今の人類、つまりホモ・サピエンスがアフリカから出て、世界各地に分散していったことは知られています。

旧約聖書にある出エジプトになぞらえて、出アフリカと呼ばれます。

人類と同じように、出アフリカを経て、世界各地へと生息地を広げていった昆虫がいます。

日本人にも馴染みのあるその昆虫とは何でしょうか。
また、いつ、どのように広がっていったのでしょうか。

おはようございます。
一色出版の岩井峰人から配信しています。
(毎週月曜、年中無休配信)

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長い期間、休止してしまいまして失礼しました。
特別な繁忙状態が理由です。
ただ今後は短くても何らかの配信をしていきたいと思います。
何卒今後とも宜しくお願い申し上げます。
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私たち現生人類ホモ・サピエンスは、6万年前にアフリカを出て世界各地に広がっていったとされます。

その後、ユーラシアと北米をつなぐベーリング陸橋をわたり、約1万3000年前までには南北アメリカ大陸の両方へと進出したとされます。

他方で、ホモ・サピエンスと同じように、アフリカを出て南北アメリカ大陸へとわたった昆虫がいます。

アフリカの大発生で有名なサバクトビバッタです。
大きな作物被害、蝗害(こうがい)が報道されることもある昆虫ですね。

サバクトビバッタの仲間は、アフリカだけでなくアジア、南北アメリカ大陸にも分布しています。

では世界各地へ、サバクトビバッタはどのように分布していったのでしょうか。

私たちの祖先、ホモ・サピエンスは、徒歩、また諸島部には航海によって渡ったとされます。

サバクトビバッタは翅を持っています。
そのため飛行によって世界へ拡散していったようです。

では翅を持つならば、アメリカ大陸まで行くには、飛行して大西洋をわたった方が早いのではと思いませんか。

ただ、5000キロ近くある海洋を渡りきることなど、できるのでしょうか。

1988年10月、西アフリカでサバクトビバッタが大発生しました。
この時、サバクトビバッタが大西洋をわたり、カリブ海の諸島部に到達したという報告があります。

しかし、いくらサバクトビバッタが長距離を移動できるからといっても、これほどの距離を本当に飛行できるのでしょうか。

アフリカからメソアメリカ、南アメリカ方向には東貿易風という恒常的に吹く風があります。

この風に乗って、サバクトビバッタはたった10日間で到達できたとされます。

まとめますと、
・ホモ・サピエンス同様、サバクトビバッタはアフリカに起源を持つ
・出アフリカを経て世界各地へと分散した
・南北アメリカ大陸へは大西洋の横断飛行も一つのルートであったと推測されている
・大西洋横断には東貿易風を利用
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今回の内容は以下のものをもとにしています。
・斎藤成也他編『ヒトゲノム事典』2020、一色出版
・田中誠二『バッタの大発生の謎と生態』2021、北隆館

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