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生物の話題で「退化」という言葉は、あまり好ましくないかもしれません。

ただ、ある機能、器官を消失した場合、そのような印象を受ける人も多いかと思います。

例えば、昆虫の最も特徴的な器官である翅の消失などは、退化の印象を強く受けるかもしれません。

飛翔という優れた行動を失うことは、非常に大きな損失のように思いますが、どのようなメカニズムが働いているのでしょうか。

今回は「翅を失った昆虫」、その代表としてガ類を紹介します。

(今回の紹介は、『チョウとガの不思議な世界』(2021年前半発売予定)の
「飛べなくなったガ類」(新津修平)をもとにしています)

おはようございます。
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昆虫が発育の途中で、翅を消失してしまうことは、あのダーウィンも指摘しています。
特に、シャクガ、ドクガ、ミノガのメスにおいて、その現象が見られます。
しかも、その消失という現象には、いくつかのパターンがあり、上記3つの科によく観察できます。
syakuga
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シャクガの一種に、フチグロトゲエダシャクがいます。

成虫のメスには翅がなく、オスにはあります。

成虫になると、はっきりわかる性的二型を見せていますが、サナギの段階では、じつはメスにも翅があります。

それが発達の途中に徐々に退縮させ、1週間ほどで痕跡になるとのことです。

それではいつ、どの段階で、オスメスの性差が出てくるのでしょうか。

サナギになって(蛹化)2ヶ月ほど、休眠状態を取ります。

その後、覚醒し発育が再開されると、メスの翅の上皮組織だけが、殻から剥がれ落ち、組織が退縮していくのが観察できます。

これは、どのようなメカニズムになっているのでしょうか。

「アポトーシスとオートファジー性細胞死という両方を伴い退縮が進行」
とされます。

また、ドクガにおける翅の退縮も研究が進んでいます。

その中のアカモンドクガは退縮が顕著で、特に報告の数も多いようです。

やはりこのガも、サナギ段階ではオスメス共に翅組織がありますが、成虫に分化する途中で、メスの翅は痕跡になるまで退縮して行きます。

退縮させる器官が翅だけでなく、より画一的に退縮させるガもいます。

成虫になってもメスはウジ虫型のままである、オオミノガです。

このガは翅はもちろん、脚、触覚、複眼もありません。

また上記の2種類のガと違って、サナギになる前に、翅や触覚の原基を失っています。
蛹化の準備段階でアポトーシスが進むことが指摘されています。

『チョウとガの不思議な世界』は2017年12月が最初の編集会議でしたので、3年かかって校了に向かっています。

よく漬け込まれた原稿ですので、味わい深いかもしれません。

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『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』
(前藤薫編/324ページ/2800円+税)
https://ws.formzu.net/dist/S93315378/

試し読みは、こちらから。
https://tameshiyo.me/9784909383129

オンライン版の試し読み
https://www.isshikipub.co.jp/parasiticwasp-tameshi/




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なお、ハチたちの綺麗な写真がたくさんありますが、
紙の本ではモノクロで掲載になると思います。

巻末のパスワードをつかったオンライン版では、
綺麗なカラー写真、動画も視聴できますので、
本を買った際には、オンライン版を利用することを、
お勧めします。

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