体のデザインが非常に異なる、ヒトと昆虫。

どこをとっても似ているところがないように思いませんか。

しかし、共通していることがあります。

それはオスとメスという、2タイプが存在すること。

とは言っても、昆虫は、ヒトとは異なる仕組みで2タイプが出来上がっているようです。

では、昆虫はどのように、オスメスが決まるのでしょうか。

おはようございます。
一色出版の岩井峰人です。
(毎週月曜配信)

ヒトも昆虫の場合も、オスメスが決まるのは染色体の組み合わせです。

ヒトはY染色体があればオスになります。
昆虫の場合は事情がやや複雑ですが、やはり主に染色体によってオスメスが決まると言えます。

では、ヒトと昆虫ではオスメスの決まり方において、何が異なるのでしょうか。

ヒトは、オスメスが決まったあと、性ホルモンという化学物質が体内のあちこちに行き渡ることによって、オスらしい体・機能、メスらしい体・機能を身につけます。

ヒトでは思春期になると、第二次性徴が現れて、男らしい・女らしい体つきになりますね。
生殖能力も獲得します。

性ホルモンの働きにより、男らしさ・女らしさが獲得されるといえます。

対して、昆虫の場合はどうでしょうか。

ヒトの性差を作るというステージで、主役級の活躍をした性ホルモン。
やはり昆虫のステージも主役として活躍して。。。
とはいかないようです。

ヒトでは性差を作るのに、主役を張っていた性ホルモンが、昆虫のステージでは登場しません。
主役不在の昆虫では、誰が、どのように性差を作るのでしょうか。

昆虫で性差を作る主役は遺伝子。
この遺伝子が細胞ごとにオスメスが決められるといいます。
どういうことでしょうか。

細胞ごとに、オスメスが決められるということは、1匹の昆虫の中で、細胞ごとにオスメスがバラバラになることもあり得ます。

本来は、オスの個体では細胞も全てオスに、メスでは全てメスに、なるはずです。

ところが、細胞ごとにオスメスが異なると、ヒトでは見られない現象が起きるようです。

「雌雄モザイク」と呼ばれる現象です。

例えば、1匹のノコギリクワガタで、体の左半分がオス、右半分がメス。
こういった現象が見られます。

この雌雄モザイク、別名でギナンドロモルフは、昆虫の他にも、特定の節足動物で見られます。
ロブスター、タランチュラ。
また鳥でも、ニワトリ、インコなどで見られます。

雌雄モザイクが見られるということは、昆虫が性ホルモンを持たないことの証とも言われます。

まとめますと、
・性差を作るのにヒトでは性ホルモンが、昆虫では遺伝子が活躍する
・昆虫では細胞ごとにオスメスが決められる
・昆虫に雌雄モザイクが見られるのは性ホルモンがないことの証
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今回の内容は以下のものをもとにしています。
・大場裕一編『昆虫たちの不思議な性の世界』2018年、一色出版
・田中実編『遺伝子から解き明かす性の不思議な世界』2019年、一色出版

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