昆虫においては、体色の組み合わせによって、鮮やかな模様ができますね。

これによって、葉っぱに擬態したり、また鳥のフンや毒を持つ仲間に擬態するときもあります。

昆虫とは少し違った体色の利用をするものに、鳥類がいます。

鳥においては、体色が変化して集団における立場を示すこともあります。

おはようございます。
一色出版の岩井峰人です。
(毎週月曜配信)

哺乳類、そして昆虫において、体色を現す色素にメラニンがあります。

鳥においても使われますが、特にルリビタキという種では「構造色」という色が意味を持つようです。

構造色は、メラニンなどのように、光の吸収によって発色するものではありません。

ナノという、ごく小さな単位の世界で構造によって発現されます。

この極小の構造は、特定の波長を強めるという特徴を持ちます。

この特徴によって、クジャクなどの光沢ある青や緑、ドバトの胸の緑や紫の虹色ができます。

ただ、ルリビタキにおいては、この構造色が特別な意味を持つようです。

ルリビタキはスズメ目の鳥で、本州や四国でみられるようです。
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雌雄で外見が異なる性的二型に加えて、雄内で年齢による二型が存在するルリビタキ。高齢な雄は青色(上)、若い雄はオリーブ褐色(中)、雌はオリーブ褐色(下)。後者のふたつの外観は見分けがつかないほど似ている。
ルリビタキには、雄の中に年齢の違いに応じた二型が存在します。

一つは、繁殖のためにつがいの雌を探す雄。

1〜2歳の、性成熟した若い雄です。

この若い雄は羽毛がオリーブ色になります。

対して2歳以上の高齢な雄は、光沢のある青色をしています。

なぜ、このような年齢による二型があるのでしょうか?

オリーブ色同士、光沢のある青色同士、つまり同色同士では縄張りを巡り、激しく闘争します。

他方で、異なる色同士では激しい闘争は起こりません。

というのも、異なる色同士では実力差が明らかなため、無駄な争いを避けているのでは、とされます。

同色同士では本格的に勝負しなければ、実力差が分かりません。

激しい闘争によって、互いの優劣を測っているのだろう、とされます。

ここでは、構造色の有無が、雄同士の優劣を示すシグナルとなっていると言われます。

まとめますと、
・ルリビタキでは年齢による二型がある
・体色の相違によって闘いの仕方が異なる
・構造色の有無が、雄同士の優劣を示すシグナルとなっている
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今回の内容は以下のものをもとにしています。
上田恵介編『遺伝子から解き明かす鳥の不思議な世界』2019年、一色出版

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