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昆虫にも脳があることが知られています。
ただ「脳」と一口に言っても、様々なバリエーションがあり、
「脳」という決まった形を共通して持っているわけではなさそうです。

今回は、中でも昆虫の脳とヒトを含む哺乳類の特徴を取り上げ、
どのような共通点と違いがあるのか、
見てみたいと思います。

(今回の内容は『遺伝子から解き明かす脳の不思議な世界』
[滋野修一他編、2018年]、をもとにしています)



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1 昆虫の脳の特徴

昆虫の脳はヒトと多くの部分で違いがありますが、
共通性も持つとされます。

「昆虫の脳は脊椎動物と同じように、
ニューロンとグリア細胞でできている」
(「第4章 小型でハイスペックな脳の獲得」上川内あづさ・石川由希)
と言われています。

つまり、知覚情報を伝える神経ネットワークは、
昆虫とヒトとで共通している部分もあるとされます。

同時にニューロン同士の情報伝達に使われる物質、
例えばグルタミン酸やGABAなど、
そのほとんどが共通しているとも指摘されています。

一方で、もちろん多くの違いがあることがわかっています。

大きな違いとしては、脳の基本構造、
そして哺乳類の大脳皮質の肥大です。

このような違いがあるにもかかわらず、
昆虫も哺乳類も地球上の様々な場所に適応していった、
稀な生き物同士です。

昆虫はその特殊な3つの機能、
飛ぶこと、変態、休眠、によって、
多様化、様々な環境に適応していったことが指摘されます。

では、哺乳類の場合には、
どのような点が、適応を押し進めたのでしょうか。

今回は、特に脳に注目して話を進めたいと思います。

2 層構造という哺乳類の脳の特徴

一口に哺乳類といっても、多くの種が挙げられます。
ヒトをはじめ身近なイヌやネコ、またクジラも哺乳類ですね。

このように多種多様な種類がいますが、
脳の仕組みに、ある共通性が見られるようです。

脳の基本構造として
大脳/間脳/中脳/延髄
となっていることが挙げられます。

特にポイントとなるのが、大脳皮質の肥大とされます。

大きさもそうですが、その構造の特殊さが際立っています。
つまり、大脳皮質の6層構造と言われるものです。

「大脳皮質の6層構造こそが、哺乳類脳の最大の特徴の一つである」
(第11章 広範な適応拡散を可能にした大脳皮質の獲得」野村真)

これは、ヒトもそうですし、カモノハシといった
外見が奇妙な種類にも当てはまるようです。

外見上、違いのある種類同士でも、6層構造という特徴は共通しているので、
全ての哺乳類が共通の祖先を持つことの証ともされます。
図3.様々な哺乳類の大脳皮質。皮質6層構造は哺乳類で保存されている(霊長類では6A,Bなどのサブレイヤーが存在する。また、鯨類では4層が認められない)。[Balaramら(2014)より作成]
図3.様々な哺乳類の大脳皮質。皮質6層構造は哺乳類で保存されている(霊長類では6A,Bなどのサブレイヤーが存在する。また、鯨類では4層が認められない)。[Balaramら(2014)より作成]



では、なぜ、このような層構造を持つように
なったのでしょうか。

層構造は、ある特定の層で特定の知覚情報を受け取ります。

その情報を受けとった層が、
他の層に情報をそのまま転送したり、修正を加えたものを転送することに
都合がいいためとされています。

このような大脳皮質の特徴は、
祖先からの発生プログラムの大胆な変革によって
なされたとされます。

この変革は、陸上から海中、熱帯や極地に至る
あらゆる適応放散を押し進めたとされます。

昆虫も地球上のあらゆる箇所に適応放散を遂げたと言われますが、
昆虫とは異なる特徴を発達させた進化ストーリーと言えるかも知れません。

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===編集ちゅう===
・「ヒトゲノム事典」
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・「チョウとガの不思議な世界」
編者とやりとりして、相互査読に入るよう推進中。
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