制する手法。2006年には、この手法の功績者がノーベル生理・医学賞を受賞している。

様々な動物種間で塩基配列やアミノ酸配列を比較することによって、類似性や相違を明らかにする手法。この解析によって動物種間の近縁関係や進化の過程を予測することが可能になる。

発生過程で神経管を裏打ちする中胚葉組織であり、頭索類・尾索類では背骨のような支持組織としての役割を持つ。脊椎動物では運動ニューロンの分化を誘導するなど発生学的役割を持つ

魚類に顕著にみられる鰓のスリットで、哺乳類では発生の初期にはみられる。発生が進むと複雑な形態形成変化が起き、消失するが、外耳孔などは鰓裂の名残ということができる。

動物の初期発生において最初の形態形成運動として原腸陥入が起こる。原腸は消化管に分化する。この原腸陥入によって生じる「孔」を原口と呼ぶが、これが将来の動物の体の口になるのが前口動物であり、肛門になるのが後口動物である。半索動物、脊索動物は後口動物である。

ナマコの幼生のことをオーリクラリア幼生と呼ぶが、ウニのプルテウス幼生、ヒトデのビピンナリア幼生、ギボシムシのトルナリア幼生など、形態的共通性をもつ幼生全体をまとめてオーリクラリア(型)幼生と呼ぶ。今日ではディプルールラ型幼生という呼び方が広く使われている。この説はガルスタングが1928年に提唱した。その時代にはオーリクラリアという用語が使われたため(ディプリュールラ説ではなく)オーリクラリア説と呼ばれている。

Hox遺伝子はショウジョウバエで発見されたホメオティック遺伝子の相同遺伝子である。無脊椎動物のゲノムには基本的に1つのHoxクラスターがあり、脊椎動物のゲノムには4つのHoxクラスターがある。Hoxb1は4つあるクラスターのうちのBクラスターに属する1番目のHox遺伝子という意味である。

脊椎動物胚の後脳領域には頭尾軸にそった分節性(等間隔の仕切り)がみられる。この各分節をロンボメアと呼び、図14に示すように7番目までは形態的に明瞭に観察できる。

脊椎動物のゲノムにはふたつか3つのIsletが存在する。Isletは脳幹(延髄、橋、中脳)の運動性脳神経核に発現して、運動ニューロンの分化に関与している。

感桿型では光刺激はホスホリパーゼCとイノシトールリン酸経路を活性化させる。繊毛型ではホスホジエステラーゼによる環状GMPの代謝が関与している。

気嚢による換気システムは獣脚類と呼ばれる恐竜から鳥類に至る系統で段階的に進化していったと考えられる。

このような特異な形態は胚発生期には見られず、生後に発達する。その過程は頭骨に見られる「テレスコーピング現象」と並行して進む。

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卵や精子、その元となる始原生殖細胞などを指し、子孫に遺伝情報が引き継がれる細胞そのものである。

卵や精子を作る減数分裂において、母由来の染色体と父由来の染色体が対合したときに、同じ領域がランダムに入れ替わる(組み換えられる)。つまり、我々の”配偶子の”染色体は、父親と母親由来の染色体がモザイク状に入り交じったものなのである(体細胞の染色体は免疫グロブリンなどの一部の領域を除いて基本的には均一なものと考えられている)。

 タンパク質にコードされる遺伝情報をもつ塩基配列。狭義にはゲノムDNAのうち、mRNAに転写され、タンパク質になる部分。近年は、タンパク質に翻訳されないものの、機能をもつtRNA、rRNAやノンコーディングRNAなども遺伝子の中に含められるようになっている。本書では、特に注意書きのない限り、タンパク質の元となるmRNAになる部分を遺伝子、と呼ぶ。

 では、その転写因子はなにが発現させるのか、というと、やはり別の転写因子である。卵の段階から、母親からmRNAとして最初期に発現する遺伝子は受け取っているので(母性RNA)、発生の最初期に使う転写因子を含む遺伝子群に関しては、転写の必要がないのである。その後、発生、分化が進んでいくと、それぞれの細胞集団に必要な転写因子が発現し、実際に機能をもつ遺伝子の転写を促す。

