男女はどのように作られる?(遺伝子、染色体、性ホルモン)

遺伝子から解き明かす性の不思議な世界

自分が男であった場合、もし自分が女であったらどのような人生を送っただろう? 自分が女の場合、もし自分が男であったら、と考えたことはありませんか?

映画「君の名は」など、男女が入れ替わる物語は古今東西いくつもあり、やはり多くの人が気になるテーマと思います。

では、こう想像することはできないでしょうか。

自分の左半身が男、右半身が女。もちろん人間ではこのようなことは起きません。でも他の生物、鳥や昆虫では起きることがわかっています。昆虫が好きな方はクワガタやチョウでこのようなことが起きているのを見たことがある人もいるでしょう。

でも人間の場合にはこのような雌雄混在は起きることはありません。それは鳥・昆虫と人間との間で、性の決まり方が大きく異なっているためです。

 では人間はどのように性が決まっていくのでしょうか。他の生き物とどのようなところがちがうのでしょうか。

(以下の内容は『遺伝子から解き明かす不思議な性の世界』をもとに紹介)

性を決める遺伝子 SRY遺伝子

 そもそも人間の性はどのように決まるのでしょうか。その秘密のひとつに、遺伝子があります。SRYという遺伝子が性を決めるのに決定的な役割を持つことが知られています。

Y染色体とSRY遺伝子(https://teaching.ncl.ac.uk/bms/wiki/index.php/File:SRY.jpgより)

 この遺伝子は「身体をオス化(男性化)するための遺伝子」です。どこにあるかというと、Y染色体という染色体の中にあります。

 では、この遺伝子を持っていさえすれば必ずオスになるのでしょうか? 答えはノーです。脳の細胞、肝臓の細胞などに持っていても、オスになるとは限りません。ではSRY遺伝子がどこにあるとオスになるのかというと、それは生殖腺を作っている細胞にあるとオスになります。

 「セルトリ細胞(オスの生殖腺を作る細胞)こそが性を決める(正確にはオス化に必須の)細胞である」(第1章 雌雄はどのように作られるのか)

図中5がセルトリ細胞

オスの生殖腺とは精巣のことであり、精巣からは精子ができます。SRYを持っていると精子を作るようになり、一般的にいうところのオスになると言えるでしょう。

 生殖腺が精巣になるとそれに続いて全身の男性化が進み、精巣にならなければ自動的に女性としての発育が進むことになります

「第8章 ヒト」より

 胎児の中で、精巣か卵巣かどちらになるかまだ決まっていない生殖腺においては「精巣を作る遺伝子グループと卵巣を作る遺伝子グループとがせめぎあっています」。

 ここの中でSRY遺伝子の有無によってどちらかのグループかが優勢に働くようになり、SRYがあると精巣のグループが優勢になってオスになります。

男女の全身の性を作っていく遺伝子

 精巣か卵巣かが決まったあと、その性に従って全身の男性化または女性化が進んでいきます。その進行をざっと簡単に見てみると、以下のように4つのステップを進んでいきます。

 ①男性の場合、妊娠4ヶ月頃から出生直後、そして思春期以降に男性ホルモン(英語ではアンドロゲン)が作られ、女性では女性ホルモン(エストロゲン)が作られます。

 ②ホルモンが結合する「ホルモン受容体」が作られます。

 ③性ホルモンを作るためには、脳から分泌されるゴナドトロピンと呼ばれるホルモンが必須で、これが作られていきます。

 ④体が生殖可能なまでに成長すると精子と卵子が作られます。これを作るための遺伝子が作られていきます。

 さらに詳細にみると多くの仕組み、物質が複雑に連携しながら性が作られ、または維持されています。

人間以外の生き物の性の決まり方

 では人間だけがこのような性の決まり方をしているのでしょうか。普段の生活の中でも、多くの生き物に日常的に接していると思います。朝からゴミ置場にカラスがいたり、近くに猫が歩いていたり、電車待ちの時に虫が飛んできたりと、多くの生き物に目が触れますが、みんなオスメスという性を持っています。

 これだけ多種多様なのに、同じ性の決まり方なのでしょうか。

 人間のように遺伝子によって性が決まる場合も多くあります。人間を含む哺乳類がそうですし、両生類、鳥類、昆虫もそうです。

哺乳類以外に両生類、鳥、昆虫では遺伝子によって性が決まる

 一方で遺伝子でなく、爬虫類のように生まれる前の気温によって決まる生き物もいます。例えばミシシッピワニは32〜34度ではオスが生まれますが、28〜31度ではメスが生まれます。

 変わっているのは魚の場合です。魚と言ってもたくさんいますが、ここではメダカを例にします。

 メダカでも哺乳類のSRY遺伝子のように生殖腺で働く遺伝子の有る無しによって性が決まります。ただ魚の場合はDMY遺伝子と言います。これがあるとオスに、ないとメスになります。

 ただ魚の場合、生殖細胞の数や他の遺伝子との複雑な関係を持ちつつ性は決められます。特に魚は性転換を自由に行うことがありますので、多様な性決定の仕組みを持っているようです。

