非常にそっくりな昆虫がいます。

こういうとき、見ただけでは、二匹の昆虫が同じ種かどうか、わからなくなりませんか。

では昆虫自身、他の昆虫と出会った時、お互い相手が何者か、どのようにわかろうとするのでしょうか?

人間では、相手を一目みれば、男性か女性かは大抵わかります。
また服装など他の情報から、どこの国の人か、さらには職業ま予想できることさえありますね。

昆虫においては、一目で相手がオスメスか、もっと言えば同種なのかさえも、わからない場合がありそうです。

そもそも昆虫同士は、相手を「見て」判断しているのでしょうか?
他の方法で判断しているのでしょうか?

おはようございます。
一色出版の岩井峰人です。
(毎週月曜配信)
※今回のメルマガはリクエストをもとに書いています。

夜の森の中。
様子をうかがうには寂しい月光だけが頼りです。

このようなとき、昆虫は他の昆虫をどのように認識するでしょうか。

視覚は頼りになりそうもありません。
では「臭い」はどうでしょうか。
真っ暗闇で視覚が頼りにならない中でも、また森のように障害物が多いところでも、相手を判別できるかもしれません。

臭いの正体は揮発性物質とされます。
空気中に広がり、時には水中をただよって広がります。

昆虫はこのような「臭い物質」を利用して、相手を認識することができます。
この物質こそ、「フェロモン」と呼ばれるものです。
フェロモンは種ごとに成分が異なり、出会った相手が仲間かそうでないか、判別するのに役立ちます。

フェロモンの中でも、とくに交尾の時につかわれるものは「性フェロモン」と言われます。

性フェロモンは多くの場合、「メスが出してオスが受け取る」というスタイル。

メスは自身が出した性フェロモンをキャッチし、いち早く自分に寄ってくる有能なオスを交尾相手に認めます。

ただ、中にはオスが性フェロモンを出すケースもあります。

例えば、タテハチョウのオス。
このチョウのオスは、メスを引き寄せるフェロモンを放出します。

この時に使われる器官が「ヘアペンシル」。
オスのお腹の先からニョキッと突き出す房状の器官。

ここからメスを引き寄せる性フェロモンを放出します。

ガにも、ヘアペンシルを出すオスがたくさんいるのが知られています。
これらのガは、メスも性フェロモンを出しているので、互いに臭いによるコミュケーションをしていることになりますね。

まとめますと、
・昆虫は臭いを頼りにコミュケーションできる
・メスが性フェロモンの放出によってオスを引き寄せる
・ガやチョウではオスがヘアペンシルを使ってフェロモンを放出している
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今回の内容は以下のものをもとにしています。
・大場裕一編『昆虫たちの不思議なせいの世界』(2018年、一色出版)
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