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チョウ類に興味のある方なら、ヤマトシジミを知らない方はいないでしょう。
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この有名な種は、擬態や目玉模様のある種のような派手さは感じられませんが、
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地味ながらも小ぶりな愛らしさが好まれているかもしれません。
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しかも、それらのグループの出現する時期は、通常は冬ですが、
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なぜ、このような「起こりえない」現象が起きたのでしょうか。
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(今回の内容は『チョウとガの不思議な世界』「ヤマトシジミから迫る可塑性と進化」岩田大生・檜山充樹、をもとにしています)
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起こるはずのないことが見つかったのは、青森県深浦町の付近。
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翅の模様が通常のものとは異なり、いくつかの特徴的な模様になりました。
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この翅模様は、外流れ型、内流れ型、消失型とされます。
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図5.カタバミ畑とヤマトシジミ変化型。2003年8月22日に青森県深浦町椿山で工藤誠也氏によって撮影されたヤマトシジミ外流れ型の野外個体である。[工藤忠氏、工藤誠也氏のご厚意により提供して頂いた写真を使用]
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このような変わった翅模様のグループが出現するのは、この地域に限ってのことではないようです。
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とは言うものの、この翅模様が出現するのは冬に限られたこと。
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冬の寒さが影響して、変わった翅模様の出現を引き起こしています。
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ところが、この地域で確認された時期は、夏の暑い時期です。
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そもそも、なぜ寒い冬の時期に限って、変化型が出現するのでしょうか。
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これは「冷却ショック」という作用のためとされます。
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「冷却ショック」とは、「蛹になって10時間以内の個体を4℃以下に長期間さらす」こととされます。
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「4°以下」ですから、冷却ショックはもちろん、冬の時期に成り立つことが予想できますね。
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なぜ、4°以下にはならない夏に変化型が発生したのでしょうか。
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その理由は「遺伝的同化」という現象があげられるようです。
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「遺伝的同化」とは、「環境刺激によって誘導されていた表現型が、次第にその刺激がなくとも現れるようになる現象」とされます。
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生後に、寒さ・暑さなど、環境からのある刺激によって見た目や性質に変化があることは、ご存知かと思います。
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有名な事例として、「ダチョウのお腹のタコ」があります。
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ダチョウが卵をかえす時、親ダチョウのお腹の地面に触れる部分にタコができます。
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卵を抱えているときに、お腹が地面に擦れてタコができるのだろうと思いませんか。
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それはその通りで、親のダチョウが卵を抱えているときに特有の変化です。。。。
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といえそうですが、実はそうではなく、生まれる前、卵の中にいる段階ですでにダチョウはお腹にタコを持っていることが確認されています。
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これは環境からの度重なる刺激(お腹と地面との摩擦)に由来して、遺伝子的な変化に繋がった事例とされています。
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ヤマトシジミの翅模様の変化も同様のことが知られています。
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冷却ショックによって変化型が生まれるのは、「その世代限り」のはず。
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しかし、冷却ショックによって生まれた変化型の個体同士が、何世代にもわたって交配を続けると、冷却ショックを受けてなくても、変化型の個体が生まれてくることが実験によって確かめられました。
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暑い夏の時期にも変化型が見つかるのは、このような仕組みによるものとされます。
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同様な現象はアメリカタテハモドキ(Junonia coenia)にも見られるようです。
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