まとめ

近年、人間の性について関心が高まってきています。その際、人間社会のなかの性、ジェンダーに触れられることが多いです。現代の困難な問題のひとつですが、生き物としての性を正しく、科学的に見直すことでその解決のきっかけになることも少なくないでしょう。

 様々な生き物の性の決まり方、維持のされ方の理解を通して、人間の性をより深く理解することに繋がるでしょう。

ミエリン鞘はとも呼ばれ、軸索に巻き付いて絶縁体として働く構造である。これにより神経パルスはミエリン鞘の間隙を跳躍的に伝わる(跳躍伝導)ことで神経伝達が高速になる。ミエリン鞘は末梢神経系の神経ではシュワン細胞、中枢神経系ではオリゴデンドロサイトから構成される。

脳の中にある空洞のこと。脳脊髄液で満たされている。脊髄にあるものは中心管と呼ばれる。

神経堤細胞は脊椎動物の発生時に見られる神経管に隣接した組織。頭部では神経、骨、軟骨、甲状腺、眼、結合組織などの一部に分化する。

細胞の生体膜(細胞膜や内膜など)にある膜貫通タンパク質の一種で、特定のイオンを選択的に通過させる孔をつくるものを総称してチャネルと呼ぶ。筒状の構造をしていて、イオンチャネルタンパク質が刺激を受けると筒の孔が開き、ナトリウムやカルシウムなどのイオンを通過させることで、細胞膜で厳密に区切られた細胞の内外のイオンの行き来を制御している。刺激の受け方は種類によって多様で、cGMPが結合すると筒の穴が開くものをcGMP依存性イオンチャネルと呼ぶ。TRPチャネルも複数のファミリーからなるイオンチャネルの一群であり、非選択性の陽イオンチャネルである。発見された際に用いられた活性化因子の頭文字や構造的特徴から、A (Ankyrin), C (canonical), M (melastatin), ML (mucolipin), N (no mechanoreceptor), P (polycystin), V(vanilloid)の7つのサブファミリーに分類されている。TRPは、細胞内や細胞外の様々な刺激によって活性化してセンサーとして働いたり、シグナルを変換したり増幅したりするトランスデューサーとしての機能も併せ持つ。温度センサーやトウガラシに含まれるカプサイシンのセンサーとしても機能していることが知られている。

任意の遺伝子の転写産物(mRNA)の相同な2本鎖RNAを人工的に合成し生物体内に導入することで、2本鎖RNAが相同部分を切断して遺伝子の発現を抑制する手法。2006年には、この手法の功績者がノーベル生理・医学賞を受賞している。

様々な動物種間で塩基配列やアミノ酸配列を比較することによって、類似性や相違を明らかにする手法。この解析によって動物種間の近縁関係や進化の過程を予測することが可能になる。

発生過程で神経管を裏打ちする中胚葉組織であり、頭索類・尾索類では背骨のような支持組織としての役割を持つ。脊椎動物では運動ニューロンの分化を誘導するなど発生学的役割を持つ

魚類に顕著にみられる鰓のスリットで、哺乳類では発生の初期にはみられる。発生が進むと複雑な形態形成変化が起き、消失するが、外耳孔などは鰓裂の名残ということができる。

動物の初期発生において最初の形態形成運動として原腸陥入が起こる。原腸は消化管に分化する。この原腸陥入によって生じる「孔」を原口と呼ぶが、これが将来の動物の体の口になるのが前口動物であり、肛門になるのが後口動物である。半索動物、脊索動物は後口動物である。

ナマコの幼生のことをオーリクラリア幼生と呼ぶが、ウニのプルテウス幼生、ヒトデのビピンナリア幼生、ギボシムシのトルナリア幼生など、形態的共通性をもつ幼生全体をまとめてオーリクラリア(型)幼生と呼ぶ。今日ではディプルールラ型幼生という呼び方が広く使われている。この説はガルスタングが1928年に提唱した。その時代にはオーリクラリアという用語が使われたため(ディプリュールラ説ではなく)オーリクラリア説と呼ばれている。

Hox遺伝子はショウジョウバエで発見されたホメオティック遺伝子の相同遺伝子である。無脊椎動物のゲノムには基本的に1つのHoxクラスターがあり、脊椎動物のゲノムには4つのHoxクラスターがある。Hoxb1は4つあるクラスターのうちのBクラスターに属する1番目のHox遺伝子という意味である。

脊椎動物胚の後脳領域には頭尾軸にそった分節性(等間隔の仕切り)がみられる。この各分節をロンボメアと呼び、図14に示すように7番目までは形態的に明瞭に観察できる。

脊椎動物のゲノムにはふたつか3つのIsletが存在する。Isletは脳幹(延髄、橋、中脳)の運動性脳神経核に発現して、運動ニューロンの分化に関与している。

感桿型では光刺激はホスホリパーゼCとイノシトールリン酸経路を活性化させる。繊毛型ではホスホジエステラーゼによる環状GMPの代謝が関与している。

気嚢による換気システムは獣脚類と呼ばれる恐竜から鳥類に至る系統で段階的に進化していったと考えられる。

このような特異な形態は胚発生期には見られず、生後に発達する。その過程は頭骨に見られる「テレスコーピング現象」と並行して進む。