遺伝子は、核酸配列の連続した3塩基(コドンと呼ばれる)が1アミノ酸に対応し、順々にペプチド結合で繋げられてタンパク質となる。3つの塩基は43=64通りになるが、アミノ酸の数は20個、stopコドンを含めても21種類しかない。したがって、同じアミノ酸をコードするコドンは複数あり、たとえ変異が入ってもアミノ酸は変わらないことがある。これを同義置換と呼ぶ。一方で、変異によってコードするアミノ酸が変わってしまう置換を非同義置換と呼ぶ。

 ふたつの系統が祖先を共通にした最後の年代。本章では、近年の分岐年代推定を利用して作成された系統樹(当該文献[9]のFig.1を参照)からおよその年代を読み取り、記入している。

 アフリカツメガエルや、コイ科、サケ目など、進化上の随所でも全ゲノム重複が起こっている。

 最もよく知られている放射性同位元素による年代測定は、放射性炭素年代測定である。炭素12Cは紫外線や宇宙線によって、空気中では一部(1/1012)が常に14Cに変換されている。つまり、大気中ではいつの時代も1兆個の炭素原子のうちひとつが14C、残りが12Cという割合なのである(太陽活動の変化などにより若干のブレはある)。しかし一旦生物の体内に炭素が取り込まれ、そしてその生物が死に、地中に埋まってしまえば、もう宇宙線も紫外線も当たらないので、14Cへの変換は起こらない。ここで14Cは放射性同位元素であることに注目したい。14Cは約5730年で半分が崩壊し12Cに変換される。したがって、14Cの比率でいつその物質が地中に埋まったのかがわかるのである(文献7)。

 ただし、この放射性炭素年代測定では、14Cの検出限界の関係で、せいぜい6万年が限界である。それより昔は火山岩に含まれる物質の、やはり放射性崩壊の半減期を元に推定される。例えば、K-Ar法では、40Kが40Arに13億年の半減期で放射性崩壊することを利用する。溶岩からできたての火山岩か、あるいは何億年も経ったものかを調べることができる。40Kは岩石中に元々大量に存在するため、差異を検出することは不可能だが、40Ar(常温で気体)は大気中には微量しか含まれないため、岩石中に封入された気体の中の40Arの含有率を計測することにより、その岩石の古さがわかる。当然、40Arの率が高い物が古い岩石である。このように、複数の放射性元素の崩壊の半減期から地質年代というのは推定される。

 南米にもごく少数ながら有袋類が現存しており、これらのゲノム解析・比較から、オーストラリア・南米で現生の有袋類の共通祖先は、実は南米で生まれ、当時陸続きだった南極大陸を経て、オーストラリアにいたったと考えられている。

 世界で最も臭いといわれているシュールストレミングをネットで取り寄せて購入したとき、人々は逃げるどころか、わざわざ悶絶するために集まってきた。いい匂いの物を取り寄せても20人もの人数は集まるとは思えず、怖い物見たさという悪趣味な好奇心はたいしたものである。無論、取り寄せた私も例外ではない。ちなみに、シュールストレミングはひとかけらをクラッカーの上に載せるくらいの食べ方なら悪くない気もする。

このふたつの硬骨の作られ方について、第3章に詳述があるので参照。

 ガノイン鱗には我々の歯のエナメル質を作る遺伝子と相同な遺伝子が発現しており(文献18)、イメージとしては歯で身体を覆われているようなもので、当然極めて強固である。

 遺伝子にはその由来によっていくつかの異なる呼び名がある。オーソログとは、共通祖先がもつある遺伝子Aが、種分化によって2種以上の生物に受け継がれた時、受け継がれた遺伝子たちをオーソログと呼ぶ。パラログとは、遺伝子重複によって生じたふたつ以上の遺伝子を指す。最近では大野乾氏の功績をたたえ、ゲノム重複によって生じたパラログで現存するものを特にオオノログOhnologと呼ぶ。

 異化と同化……この2種類の化学反応によって生命活動は維持されている。異化は物質を分解してエネルギーを取り出す代謝経路、同化はエネルギーを使って必要な物質を体の中で作り出す代謝経路。

