擬態といえば、昆虫の得意技ですね。

花そっくりに擬態するハナカマキリ。
枝に擬態するナナフシ。

すぐにいくつもの擬態する昆虫が思い浮かびます。

その中でも、擬態する昆虫にチョウを第一にあげる人も多いでしょう。

ベイツ型擬態、ミューラー型擬態など、多くの報告がありますね。

このチョウの中でも、変わった擬態の特徴を持つものがいます。

奄美大島や琉球諸島に生息するシロオビアゲハです。

(今回の記事は現在制作中の、『チョウとガの不思議な世界』「シロオビアゲハの擬態の進化」(加藤三歩、琉球大学)から紹介します)

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この種は、メスだけが擬態するという特徴を持っています。
のイメージ...
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なぜ、このような特徴を持っているのでしょうか。
多くのチョウは、ほかの毒チョウに姿を似せる、という擬態をします。

これによって、鳥など天敵に食べられないよう工夫しているようです。


食べられないようにするのであれば、オスメス関係なく擬態をするはずです。


メスだけが擬態する理由として、天敵からの狙われる可能性が挙げられます。


一般的にチョウのメスはオスよりも体が大きく、また卵を持っていることもあるので、捕食者は高い栄養価を期待できますね。


そのため、天敵からはメスがより狙われやすくなっているようです。


しかも、シロオビアゲハの場合、一部のメスだけが擬態します。


その理由には3つの仮説が挙げられています。

(実際には、どの仮説が正しいということではなく、いろいろな要素が絡みあって、擬態が成立しているとされます)


理由1)擬態するメスは、オスから同種の求婚相手とは見なされないので、集団内に広まりにくい、というものです。


オスにモテないので増えないということですね。


オスにモテる、擬態しないタイプも多くいます。


このため一部のメスにしか擬態という特徴が発生しないとされます。


理由2)擬態するタイプの翅には、赤い色の模様が多く見られます。


しかし、この赤い色を持つには、より多くの生理学的なコストがかかります。


そのためか、擬態するタイプの寿命は、より短いことが知られています。


このようなコストなどデメリットのせいで、擬態という特徴が集団内には広まらないとされます。


理由3)擬態するタイプが多くなり過ぎると、ある不都合が生じます。


それは、擬態される側が擬態タイプよりも減ってしまうと、天敵が「擬態は食べてはいけない」と学習する機会を減らしてしまうという事態です。


毒を持つタイプを確実に食べてもらい、「この翅模様タイプは食べてはいけない」と学習してもらう必要があります。


上記の説は、いずれも確定したものではなく、より多くの要素を複合的に考える必要があるとされます。



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『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』
(前藤薫編/324ページ/2800円+税)
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なお、ハチたちの綺麗な写真が手元にたくさんありますが、
紙の本ではモノクロで掲載になると思います。

巻末のパスワードをつかったオンライン版では、
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本を買った際には、オンライン版を利用することを、
お勧めします。

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