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ただ、オスとメスとでは、同様に擬態しているわけではないようです。
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つまり、オスとメスによって擬態に性差があることも報告されています。
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例えばシロオビアゲハでは、特にメスが擬態すること知られています。
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ただメスは卵を持っていたり、オスより体が大きかったり、オスよりも多くのコストを負担しています。
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その上、擬態を行うとすると、さらに大きなコストが課せられそうです。
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そこまで大きなコストを払ってまでも、擬態するには理由があります。
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それは、捕食者から回避できるという大きなリターンが得られるためですね。
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もしそうならば、全てのメスが擬態するはずではないでしょうか。
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実際には、全てのメスが擬態するわけではないようです。
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(先々週、先週のメルマガは、配信エラー発生により配信できていませんでした。大変失礼しました。)
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一つ目の理由は、擬態したメスはオスから求愛されにくくなくなる、という理由です。
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つまり、擬態したメスはオスから同種のメスと認識されづらくなります。
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そのため、求愛の対象と認識されず、繁殖に成功する可能性が低くなります。
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その結果、集団内に自分の子孫が広がりにくくなるとされます。
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まず、シロオビアゲハの未交尾メスを野外に放置しました。
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すると、シロオビアゲハのオスは、自身と同じ翅模様を持つ非擬態型に対して、より多く求愛することが確認されたのです。
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擬態メスの翅模様には、擬態しないものに比べ、赤色の面積が広くなります。
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この赤色の彩色には、生理学的により高価なエネルギーを必要とすることが考えられています。
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そのため、翅模様の赤色の面積が広いほど、寿命が短くなる傾向があるようです。
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その結果、擬態するメスは集団全体に広からずに、一部にとどまるとされます。
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擬態するものが増えるのですから、より集団内にこのタイプが広まりそうです。
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しかし、そういう結果に至らないのは、どういう理由でしょうか。
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実際に毒を持っているチョウが捕食されなければなりません。
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捕食者は有毒チョウを食すことによって、そのチョウが自身にとって有害であることを学びます。
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同時に、その有毒チョウの翅模様と有害の関係を覚えます。
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以降、捕食者は、有毒チョウと有害の関係を認識して、食すのを避けるようになります。
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しかし、擬態メスの割合が高まってしまうと、有毒と翅模様の関係を捕食者が学習する機会が減ってしまいます。
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そのため、擬態メスが集団内に広がることが抑制されると言われます。
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琉球列島の5つの島で、有毒であるベニモンアゲハと、これに擬態するシロオビアゲハの割合が調べられました。
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すると、有毒であるベニモンアゲハが少ない島では、やはり擬態するシロオビアゲハも少ないことが確認されました。
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逆に有毒のベニモンアゲハが多い島では、擬態率は高くなったようです。
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(今回の記事は、加藤三歩「シロオビアゲハの擬態の進化」『チョウとガの不思議な世界』(現在制作中)から紹介しています)
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