 アデノシン三リン酸の略。生体内のエネルギー通貨として、様々な化学反応に用いられている。

 組織中の核酸分子(ここでは特定の遺伝子から転写されたmRNAを指す)の分布を検出する手法。調べたい遺伝子の塩基配列を元に、そのmRNAに特異的に結合する分子を設計・合成することで特異度の高い検出が可能となっている。

 通常の生物の核ゲノムはそれぞれの両親に由来する染色体が2本1セット存在し(ディプロイド)、その染色体間で組み替えが起こるため遺伝的な由来を辿る作業がしばしば煩雑になる。しかしミトコンドリアは母親由来であるため(ハプロイド)、そのゲノムを利用することで比較的簡便に遺伝的な類縁関係を遡ることが可能となる。

 増幅断片長多型:制限酵素で切断したゲノムDNA断片をPCRにより増幅し、断片の長さの違いを網羅的に検出比較する方法。この断片長の違いを種間の類縁関係の推定に使用することが多い。

 sexual conflict。ある形質が片方の性にとっては有利だが、もう片方の性にとっては不利な場合にオスメス間で生じる対立。

 次世代シーケンサーを利用して、各組織に発現する遺伝子の種類や量を網羅的かつ定量的に推定する解析方法。

 真核生物のゲノムに散在する反復配列のうち、一度DNAからRNAに転写され、その後に逆転写酵素の働きでcDNAとなってからゲノム中の別の座位に組み込まれるものを指す。数多くのレトロポゾンが存在しており、例えばヒトゲノムは約40%がレトロポゾンによって占められている。

 太陽光には連続したことなる波長成分の光が含まれているが、その波長によってエネルギーが異なるため、水中に到達する波長成分の割合が深さによって異なることがわかっている。特に濁ったビクトリア湖のような水環境では浅場の方が短波長である青色光の成分が多く、深場では長波長の黄色〜赤色の成分が多いことがわかっている。

 タンパク質をコードするDNA配列上の塩基置換にはアミノ酸の置換を伴う非同義置換と、伴わない同義置換がある。一般に、同義置換は生体に影響を及ぼさないため中立であるが、非同義置換は生体にとって不利であることが多い。ただしタンパク質の機能変化が個体にとって有利な場合は非同義置換の割合が上昇することが知られており、それを正の自然選択と呼ぶ。同義置換と非同義置換の割合を統計学的に比較する方法がある。詳細については第7章およびコラム「適応進化に関わる候補遺伝子や候補領域を絞り込むアプローチ」を参照。

   発生初期の胚の一部の細胞群から作られ、生殖細胞を含む様々な組織に分化可能な性質(多能性)を有する細胞株。英語名(embryonic stem cells)の頭文字をとって、ES細胞と呼ばれることも多い。

 変異体を元になった親系統と交配すること。TILLING変異体に関しては変異以外の部分を親系統由来のゲノムに置換するために行う。1回の交配で全体の50%の領域が置換されるため、90%以上を置換するためには最低4回の、99%以上を置換するためには最低7回の戻し交配が必要である。

 タンパク質の二次構造のうち代表的なモチーフのひとつ。水素結合により形成されたらせん状の形である。

 Francis Crickが1958年に提唱した、遺伝情報がDNA→(転写)→mRNA→(翻訳)→タンパク質、という流れで伝わるという概念のこと。分子生物学の基本となる極めて重要な概念である。

 ヒメダカの原因遺伝子としてだけでなく、ヒトの先天性白皮症(つまりアルビノ)やホワイトタイガーの原因遺伝子としても知られる。水素イオンを運ぶトランスポーターをコードすることがわかっているが、その黒色素産生(メラニン合成)における機能は未解明な点が多い。

 相同組換えの鋳型となる外来DNA断片のこと。通常、導入したい配列(GFP遺伝子や特定の塩基置換など)の上流・下流それぞれに、導入したいゲノム領域と相同な配列(相同アームと呼ばれる)を持ったDNA断片である。

