「環境ホルモン」という言葉が数年前に広がりましたね。
身の回りの空気中に浮遊して人間の生殖などに大きな影響を与えている化学物質、とイメージされていたようです。

しかし、本当にこのような環境ホルモンが人間の生殖に影響与えるのでしょうか?

また、性ホルモンを昆虫は、外部的な要因で性が決まることがあるのでしょうか。

おはようございます。
一色出版の岩井峰人です。
(毎週月曜配信)



環境ホルモンといわれるもののうち、性ホルモンに似た働きをするものに、ビスフェノールがあります。
この物質は、人間にどのような影響を与えるのでしょうか?

例えば、男の子を妊娠中のお母さんがいたとします。
このビスフェノールという化学物質を大量に暴露したら、どうなるでしょう。

女の子が生まれる、または女性的な特徴の男の子になる可能性は否定できないとされます。

同時に、男性の精子産生障害や精巣腫瘍の発症にも関与する可能性があると考えられています。

このように、生殖や性の決定が、外的な原因によって決められることがあります。

では人間以外で、昆虫などにも同じようなことがあるのでしょうか。

昆虫では、性を操作する微生物に、ボルバキアがいます。

昆虫のうち65%以上に感染しているとされるほど、有名な細胞内共生微生物ですね。

寄生相手の昆虫の生殖を操作して、メスばかりにしてしまう生き物です。

彼らの仕事は、「オス殺し」とも呼ばれます。

感染相手としては、トウモロコシの害虫であるアワノメイガがよく知られています。

ボルバキアが感染したアワノメイガは、遺伝子レベルで操作され、また細胞質不和合という細胞レベルでの操作を受けて、性が偏るように促されます。

まとめますと、
・性ホルモンのような働きをする環境ホルモンがある
・母親が環境ホルモンを大量に暴露すると性決定・生殖機能に影響する可能性がある
・ボルバキアは感染相手を「オス殺し」て性を操作する
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今回の内容は以下のものをもとにしています。
・大場裕一編『昆虫たちの不思議な性の世界』2018年、一色出版
・田中実編『遺伝子から解き明かす性の不思議な世界』2019年、一色出版

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