ヒトゲノム事典

ヒトゲノム事典

編=井ノ上逸朗・今西規・河村正二・斎藤成也(編集委員長)・颯田葉子・田嶋敦
A5サイズ/550ページ
*一色出版は編集実務を担当
【目次】
概説編
第1章 ヒトの進化(5項目)
第2章 ホモ・サピエンスのゲノム進化(4項目)
第3章 ヒトゲノムの全体像(10項目)
第4章 ヒトゲノムの遺伝子概論(3項目)
第5章 RNA遺伝子(5項目)
第6章 遺伝子発現を調節する領域(4項目)
第7章 進化的に保存された非コード配列(4項目)
第8章 リピート配列(5項目)
第9章 重複遺伝子(4項目)
第10章 偽遺伝子(6項目)
第11章 エピゲノム(4項目)
第12章 ヒトゲノムの変異(10項目)
第13章 ヒトと共生する微生物のゲノム(4項目)
遺伝子編
第14章 細胞内で働くタンパク質の遺伝子(6項目)
第15章 細胞の分裂と維持に関係する遺伝子(12項目)
第16章 転写調節にかかわる遺伝子(5項目)
第17章 発生に関係する遺伝子(5項目)
第18章 脳神経系のはたらきに関係する遺伝子(3項目)
第19章 感覚にかかわる遺伝子(8項目)
第20章 骨格筋肉系の遺伝子(6項目)
第21章 消化にかかわる遺伝子(6項目)
第22章 肝臓の遺伝子(5項目)
第23章 循環にかかわる遺伝子(4項目)
第24章 血液にかかわる遺伝子(7項目)
第25章 内分泌系にかかわる遺伝子(6項目)
第26章 生殖と性差にかかわる遺伝子(7項目)
第27章 皮膚にかかわる遺伝子(3項目)
第28章 免疫系に関係する遺伝子(7項目)
病気・体質編
第29章 診断の結果を治療に役立てられる遺伝子(10項目)
第30章 病気に関連する遺伝子:単一遺伝子座によるもの(20項目)
第31章 病気に関連する遺伝子:複数遺伝子座によるもの(15項目)
第32章 体質に関連する遺伝子(12項目)
第33章 遺伝性のあると考えられる病気に関連した遺伝子(25項目)
第34章 体細胞突然変異により病気をひきおこす遺伝子(10項目)
【筆者編集委員紹介】
井ノ上逸朗(国立遺伝学研究所 人類遺伝研究部門 教授)
今西規(東海大学 医学部 教授)
河村正二(東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授)
斎藤成也(国立遺伝学研究所 集団遺伝研究部門 教授)(編集委員長)
颯田葉子(総合研究大学院大学 先導科学研究科 教授)
田嶋敦(金沢大学 大学院医薬保健研究域医学系 教授)

ミエリン鞘はとも呼ばれ、軸索に巻き付いて絶縁体として働く構造である。これにより神経パルスはミエリン鞘の間隙を跳躍的に伝わる(跳躍伝導)ことで神経伝達が高速になる。ミエリン鞘は末梢神経系の神経ではシュワン細胞、中枢神経系ではオリゴデンドロサイトから構成される。

脳の中にある空洞のこと。脳脊髄液で満たされている。脊髄にあるものは中心管と呼ばれる。

神経堤細胞は脊椎動物の発生時に見られる神経管に隣接した組織。頭部では神経、骨、軟骨、甲状腺、眼、結合組織などの一部に分化する。

細胞の生体膜(細胞膜や内膜など)にある膜貫通タンパク質の一種で、特定のイオンを選択的に通過させる孔をつくるものを総称してチャネルと呼ぶ。筒状の構造をしていて、イオンチャネルタンパク質が刺激を受けると筒の孔が開き、ナトリウムやカルシウムなどのイオンを通過させることで、細胞膜で厳密に区切られた細胞の内外のイオンの行き来を制御している。刺激の受け方は種類によって多様で、cGMPが結合すると筒の穴が開くものをcGMP依存性イオンチャネルと呼ぶ。TRPチャネルも複数のファミリーからなるイオンチャネルの一群であり、非選択性の陽イオンチャネルである。発見された際に用いられた活性化因子の頭文字や構造的特徴から、A (Ankyrin), C (canonical), M (melastatin), ML (mucolipin), N (no mechanoreceptor), P (polycystin), V(vanilloid)の7つのサブファミリーに分類されている。TRPは、細胞内や細胞外の様々な刺激によって活性化してセンサーとして働いたり、シグナルを変換したり増幅したりするトランスデューサーとしての機能も併せ持つ。温度センサーやトウガラシに含まれるカプサイシンのセンサーとしても機能していることが知られている。

任意の遺伝子の転写産物(mRNA)の相同な2本鎖RNAを人工的に合成し生物体内に導入することで、2本鎖RNAが相同部分を切断して遺伝子の発現を抑制する手法。2006年には、この手法の功績者がノーベル生理・医学賞を受賞している。

様々な動物種間で塩基配列やアミノ酸配列を比較することによって、類似性や相違を明らかにする手法。この解析によって動物種間の近縁関係や進化の過程を予測することが可能になる。

発生過程で神経管を裏打ちする中胚葉組織であり、頭索類・尾索類では背骨のような支持組織としての役割を持つ。脊椎動物では運動ニューロンの分化を誘導するなど発生学的役割を持つ

魚類に顕著にみられる鰓のスリットで、哺乳類では発生の初期にはみられる。発生が進むと複雑な形態形成変化が起き、消失するが、外耳孔などは鰓裂の名残ということができる。

動物の初期発生において最初の形態形成運動として原腸陥入が起こる。原腸は消化管に分化する。この原腸陥入によって生じる「孔」を原口と呼ぶが、これが将来の動物の体の口になるのが前口動物であり、肛門になるのが後口動物である。半索動物、脊索動物は後口動物である。

ナマコの幼生のことをオーリクラリア幼生と呼ぶが、ウニのプルテウス幼生、ヒトデのビピンナリア幼生、ギボシムシのトルナリア幼生など、形態的共通性をもつ幼生全体をまとめてオーリクラリア(型)幼生と呼ぶ。今日ではディプルールラ型幼生という呼び方が広く使われている。この説はガルスタングが1928年に提唱した。その時代にはオーリクラリアという用語が使われたため(ディプリュールラ説ではなく)オーリクラリア説と呼ばれている。

Hox遺伝子はショウジョウバエで発見されたホメオティック遺伝子の相同遺伝子である。無脊椎動物のゲノムには基本的に1つのHoxクラスターがあり、脊椎動物のゲノムには4つのHoxクラスターがある。Hoxb1は4つあるクラスターのうちのBクラスターに属する1番目のHox遺伝子という意味である。

脊椎動物胚の後脳領域には頭尾軸にそった分節性(等間隔の仕切り)がみられる。この各分節をロンボメアと呼び、図14に示すように7番目までは形態的に明瞭に観察できる。

脊椎動物のゲノムにはふたつか3つのIsletが存在する。Isletは脳幹(延髄、橋、中脳)の運動性脳神経核に発現して、運動ニューロンの分化に関与している。

感桿型では光刺激はホスホリパーゼCとイノシトールリン酸経路を活性化させる。繊毛型ではホスホジエステラーゼによる環状GMPの代謝が関与している。

気嚢による換気システムは獣脚類と呼ばれる恐竜から鳥類に至る系統で段階的に進化していったと考えられる。

このような特異な形態は胚発生期には見られず、生後に発達する。その過程は頭骨に見られる「テレスコーピング現象」と並行して進む。

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