 RNAポリメラーゼが結合し、RNAを転写するのに必要最小限の遺伝子上流配列。通常、単独では下流の遺伝子は転写されないが、周辺に転写活性化領域(エンハンサーなど)が存在すると、その影響を受けて下流に存在する遺伝子が転写される。

 オオシモフリエダシャクの「工業暗化」の例を考えるとわかりやすい。これは、産業革命以降のイギリスで、暗化型と呼ばれるより黒い個体の割合が多くなったとされる例である。この蛾は、自然が多い地域では淡色型が目立ちにくく、鳥に捕食されづらかったが、すすで黒くなった木が多い工業地帯では、より黒い暗化型のほうが目立ちにくく、生き残りやすかった。この場合、仮に蛾の色をより黒くするアミノ酸変異が生じたとすると、そのアミノ酸変異は工業地帯で生存に有利で、固定されやすいだろう。ちなみに、近年、具体的にどんな遺伝的変異がこの工業暗化に関わっていたのかが詳細に解析されつつある。

 SWS = short wave sensitive opsin、つまり短波長の光に感受性をもつオプシンのサブタイプ。

 第4章にも記載されているように、深いところには波長の長い赤い光のみが届く傾向がある。つまり、水深の深いところに棲む集団では、青い光を感受するSWSの機能は重要ではなくなってしまう。

 Gタンパク質はGTP結合タンパク質ともよばれ、GTPと結合することで活性化される。GTPを加水分解する性質をもっており、結合しているGTPがGDPに加水分解されると自身が不活性化される。受容体からの信号を中継するものは三量体(α、β、γサブユニット)として存在している。

 神経伝達物質は、放出された後、即座に分解されなければ迅速な伝達を成し得ない。したがって、こういった分解酵素の存在は、ATPが実際にその部位で神経伝達物質として働いていることの傍証となる。

 セロトニンは生体内に存在するモノアミンの一種であり、神経系では神経伝達物質として機能する。生体内のセロトニンの大部分(〜95%)は腸管に存在しており、神経系に存在するものは割合としては小さい。神経系では中脳の縫線核という部位のニューロンで産生され、情動機能等に関係しており、セロトニンの再取り込み阻害剤には抗鬱薬の作用がある。味蕾に存在するセロトニンはそれらとは別の働きをもっていると考えられる。

 迷走神経には感覚性の線維と運動性の線維の両方が含まれており、ここでの迷走感覚神経とはその中の感覚性の要素のみを指す。

 神経細胞(ニューロン)で、突起状の構造(軸索や樹状突起)以外の、核の周辺部の構造を細胞体という。

 ある細胞が放出するリガンドが、その細胞自身の受容体に働くことを自己分泌という。近傍の細胞の場合は傍分泌と呼ぶ。近隣の同じ性質をもった細胞に作用する場合と、自分自身に働く場合を合わせて、自己・傍分泌と呼ぶことが多い。哺乳類のキスペプチンニューロンは、キスペプチン以外に放出するニューロキニンB、ダイノルフィンと呼ばれるペプチドが、キスペプチンニューロン自身に作用することで、アクセルとブレーキのように働き、そのタイムラグでキスペプチンの放出を間歇的に引き起こす。これが前述のGnRHパルスを生み出しているとされている。

 市場に出ている子持ち昆布の中には、ニシン以外の魚(タラの仲間など)を用いて加工されているものもある。また、本物のニシンの卵の場合も、自然に海藻に産みつけられた卵はもっとまばらなので、あのようにびっしりと卵が並んで食べ応えのある子持ち昆布は人為的に作られているようだ。

 タンパク質の一次構造を形成する際にアミノ酸間に形成されるペプチド結合ではなく、側鎖にあるアミノ基とカルボキシル基の間に形成されるペプチド結合のこと。

 2-⑴で述べたように魚類の卵膜の別名は“コリオン”である。将来コリオンになるタンパク質のため、“材料”の意味をもつ“-genin”をつけて、コリオジェニンと呼ばれている。

