寄生相手の体の表面などに寄生し、体内から体液などを吸収するタイプ。
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寄生相手の内部に寄生し、相手の体内で体液などを吸収するタイプ。
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多くの寄生バチが該当し、今回紹介するカリヤサムライコマユバチもこのタイプ。
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寄生される側も、黙って寄生されるわけではありません。
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寄生されないための免疫システムや他の攻撃手段も持っています。
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例えば、生き物には、体内に侵入者が入ると、強い免疫作用が働きます。
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それによって、侵入者は抗体から攻撃にさらされ、破壊されてしまいます。
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では、寄生バチは、免疫という攻撃や不利な条件を受けながらも、
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アシナガバチやスズメバチに刺されると、激痛が走るのはご存知かと思います。
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その毒液は、アミン、ペプチドなどの炎症を起こすもの、神経毒などが含まれています。
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ヒメコバチ科の一種、アワヨトウウスマユヒメコバチは、アワヨトウというガの幼虫に寄生します
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この幼虫は、大アゴを使った攻撃、消化液の放出によって、寄生しようとする敵を退散させます。
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しかし、アワヨトウウスマユヒメコバチはある工夫によって、その攻撃を回避することができます。
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産卵する前、寄生相手を動けなくする、麻酔効果のある毒液を寄生相手に注入します。
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これによって、毒液を注入されたアワヨトウ幼虫は、通常使っている攻撃ができなくなります。
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この幼虫に寄生するアワヨトウウスマユヒメコバチの卵は、体表に産み付けられます。
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したがって、脱皮されると体表からはがれ落ちてしまいます。
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ここで先に注入した毒液の第二の効果が発揮されます。
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毒液を注入されると、発育停止し、脱皮できなくなります。
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これは脱皮するのに関わる脱皮ホルモンを、毒液がコントロールしているためとされます。
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ポリドナウイルスとは、ヒメバチ科とコマユバチ科が持つウイルスです。
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卵巣内のカリックス部という部位で産生されています。
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つまり、ハチの体内でウイルスを飼っているような状態ですね。
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このウイルスは産卵の際に、卵とともに寄生相手の体内に注入されます。
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このタンパク質の働きによって、寄生相手を自分の都合のいいように操作します。
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しかし、「都合のいいように操作」とは、具体的には、どのようなことをするのでしょうか。
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コマユバチ科のカリヤサムライコマユバチは、アワヨトウというガの幼虫に寄生します。
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コマユバチは寄生相手が幼虫の時に成長できるので、アワヨトウ幼虫が蛹になっては困ります。
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そこでコマユバチは、寄生相手に対して、ある攻撃をしかけます。
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アワヨトウ幼虫は、蛹になるために脱皮ホルモンを分泌します。
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脱皮ホルモンが多くなると蛹への変態が開始されます。
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これによって寄生が成功し、コマユバチ幼虫は成長できるとされています。
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しかし、コマユバチの寄生のための工夫は、これだけではありません。
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次に紹介するテラトサイトというものによって、寄生相手の体内で安全に成長できるようです。
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テラトサイトとは、寄生バチの漿膜(しょうまく:胚の保護と新陳代謝を助けている)に関係する細胞です。
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ギンケハラボソコマユバチというコマユバチ科の寄生バチです。
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ギンケハラボソコマユバチがアワヨトウ幼虫に寄生すると、胚を囲っていた漿膜の半分ほどが、
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寄生相手の体内に遊離したテラトサイトによって、寄生バチの幼虫は守られ、正常に発育できるとされます。
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このテラトサイトの役割をはっきり確認する、ある実験が行われました。
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コマユバチ幼虫が寄生した後、人工的にその幼虫を摘出し、他のアワヨトウ幼虫に移しました。
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そこではテラトサイト含め、他の三種の神器が存在しません。
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そのため、移植されるとすぐにアワヨトウ幼虫の免疫にさらされます。
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その攻撃の内容は、まず血球により包囲され、メラニン化という作用によって死にいたり、
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産んだ後の子の成長をみすえた工夫を持っていることがわかります。
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今回の内容は中松豊「6章 内部寄生の謎」前藤薫編『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』をもとにしています。
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