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『甲虫たちの不思議な世界』(仮)という本が進行中です。

その中の1章分の原稿を送ってもらいました。
「武装する“アルマジロ甲虫”タマキノコムシ」というタイトルで、
筆者は保科英人さん。

『大衆文化のなかの虫たち:文化昆虫学入門』
『アキバ系文化昆虫学—2次元世界の美少女の虫たちへの想い 』
などの本を過去に出されています。

今回は、そのさわりを紹介してみたいと思います。

おはようございます。
一色出版の岩井峰人から、
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そもそも「タマキノコムシ」という甲虫を知らない人も多いのではないでしょうか。

筆者によれば、日本産のタマキノコムシ科は
「ムカシチビシデムシ亜科,チビシデムシ亜科,ヒゲブトチビシデムシ亜科,タマキノコムシ亜科の4亜科に別れ,現在合計約250種が知られる」
とされています。

姿は以下のようなものです。
(オオマルタマキノコムシ)
オオマルタマキノコムシ
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体長は2 mmから8 mm程度。

日本固有属のヒノモトタマキノコムシ属(Hinomoto)は
世界最大のタマキノコムシとされますが,
それでも1 cm未満になっています。

大きな特徴に、体を丸めて身を守ることがあげられます。
下は身を丸めるナルサワマルタマキノコムシです。
ナルサワマルタマキノコムシ
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普段から丸い形態をしていますが、
より丸まって、「アルマジロ」のようになっている印象がありますね。

では、どのような環境に生息しているのでしょうか?

タマキノコムシは「土壌性甲虫」のと呼ばれます。

この土壌性甲虫たちは、地下数メートルに潜むものから
落葉層や地表に生息するものまで、
豊富な種がいます。

地下深く潜るものにはメクラチビゴミムシが、
地表や落ち葉の下で活動するのがハネカクシやゴミムシなどで、
多くの種数を持つ甲虫たちがいます。

本章で取り上げられるタマキノコムシ科は,
落葉層や倒木など、地表に近いところで暮らす、
土壌性甲虫の一つということになります。

また、それぞれの生息場所に応じて、
その食生活も異なっています。

捕食性,菌食性,腐食性,腐肉食性など
バラエティーに富んでいます。

タマキノコムシの食性はといえば、
原則的に菌食性にです。

主にキノコ類を食すようです。

ベニタケやキクラゲなど、
一般的なキノコを好み、
サルノコシカケのような硬いキノコを食すことはないようです。

また、タマキノコムシの中には、
倒木に生えるカビ類を食するものも多いとされます。

さらに,オオタマキノコムシ属は、
地下性キノコを食すようです。

このように、一口に菌食性と言っても、
その内容は非常にバラエティーに富んでいることがわかります。

また、
「その食性は様々であるが,
個々の種の詳しい生態はほとんどわかっていないのが実情だ」
とされていて、まだ多くのデータが揃っているわけではなさそうですね。。

「寿命はどれくらいであるかとか,
産卵はどの季節か,等の知見も絶無に等しい」
とも言われています。

このように、不明点が多いことの理由に、
採集の困難さがあげられるかもしれません。

「丸1日ビーティングしても1匹も捕れない,
なんてことはザラである」
とも言われています。

タマキノコムシ採集は、
山地帯の湿潤な落葉樹林で行われます。

ノコ類やカビ,倒木などを叩く「ビーティング」という手法が
とられています。

また、立ち枯れの木に殺虫剤を噴射する手法もとられます。
「スプレーイング」と呼ばれるこの採集法も効果的とされています。

「キノコ」ムシというくらいなので、
キノコの季節、秋に多くとれるかと思うかもしれません。

ただ、実際に多くとれるのは、
梅雨前後となっています。

また、オスメスの形態の差異もわかりづらいことが、
種の同定の困難さ、分類の困難さに繋がっているとされます。

種の違いを見分ける時は、
見た目だけではわかりづらく、
オスの交尾器を観察しなくてはいけません。

しかし、日本産のうち、
マルタマキノコムシ属(Agathidium)だけは、
オスが角を持っています。

この角は左大あごの変形とされます。

本章の続き、また他の章についても、
今後のメルマガで紹介していきたいと思います。



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『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』
(前藤薫編/324ページ/2800円+税)
https://ws.formzu.net/dist/S93315378/

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全国一律、送料無料で、完成しだい、お送りします。

なお、ハチたちの綺麗な写真がたくさんありますが、
紙の本ではモノクロで掲載になると思います。

巻末のパスワードをつかったオンライン版では、
綺麗なカラー写真、動画も視聴できますので、
本を買った際には、オンライン版を利用することを、
お勧めします。

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