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2021年
新年、明けましておめでとうございます。
今年初めのメルマガで、**回目の配信になります。

昆虫の毒の世界を前回のまでのメルマガで紹介しましたが、
面白いので今回も毒にまつわるテーマで配信したいと思います。

おはようございます。
一色出版の岩井峰人です。
本年も宜しくお願い致します。
(毎週月曜配信、年中無休)

アリゾナ大学昆虫学研究員J・O・シュミット博士は、ハチ・アリ類に刺された時の痛みを数値化した研究者として知られています。

博士の旺盛な好奇心が、「試しに刺されてみる」という献身的な調査方法を生み出したのでしょう。

それに負けず劣らず旺盛な好奇心をもつ研究者がいました。
ハワイ大学出身のクリスティー・ウィルコックスという女性生物学者。

サシハリアリが最も痛みを引き起こす昆虫とシュミット博士の報告をみて、その実際を確かめるべくアマゾンに向かったというのですから、逞しい行動力を感じます。

(今回は『毒々生物の奇妙な進化』[原題:VENOMOUS, 2016]文藝春秋、2017年をもとに紹介します)
venomous_cover
クリックして拡大
280ページ上製本、これで1600円は安いと思う。
写真は多くはないがあり、図解イラストもある。
文章は専門用語はほぼなく、大事な箇所にはたとえを入れてあり、わかりやすい。
ただ、アメリカのテレビタレントなどでたとえられているので、ちょっとイメージしづらい。
また免疫システムの話がよく出てくるが、他の本同様、わかりづらい印象。
自分が担当する本でもよく出てくるが、どうにかわかりやすい図解などはできないものか。
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実際のサシハリアリを見ようとブラジルのサテレ・マウェ族の部落に着いた時、
彼女は衝撃的な光景に遭遇したようです。

その部族では通過儀礼として、100近くのサシハリアリが入った袋の中へと、成人の男になるために10分以上も手を入れたままにしなければなりません。

その上、手を入れている間、声をあげたり涙を流したりすると、もう一度やり直しになってしまいます。

その激痛は、およそ3〜24時間も持続し、正気を保つのが難しいほどとされます。
YouTubeで、まさにこの通過儀礼を紹介した動画がありました。
https://www.youtube.com/watch?v=ZGIZ-zUvotM&feature=related
National Geographicによるものです。

しかし、そもそもこれほどの激痛を引き起こす原因は、どのようなものでしょうか。
同時に、なぜこれほどの激痛を引き起こす必要があるのでしょうか。

まず、この激痛を引き起こしている物質の正体ですが、ポネラトキシンという短いペプチドのようです。

アリは毒のうに1マイクログラムのポネラトキシンを蓄えられます。
もちろんごく少量になりますが、人間の体の大きさでいうと、どうでしょう。
500グラム相当、水でたとえれば水500ミリリットルになります。
いつも500ミリリットルのペットボトルいっぱいに、激痛をもたらす毒液を持ち歩いているようなものですね。

さて、このポネラトキシンという化合物は、ニューロンに作用して神経伝達を狂わせます。

すると痛みのメッセージを伝えるニューロンが執拗に刺激されてしまいます。
これによって 耐え難い激痛が数時間も続くことになります。

では、なぜこれほどの激痛を与える必要があるのでしょうか。

それは、このアリが営巣する社会性の昆虫だからのようです。

毒を使う生き物には、クモやヘビが代表としてあげられます。
彼らが毒を持つ理由は、獲物を捕らえる時に役立つためとされます。

しかしこのサシハリアリのように、防御すべき巣をもつ場合は事情が異なります。
相手に明確に「こっちに来るな!」というメッセージを伝えなくてはいけません。

サシハリアリの毒に侵されたものは、その激痛によって確かに「こっちに来るな!」というメッセージを受け取るでしょう。
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『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』
(前藤薫編/324ページ/2800円+税)

『昆虫たちの不思議な性の世界』
(大場裕一編/300ページ/3800円+税)
https://ws.formzu.net/dist/S93315378/

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