オスからメスへ、贈り物をするのは人間だけでないようです。
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例えば、人間が野生のカラスに食べ物を与えていたら、カラスが綺麗な小石、落ちていたペンダントを贈ってくれたという報告もあります。
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では、昆虫ではどのような様子がみられるでしょうか。
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昆虫では「婚姻贈呈」として、いくつかの報告がありますね。
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なかでも、シリアゲムシ科の多くでは婚姻贈呈が認められています。
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婚姻贈呈とは、交尾の時、オスがメスに贈り物をすることです。
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贈り物とは、オスが捕らえた他の昆虫、または自分の唾液など。
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メスがこの贈り物を受け取り、食事している間に、オスが交尾を完了させるというシナリオです。
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全ての婚姻贈呈でシナリオ通りに進めばいいのですが、なかにはシナリオとは異なる展開にもなります。
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・メスになりすましてオスから贈り物を騙しとる「なりすましオス」
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警察官がいない昆虫界では、取り締まりがなかなか進まないでしょう。
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最も悪質なのは、岡山県にみられるヤマトシリアゲムシのオス。
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この地域のオスでは、贈り物をめぐってオスどうしによる決闘がなされます。
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勝者は晴れてメスとカップルになり、交尾に至ります。
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ただ、敗者は潔く退散してくれればいいものの、そうはいかないようです。
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勝者オスが交尾している間に、脇にある贈り物をかすめ取ってしまいます。
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さらに、その盗んだ贈り物を他のメスへのアプローチに利用します。
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岡山ヤマトシリアゲムシの、したたかさが垣間見えませんか。
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この地域の敗者は、潔く諦め、勝者オスの前から退散するようです。
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なお、実験的に、岡山県と愛知県のオスを研究室に持ち帰り、
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すると、生息地でなされたものと同じような行動をとったようです。
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つまり、遺伝的に異なる求愛〜婚姻贈呈の仕方が受けがれているとされます。
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・岡山と愛知のヤマトシリアゲムシでは地域性がみられる
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・大場裕一編『昆虫たちの不思議な性の世界』2018年、一色出版
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