チョウ類の翅の模様には、豊富なパターンがあることが知られていますね。
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色とりどりの美術作品のような模様、また葉っぱや樹皮そっくりになる擬態など、無数とも言える模様が見られます。
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それにしても、チョウたちのこのような豊富な翅模様は、どのように出来上がっているのでしょうか。
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一見すると、無限とも言える多くの微細な要素で成り立っている印象を受けないでしょうか。
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ある決まったプランと、パターン化された要素のもと、作られてきたようです。
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チョウの翅模様を見ていると、幾何学的な図を見ているような印象を持ちませんか。
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このような複雑な図はきっと、緻密な設計図のもとに、成り立っているはず、と思うかもしれません。
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しかし、実際にチョウの翅模様を成り立たせているのは、
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むしろ大まかで、特定の決まった設計図をもとに作られているようです。
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このような設計図は「グラウンドプラン」と言われます。
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グラウンドは英語で地面、プランは方針といった意味ですので、
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直訳では、翅模様を作る「基礎となる方針」のようになるでしょうか。
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翅模様を作るのに方針とは、どのような意味でしょうか。
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動物の肢(limbs)とその骨格はグラウンドプランをもとに成り立つとされる。
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見た目や機能の多様さとは裏腹に、翼や鰭や手の骨格は“同じ”ものを使って作られている。
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チョウ類のグラウンドプランの発見は、およそ100年前になります。
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1924年、ロシアの昆虫学者、シュヴァンヴィッヒがその一人です。
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1927年、ドイツの発生生物学者、ズッフェルトがもう一人です。
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そしてフレデリック・ナイハウトというアメリカのデューク大学の研究者が、
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さらにグラウンドプランの考えを整理していきました。
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では、この研究者たちによって、どのような結論に達したのでしょうか。
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彼らは、ある一つの結論に達したことが知られています。
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チョウたちの翅の模様は、ブロックの組み合わせで成り立っているということです。
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それぞれの模様は、それぞれ独自の方法で複雑な模様を作っているわけではないようです。
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それをさまざまに組み合わせることによって、豊富な模様を作り出すとされます。
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このブロックの組み合わせは、「レゴブロック」のようなものと、たとえられます。
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レゴブロックは、決まった形のブロックで、複雑なものを作っていきますね。
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お城やテーマパーク、さらに美術作品のように複雑で壮大なものを作ることもできるようです。
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決まった形のブロックを、ピッタリくっつけたり少し離したり角度を変えたり、
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さまざまな組み合わせで模様を作っていくことがわかりました。
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これらによって豊かで複雑な翅模様を作っているようです。
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限られた遺伝子を使いまわして作っていることに似ているかもしれません。
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時には、ブロックの組み合わせによって、あるモノを表現することもあります。
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グラウンドプランは、チョウの擬態の成り立ちも説明できるようです。
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文字通り、木の葉に擬態するタテハチョウ科のチョウですね。
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葉っぱに擬態するには、葉の色、また葉脈の模様をいかに再現するかがポイントになりそうです。
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葉の色、そして葉脈のような複雑な自然物を、どのように再現しているのでしょうか。
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「コノハチョウの葉脈模様もそれぞれの要素をまっすぐな直線にしたり、
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平行にしたりして葉脈模様を作りだしていることがわかる」
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限られた決まったパターンで複雑な模様を再現することは、
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いかに少ないコストで、効果的な結果を得ようとしているかを示しているのかもしれません。
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今回の内容は、鈴木誉保「枯葉や木の枝に化けるチョウやガの擬態」『チョウとガの不思議な世界』(制作中)をもとに作成しています。
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