世界にはさまざまな鳥が暮らしています。

多くの鳥がいる分、その暮らし方も多様化しています。

ただ、複雑に多様化した暮らしの中にも、共通してみられるスタイルがあります。

それは、「親が卵を温め、ときどき卵を回転させること(転卵)」とされます。

この繁殖スタイルは、ほとんどすべての鳥類に共通しており、爬虫類や哺乳類にはみられません。

鳥の繁殖方法の「基本形」とも言われます。

おはようございます。
一色出版の岩井峰人です。
(毎週月曜配信)

世界には、およそ1万種の鳥たちがいるとされます。

そのほとんどすべての種が、この「基本形」に収まるとされます。

では、この基本形はいつ頃からはじまったのでしょうか。

不明な点も多いようですが、恐竜の時期にまでさかのぼると報告されています。

例えば、恐竜の中に、オヴィラプトロサウルスというグループがいます。
インコのようなクチバシ、突き出たトサカが特徴です。

1億〜6600年前の白亜紀後期に、現在のアジアと北米大陸に生息していたとされます。

彼らには、「親が卵を温める」という特徴があったと推測されています。

ただ、「親が卵を温める」と言いましたが、オヴィラプトロサウルスの場合ではオスが抱卵したようです。

現在の一般的な鳥類(新鳥類)では、つがいが共同で抱卵するケースが最も多くなっています。

つまり、祖先ではオスによる抱卵というスタイルが、鳥類に進化した後に、オスメスによる抱卵スタイルが獲得されたとされます。

なお、メスだけが行う科もいますが、全体の37.4%とやや少ないようです。
また、オスだけが行う科はさらに少なく、わずか6.1%。

鳥たちの卵の世話は、夫婦共同というイメージですね。

他方で、昆虫類でもオスが卵の世話をするケースがいくつかみられます。

とは言っても、その割合は鳥類の6.1%よりさらに少なく、
わずか0.015%の種とされます。

このように希少な行動をする昆虫に、コオイムシがいます。

交尾を終えたコオイムシのメスは、交尾相手のオスの背中に卵を産みつけていきます。

背中に産みつけられた卵塊をオスが背負いながら世話をします。

世話と言っても、鳥類のように転卵するわけではありません。

コオイムシのオスは、卵塊を産みつけられた直後は水中にとどまる時間を多くし、卵が乾燥しないようにします。

胚発生から時間が経つと、酸素が必要となるため、空気中に晒す時間を多くします。

このようなお父さんの世話のおかげで、卵の孵化率はほぼ100%!

では、このような父育は、どのように進化してきたのでしょうか。

次回に触れてみたいと思います。

まとめますと、
・「親が卵を温め、ときどき卵を回転させること(転卵)」が鳥類の繁殖スタイルの基本形
・鳥類の祖先ではオスが抱卵したが現生の鳥類ではほぼ両親がする
・昆虫類ではコオイムシによる父育がある
・父育により孵化率はほぼ100%
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今回の内容は以下のものをもとにしています。
・大場裕一編『昆虫たちの不思議な性の世界』2018年、一色出版
・上田恵介編『遺伝子から解き明かす鳥の不思議な世界』2019年、一色出版

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