うつくしの街 川越

うつくしの街 川越
小江戸成長物語
監修=山野清二郎・松尾鉄城
編集企画=寺島悦恩・小林範子

B6サイズ/400ページ/2500円+税/2019年6月30日発売/ISBN978-4-909383-11-2

祭、城、寺社から美術、舟運、まちづくりまで
一大観光都市となった今の川越をかたちづくる江戸から令和までの歴史を、研究者や商家をはじめ15人が紡ぎ出す言葉を手掛かりにディープな川越、そのアイデンティティに直に触れる(全内容を収録したオンライン版によって、いつでも読書が可能になります)

「ディープな川越」を発信

「現代の都市には「パリンプセスト」という言葉が見事に当てはまるといえる。「パリンプセスト」とは、本格的な印刷術というものが存在しなかったヨーロッパ古代・中世において、羊皮紙を使って写本がなされたのであるが、羊皮紙は非常に高価であったため、前に書かれたものを消し、その上に書いていったものである。
一見消えかかったように見えても、この現代のモダンな都市の下には、何とも魅力的な歴史・文化資源が存在し、そのたっぷりとした栄養を吸って現代の都市があるというわけである。」(序章より)

商家の営みや農家の暮らし、祭の活気からまちづくりの活動まで、人々の生活様式を何層にも重ね、今に至る川越。各層を縦に深く掘り下げるとともに、さまざまな営みを、ことによると風化していきかねない川越の、現在を作ってきた生き証人ともいえる方々の声、歴史研究者、実際にまちづくりに携わってこられた方々の声を横につなぎ、三年以上の月日をかけて出版にいたった、「ディープな川越」を伝える一冊。

目次

序 章 川越イノベーション&リノベーション
「ディープな川越」を発信/「日本遺産」と文化資源のストーリー化/川越の文化を五感で発信/川越商人の財力と町民の結束力が素晴らしい文化を生む/今後の川越のあり方を模索

第一章 蔵造りと洋風建築の町並みを歩く
明治二六年大火以前の町家建築/土蔵造り町家の建設/ヴァラエティーに富む蔵造りの町家/洋風建築の登場/地元職人による擬洋風建築/外国人技師や建築家の介在/都市文化を象徴する洋風町家

第二章 喜多院の歴史と文化財を訪ねて
Ⅰ 喜多院の歴史
戦国期の無量寿寺の衰退と新たな復興/江戸時代の無量寿寺「喜多院」の隆盛/明治維新期からの無量寿寺「喜多院」
Ⅱ 喜多院の文化財
「慈恵堂」(潮音殿・大師堂)/なぜ、慈恵堂を「潮音殿」というのか/仙芳仙人(真人)の伝説/明星の杉と川越第一中学校校歌/山門と番所/寛永一五年(一六三八)移築の江戸城からの家光使用の御殿/慈眼堂/鐘楼門/多宝塔/松平大和守家廟所/どろぼうはし(橋)/五百羅漢/職人尽絵屏風

第三章 知恵伊豆そして家康の血をひく大名も城主になった川越藩
家康江戸入府の頃の川越と初代藩主酒井重忠/幕府と川越と天海/酒井忠利・忠勝と堀田正盛そして寛永の大火/「知恵伊豆」松平信綱/柳沢吉保と秋元家の時代/松平大和守家の時代/最後の藩主松井松平家

第四章 川越祭︱世界が認めた小江戸の大祭
ユネスコ無形文化遺産登録/藩主が氷川祭礼を奨励︱江戸天下祭の面影を伝承/明治二十六年の大火後に江戸系川越型の山車が出現/敗戦から一年後には再起を目指して祭礼が復活/神幸祭が文政の祭礼絵巻のように復興/二十五年間の論議を踏まえ山車行事の日程を変更/さらなる発展を願い将来への課題を考える

第五章 川越と江戸・東京を結んだ新河岸川舟運
新河岸川舟運のはじまり/新河岸川の水源/新河岸川舟運の隆盛期/舟の種類/上りの舟の原動力/「問屋船」と「出居仕船」/船頭という仕事/船頭さんの暮らしと信仰/川越舟歌/仙波河岸の開設と東京とのつながり/新河岸川舟運の終焉/新たな新河岸川文化の正しい理解を

第六章 名産 川越唐桟と川越イモ
Ⅰ 川越唐桟が世に出るまで
甲州谷村の絹織物/海保青陵が激賞した川越の家中織りと絹平/開国による川越織物の変化/「唐桟」とは/喜田川守貞と川越唐桟
Ⅱ 川越イモの歴史
サツマイモがきた道/享保の大飢饉/武蔵野台地の畑作新田/川越イモの元祖/江戸の焼きいも屋/焙烙焼きから釜焼きへ/川越イモが日本一のサツマイモになったわけ/明治の川越イモ産地/サツマイモの先生・赤澤仁兵衛/あかづる(赤蔓)・あおづる(青蔓)からべにあか(紅赤)へ/大正期の川越イモ/太平洋戦争による食糧難時代のサツマイモ

