かつて、古代ギリシャの重装歩兵は、強力な戦闘力を誇ったとされます。
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その強さの秘訣の一つには、防御に優れた「密集隊形」にあったようです。
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昆虫の世界でも、古代ギリシャの重装歩兵を思わせる「密集隊形」が採用されています。
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どのような昆虫が、なぜ、ギリシャ重装歩兵のような「密集隊形」をとるのでしょうか?
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母バチはモンシロチョウ幼虫に産卵管を刺して、20個以上の卵を産みつけます
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孵化したハチ幼虫は、モンシロチョウ幼虫の体内で成長します。
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ハチ幼虫は成熟すると、体表を食い破って脱出します。
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しかし、体表を食い破られたモンシロチョウ幼虫は、そのままでは体液が流れ出し死んでしまいます。
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この時点でモンシロチョウ幼虫に死んでもらっては、のちのちハチは困ることになります。
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体液が流れ出ないよう、体表を出る時、最後の脱皮の皮を栓として置いてきます。
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これで体液が流れでず、幼虫はしばらく活動ができます。
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さて、しばらく動けるようになったモンシロチョウ幼虫。
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それは、このモンシロチョウ幼虫に糸を出してもらうためです。
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しかしハチ幼虫も糸を出し、繭を作り、蛹になります。
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アオムシコマユバチはこのとき、多くの繭が集まって一つの塊になります。
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塊になることにより、それぞれの繭の露出面を減らすことがですます。
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露出面が減ることで、乾燥、また他の寄生バチに寄生されることを防ぐことができます。
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古代ギリシャの重装歩兵は、盾を左手に持ち、露出した右半身は隣の歩兵の盾で覆う、という密集隊形で戦ったとされます。
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敵の攻撃にさらされる露出面を、なるべく減らす工夫ですね。
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このハチ蛹たちの作戦は、古代ギリシャ重装歩兵のように、露出面を減らしているようです。
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密集隊形をとった卵塊の外側に「防御壁」をつくります。
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そしてこの防御壁に利用されるのが、寄生相手であるモンシロチョウ幼虫の出す糸。
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寄生相手の糸を使い、自分たちのための防御壁を用意します。
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これにより、さらに露出部分が少なくなり、天敵からの攻撃を受けにくくなります。
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この防御壁により、さらに露出面を減らすことができます
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ギリシャ重装歩兵よりも、さらに強力な防御能力が期待できそうですね
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この外側の防御壁は、寄生相手であるモンシロチョウ幼虫が吐き出す糸を利用しています
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