 遺伝子のうち、半数体ゲノムにつき1コピー(体細胞では2コピー)しかない遺伝子以外のもの。

 共通祖先から生じたいくつかの遺伝子のうち、異なる生物種において類似または相同な機能をもつ遺伝子同士のこと。たとえば、ヘモグロビン、ミオグロビン、サイトグロビンなどは共通祖先から由来するグロビン遺伝子ファミリーであり、ヒトもマウスもこれらの遺伝子をもつが、このうちヒトのヘモグロビン遺伝子とマウスのヘモグロビン遺伝子はオーソログの関係にあるといえる。

 遺伝子ファミリーの中には、突然変異などによって機能を失ってしまうものがある。例えば、変異によって翻訳の途中にストップコドンが入ったり、プロモーターの欠損による転写不能や、転写後のプロセッシングに関与する配列の欠如による成熟mRNAの形成不全などがある。このように、配列の痕跡は残っており、どの遺伝子ファミリーに属するかは明らかだが、機能的でない遺伝子を偽遺伝子(Pseudogene)という。

 魚類では毎年数百の新種記載があり、2018年現在において硬骨魚類の現生種の記載数は3万をこえる。

 栄養リボンという邦訳は、山岸宏『比較生殖学』(東海大学出版会、1995年)による。

 第8章で触れられているデンキウナギなどは、長い身体の大部分が発電器官になっており、肛門の位置が同じように著しく前方に位置する。

 酵素活性は同じであるが、アミノ酸配列の違いによって性質の異なる酵素タンパク質。タンパク質の電気泳動度の差異から、その支配遺伝子座における遺伝子型の差異を検出できる。

 生物相の分布境界線で、この線を挟んで動植物相が大きく変化する。この線の西側が東洋区、東側がオーストラリア区とされる。ウォーレスとウェーバーがそれぞれ異なる境界線を提唱した。スラウェシ島やティモール島は両者の境界線の間に位置する。

 個体や系統を識別する上で目印となるDNA配列のこと。系統間で塩基配列が異なる領域があれば、そこをDNAマーカーとして利用できる。

 ゲノムDNAを制限酵素で切断し、100〜200kbの断片を細菌人工染色体(BAC)ベクターに組み込んでクローン化したもの。大きな領域の物理地図や塩基配列決定に必要とされてきた。

 DNAマーカーや既知のクローンを用いて、配列が一部重なり合うクローンを同定する作業を繰り返し、目的遺伝子近傍のクローンコンティグを作成する方法。

 ミュラー管とは哺乳類の発生過程で将来卵管になる管で、オスではこのホルモンの働きによって退縮する。しかし、真骨魚類にミュラー管はなく、別の機能をもつと考えられる。

 メダカ博士こと山本時男博士は、1953年d-rR系統(オスが緋色、メスが白色の限定遺伝をもとに育成作出された系統、X染色体上に潜性(劣性)のr遺伝子、Y染色体状に顕性(優性)のR遺伝子をもつ、体色により遺伝的な性の判別が可能)の孵化直後から性ホルモンを経口投与して性の人為的転換に成功した。すなわちXrXrでもアンドロゲン投与によりオスとなり、正常メスXrXrと交配して、メスメダカばかりを生んだ。XrYRもエストロゲン投与によりメスに性転換し、正常のオスXrYRと交配した。性ホルモンによる性転換が多くの研究者から示されていたが、山本博士によって初めて遺伝的な性と性ホルモンによる性転換の関連が明らかにされた。コラム⑧も参照。

 コ・オプション(co-option)、遺伝子の使い回し。既存の遺伝子が新たな機能を担うようになること。

 非同義置換よりも大きな影響を与えるのがフレームシフトである。3の単位で塩基は読まれていくが、もし、3の倍数以外の挿入/欠失が起こった場合は、その後の配列が全て読み枠がズレてしまい、その挿入/欠失より後(C末端側)ではまったく異なるタンパク質ができてしまう。

008年9月15日に、アメリカ合衆国の投資銀行であるリーマン・ブラザーズ・ホールディングス(Lehman Brothers Holdings Inc.)が経営破綻したことに端を発して、連鎖的に世界規模の金融危機が発生した事象を総括的によぶ通称

通称ブレグジット(英語: Brexit)とは、イギリスが欧州連合(EU)から離脱すること