第七章 循環型農業のモデルとしての武蔵野・三富新田
萱の原から林と畑へと変わった武蔵野/水、土、風、自然条件の厳しい武蔵野台地/信綱、吉保、吉宗による三段階の武蔵野開拓/三富新田はどのように開拓されたのか/開拓地の様子︱三つの困難の克服の知恵/文治政治が息づく三富開拓/離村者をなくす様々な工夫/特産品に見る生活の知恵/人が介在し、創造する循環型農業/歴史に寄り添って生きる三富の農業後継者たち

第八章 服部家にみる川越町家の暮らし
城下の町家/商い/町家に住まう/習い事・行事・祝い/寺社参り・講

第九章  江戸初期川越の町人像
『榎本弥左衛門覚書』/少年時代の遊び/自宅建築を天海に相談/家光の鹿狩りと子ども心/手習い・講学所/男伊達と喧嘩/川越大火と江戸城の遺構/家業である塩の仲買/家督相続/弥左衛門の人生哲学

第十章 川越城下の総鎮守氷川神社
氷川神社の由来/創建縁起/川越城下の総鎮守/氷川神社の社殿/主な摂末社/社宝並びに神社関係古文書類/現在の境内/明治の祠官山田衛居
コラム 河越太郎重頼の供養塔がある養寿院

第十一章 川越の美術︱岩佐又兵衛、狩野吉信、小茂田青樹、小村雪岱を中心に
岩佐又兵衛/狩野吉信/小茂田青樹『春の夜』『薫房』/小村雪岱

第十二章 現代の川越のまちはどのように形成されてきたか
武蔵野台地の先端にあるまち、川越/市街地の変遷/城下の町割り/明治の大火と蔵造りの町並み/町並み保存運動のはじまり/歴史を生かしたまちづくりへ/市民の保存運動/点から面へ/建造物保存の実際/歴史を反映したまちづくりに/川越市が取り組むまちづくり/美しいまちの演出/町並みの演出に欠かせない小物/観光地化する川越

第十三章 一番街商店街と町並み委員会
一番街商店街と町並み委員会/蔵造り商家/コミュニティマート構想モデル事業/町並み委員会の発足/町づくり規範/行政の協力/電線の地中化/伝統的建造物群保存地区/都市景観推進団体

第十四章 川越蔵の会︱歴史的景観を生かしたまちづくりへの取り組み
文化財保存運動/蔵の会が発足する/「蔵詩句大賞」と「蔵の街かるた」/伝統的建造物保存のための活動/法人化後の活動/川越の職人技や手仕事、道具/住民、商店街、行政と一緒になった活性化への支援協力/テレビ番組「春日局」と「つばさ」

第十五章 魅力ある川越観光の創出へ向けて
一九六〇年代から七〇年代の川越の観光資源と一番街/蔵造り町並みの保存への模索/蔵造り建物の保存活動/観光地化への取り組み/川越観光の課題/川越観光のあたらしい変化と取り組み課題

第十六章 鼎談 蓮馨寺とその門前町をめぐって
コラム 菓子屋横丁が蘇った

【筆者紹介】(執筆当時)
監   修  山野清二郎(埼玉大学名誉教授・川越市文化財保護審議会会長)
松尾鉄城(女子栄養大学特任教授・川越市文化財保護審議会副会長)
編集・企画  寺島悦恩(東京電機大学教授・NPO法人アートバーブズフォーラム理事長)、小林範子(尚美学園大学講師・NPO法人アートバーブズフォーラム副理事長)
執筆者一覧
序 章 小林範子(同上)
第一章 羽生修二(東海大学名誉教授・川越市文化財保護審議委員)
第二章 松尾鉄城(同上)
第三章 寺島悦恩(同上)
第四章 谷澤勇(元関東山車祭研究会副会長)
第五章 松尾鉄城(同上)
第六章 井上浩(小江戸川越観光親善大使・元サツマイモ資料館館長)
第七章 松本富雄(元三芳町郷土資料館館長)
第八章 服部安行(服部資料館館長・川越文化財保護協会会長)
第九章 梶川牧子(川越市教育委員会教育長代理)
第十章 山田禎久(川越氷川神社宮司・小江戸川越観光協会副会長)
山野清二郎(同上)
コラム 金剛清輝(養寿院住職)
山野龍太郎(埼玉県立小川高等学校教諭)
第十一章 寺島悦恩(同上)
第十二章 荒牧澄多(NPO法人全国町並み保存連盟常任理事)
第十三章 可児一男(元町並み委員会委員長)
第十四章 原知之(NPO法人川越蔵の会前理事長・陶舗やまわ代表取締役)
第十五章 溝尾良隆(立教大学名誉教授・第4次川越市総合計画審議会会長)
第十六章 粂原恒久(蓮馨寺住職・小江戸川越観光協会会長)
山野清二郎(同上)
松尾鉄城(同上)
コラム  長井和男(前菓子屋横丁会会長)

