『アリ語で寝言を言いました』という本が、
アマゾンの昆虫ジャンルで1位になっています。

売れているようですね。

著者の村上貴弘さんは面識はないですが、
写真をお借りしたことがあって、
やはりアリの写真だったと思います。

ざっと読んでみましたが、
人気の理由には、
アリの面白い生態の紹介に当たって、
秀逸なたとえやアリの擬人化した会話などが
豊富のためかと感じます。

前回のメルマガも昆虫の独り言クイズが
楽しかったという声もありましたので、
今回も続けましたので、
楽しんでいってください。

おはようございます。
一色出版の岩井峰人から、
メルマガをお届けしています(年中無休、毎週月曜の更新)。

誰の独り言か、簡単なクイズ形式にしてみました。
下の独り言は誰のものでしょうか?
(以下の内容は『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』をもとにしています)

Q1
「私は、ひなびた寺の縁の下などに、よく巣を作る。
クモバチの一種で、体長10ミリほど。
体のほとんどは黒だけど、
腹には黄色のまだら模様がある。
一番の特徴と言われるのは、
複数のメスが一つの巣に一緒に暮らすこと。
社会性をもつクモバチ、と言われる理由です。」
parasiticwasp13-01
石の上で獲物を運んでいるメス。
クモの歩脚を切断し、まだがっている。
(本書p.270より)

正解は↓↓↓↓
キマダラズアカクモバチ(Machaerothrix tsusimensis)。
1939年に、対馬で1個体発見したという報告が
あるだけでしたが、
1987年に埼玉県秩父で発見されました。

クモバチは排他性が強く、
複数で一緒の巣を使うことはないですが、
本種は社会性の進んだクモバチとされます。

では、どれほどの個体と一緒に暮らしているのでしょうか。

著者の調査の限りでは、5個体が最多とのことです。

ただ、日にちが経つにつれて徐々に数が減り、
最終的には1個体になります。

最も長く複数個体が暮らしていた期間は、
9日間とされます。



Q2 これは誰でしょうか。
「私の前脚は奇妙な形をしている。
単に自分の体を支えるのでなく、
獲物をしっかりと捕獲できるようになっている。
主な獲物は、ウンカとヨコバイ類だ。
獲物をとらえる時の間合いは大切なため、
複眼がとても発達していて、
私の精悍な顔立ちに一役買っている。」
カマバチ雌雄
(本書p.232より)

正解は↓↓↓↓
カマバチ。

大きな特徴であるカマは、
メスのみが持ちます。

カマバチの獲物であるウンカには、
長距離を飛行するものがいます。

そのウンカは毎年気流に乗って海外から飛来する種もいて、
中国、さらに飛来源をたどるとベトナムから飛来することが
わかっています。

この酷暑の中、
日本食でなくベトナム食も食べたいと思っている方は
多いのではないでしょうか。

日本産のウンカ以外に、
勝手に飛来してくる海外産のウンカにもありつける
カマバチには、ありがたい獲物と言えるかもしれません。



Q3 これは誰でしょうか。
「私はキバチに寄生するハチとして知られている。
メスたちは寄生する相手を探すことが主な使命だ。
一方私たちオスの使命は、交尾相手となるメスの確保だ。
メスをめぐり、オスは闘いを行うが、
そのパターンには、突進、のしかかり、噛みつき、威嚇、
という4パターンが知られている」

正解は↓↓↓↓
ニホンヒラタタマバチ。
メスが羽化して木の中からでてくるのを待ち、
でてきた途端にカップルになろうと、
多くのオス、およそ10匹が闘いを演じます。

最後に勝者となるのは、
メスがでてくる穴を最初に見つけたオス。

というのも、闘いを通して有利な体勢をとれるため、
最初に見つけたオスが有利とされています。



Q4 これは誰でしょうか。
「ココノオビアルマジロというアルマジロの一種は、
常に4つ子を生むらしい。
僕らも一つの卵から複数の子を生むけど、
その数は比べ物にならないくらい多いよ。
寄生バチでは1卵から20〜30頭の子を生むものもいるけど、
僕らは2000〜3000頭。
4つ子ではなく、3000子というわけさ。」
parasiticwasp08-01
(本書p.166より)

正解は↓↓↓↓
キンウワバトビコバチ(Copidosoma floridanum)。
このハチは初期胚の時期が長く、
未分化状態のママの時間がとても長いことが特徴です。

しかも特徴はそれだけでなく、
兵隊幼虫の発達という特徴も持っています。

兵隊幼虫とは、他のハチが同じ寄生相手に寄生してきた際に、
そのハチを追い出すために攻撃する幼虫です。

せっかく寄生した大事なエサ資源を、
他のハチに奪われまいと防御するわけですね。

他のハチでも防御は見られることですが、
初期胚の期間が長いキンウワバトビコバチは、
特別にエサを守る専門の幼虫が必要となるようです。

いろんな進化の仕方がありますが、
哺乳類や鳥類では見られない変わった進化が見られるのは、
昆虫の醍醐味かもしれません。

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『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』
(前藤薫編/324ページ/2800円+税)
https://ws.formzu.net/dist/S93315378/

試し読みは、こちらから。
https://tameshiyo.me/9784909383129

オンライン版の試し読み
https://www.isshikipub.co.jp/parasiticwasp-tameshi/



上記のリンクから、ご希望のタイトルの部数と発送先を入力し、
送信ください。
全国一律、送料無料でお送りします。

なお、ハチたちの綺麗な写真が手元にたくさんありますが、
紙の本ではモノクロで掲載になると思います。

巻末のパスワードをつかったオンライン版では、
綺麗なカラー写真、動画も視聴できますので、
本を買った際には、オンライン版を利用することを、
お勧めします。
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