社会を営むアリ・ハチ類。

彼らは昆虫の中でも進化したグループとされます。

先週触れた、負傷した仲間を助けるアリの行動にも、
社会を維持する高度な仕組みがあることがわかりますね。

このようなアリ・ハチに、祖先の暮らし方を保存しているものがいます。

そのハチの際立った特徴は、卵を産む仕組みにあります。

おはようございます。
一色出版の岩井峰人です。
(毎週月曜配信)

カブラハバチというハチがいます。

大根などを食害するので、人間には嫌われ者のハチです。

特徴である、卵の産み方に触れる前に、産卵管を見てみましょう。
いわゆるハチ、つまり「刺す」ための針の形とは非常に異なっているのがわかります。

その針は、まるで平たいノコギリのようになっています。
なぜ、ノコギリにする必要があったのでしょうか。

母バチは、葉の組織内に卵を産みつけます。
そのためには、葉のふちから切れ込みを入れて、卵を産みつけます。

切れ込みを入れるのに便利なように、ノコギリ状が適していたようです。

では、このハチの特徴である産卵の仕方はどのようになされるのでしょうか。

母バチが卵を産みつける時間は、4〜7秒ほどとされます。

産卵に要する時間にやや幅がありますが、なぜでしょうか。

母バチは、オスとメスを産み分けることができます。

オスとメスとで、産卵に要する時間が違うようです。

メスを産む時は4秒ほど。
オスは7秒ほど、とされます。

この差は、卵を産む時の手間ひまに違いがあるためです。

母バチのお腹の中には、以前交尾した際に受け取った精子が蓄えられています。

通常の産卵では、卵と精子が、お腹の中で受精して産み出されます。
これで産まれてくるのが、メス。

対して、卵と精子が受精しないように産み出される時があります。
これで産まれてくるのが、オス。

受精させる方が手間かかりそうな気がしませんか。
実はカブラハバチというハチは、ハチの中でも原始的なグループになります。

彼らは受精卵を産むことが通常の産卵方法になります。
そのため、受精卵を産むのはスムーズにいきますが、
未受精の卵を産むのは、一手間かける必要があります。

そのため、未受精卵から発生するオスを産むには時間がかかってしまうようです。

まとめますと、
・カブラハバチの産卵管はノコギリ状
・産卵時間にメス・オスによって差がある
・未受精卵のオスを産むのに手間かかるため時間がかかる
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今回の内容は以下のものをもとにしています。
・大場裕一編『昆虫たちの不思議な性の世界』2018年、一色出版

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