コメント

ミエリン鞘はとも呼ばれ、軸索に巻き付いて絶縁体として働く構造である。これにより神経パルスはミエリン鞘の間隙を跳躍的に伝わる(跳躍伝導)ことで神経伝達が高速になる。ミエリン鞘は末梢神経系の神経ではシュワン細胞、中枢神経系ではオリゴデンドロサイトから構成される。

脳の中にある空洞のこと。脳脊髄液で満たされている。脊髄にあるものは中心管と呼ばれる。

神経堤細胞は脊椎動物の発生時に見られる神経管に隣接した組織。頭部では神経、骨、軟骨、甲状腺、眼、結合組織などの一部に分化する。

細胞の生体膜(細胞膜や内膜など)にある膜貫通タンパク質の一種で、特定のイオンを選択的に通過させる孔をつくるものを総称してチャネルと呼ぶ。筒状の構造をしていて、イオンチャネルタンパク質が刺激を受けると筒の孔が開き、ナトリウムやカルシウムなどのイオンを通過させることで、細胞膜で厳密に区切られた細胞の内外のイオンの行き来を制御している。刺激の受け方は種類によって多様で、cGMPが結合すると筒の穴が開くものをcGMP依存性イオンチャネルと呼ぶ。TRPチャネルも複数のファミリーからなるイオンチャネルの一群であり、非選択性の陽イオンチャネルである。発見された際に用いられた活性化因子の頭文字や構造的特徴から、A (Ankyrin), C (canonical), M (melastatin), ML (mucolipin), N (no mechanoreceptor), P (polycystin), V(vanilloid)の7つのサブファミリーに分類されている。TRPは、細胞内や細胞外の様々な刺激によって活性化してセンサーとして働いたり、シグナルを変換したり増幅したりするトランスデューサーとしての機能も併せ持つ。温度センサーやトウガラシに含まれるカプサイシンのセンサーとしても機能していることが知られている。

任意の遺伝子の転写産物(mRNA)の相同な2本鎖RNAを人工的に合成し生物体内に導入することで、2本鎖RNAが相同部分を切断して遺伝子の発現を抑制する手法。2006年には、この手法の功績者がノーベル生理・医学賞を受賞している。

様々な動物種間で塩基配列やアミノ酸配列を比較することによって、類似性や相違を明らかにする手法。この解析によって動物種間の近縁関係や進化の過程を予測することが可能になる。

発生過程で神経管を裏打ちする中胚葉組織であり、頭索類・尾索類では背骨のような支持組織としての役割を持つ。脊椎動物では運動ニューロンの分化を誘導するなど発生学的役割を持つ

魚類に顕著にみられる鰓のスリットで、哺乳類では発生の初期にはみられる。発生が進むと複雑な形態形成変化が起き、消失するが、外耳孔などは鰓裂の名残ということができる。

動物の初期発生において最初の形態形成運動として原腸陥入が起こる。原腸は消化管に分化する。この原腸陥入によって生じる「孔」を原口と呼ぶが、これが将来の動物の体の口になるのが前口動物であり、肛門になるのが後口動物である。半索動物、脊索動物は後口動物である。

ナマコの幼生のことをオーリクラリア幼生と呼ぶが、ウニのプルテウス幼生、ヒトデのビピンナリア幼生、ギボシムシのトルナリア幼生など、形態的共通性をもつ幼生全体をまとめてオーリクラリア(型)幼生と呼ぶ。今日ではディプルールラ型幼生という呼び方が広く使われている。この説はガルスタングが1928年に提唱した。その時代にはオーリクラリアという用語が使われたため(ディプリュールラ説ではなく)オーリクラリア説と呼ばれている。

Hox遺伝子はショウジョウバエで発見されたホメオティック遺伝子の相同遺伝子である。無脊椎動物のゲノムには基本的に1つのHoxクラスターがあり、脊椎動物のゲノムには4つのHoxクラスターがある。Hoxb1は4つあるクラスターのうちのBクラスターに属する1番目のHox遺伝子という意味である。

脊椎動物胚の後脳領域には頭尾軸にそった分節性(等間隔の仕切り)がみられる。この各分節をロンボメアと呼び、図14に示すように7番目までは形態的に明瞭に観察できる。

脊椎動物のゲノムにはふたつか3つのIsletが存在する。Isletは脳幹(延髄、橋、中脳)の運動性脳神経核に発現して、運動ニューロンの分化に関与している。

感桿型では光刺激はホスホリパーゼCとイノシトールリン酸経路を活性化させる。繊毛型ではホスホジエステラーゼによる環状GMPの代謝が関与している。

気嚢による換気システムは獣脚類と呼ばれる恐竜から鳥類に至る系統で段階的に進化していったと考えられる。

このような特異な形態は胚発生期には見られず、生後に発達する。その過程は頭骨に見られる「テレスコーピング現象」と並行して進む。

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