[subscriber:lastname | default:reader][subscriber:email]さん

コミニュケーションに音を使う昆虫は多く知られていますが、
まず、歌の研究が進んでいる歌鳥(song bird)の特徴をみて、
その後、昆虫たちの歌に触れてみたいと思います。

(今回の内容は『遺伝子から解き明かす鳥の不思議な世界』[上田恵介編、2019年]、『昆虫たちの不思議な性の世界』[大場裕一編著、2018年]をもとにしています)



おはようございます。
一色出版の岩井峰人から、
メルマガをお届けしています(年中無休、毎週月曜の更新)。



1 キンカチョウの歌

キンカチョウなど歌鳥は、音を聞いて覚え、
練習することで自ら歌えるようになります。
(「第4章 カエデチョウ科鳥類の性淘汰と雌雄コミュニケーション」より)

このような特徴は、ヒト以外では、
クジラ類、コウモリなど一部の哺乳類、
鳥類にしかみられないようです。

特に研究の進んでいるのがキンカチョウであり、
モデル生物とされています。
chap10-fig04
キンカチョウの歌をソナグラムで表したもの。同じ個体は常に同じ歌を発する。(『遺伝子から解き明かす脳の不思議な世界』p.373より)

ただし、キンカチョウはヒトとは違い、
オスのみが発声を学習します。

というのは、オスはメスへの求愛のために歌うためです。

その求愛ソングを聞いたメスは、
「歌上手」なオスを選り好み、
結婚相手とします。

しかし、そのように、あえて「歌上手」を選ぶメスには、
選り好みすることによって
何かメリットがあるのでしょうか。

この疑問に答える、有名な仮説があります。

ヒナの時に栄養を豊富に与えられ、
ストレスを免れて育った鳥がいるとします。

その鳥は成長した時に歌の学習が良好にでき、
さらには多くのレパートリーを学習することが
結果的にできることがわかっています。

実験的に、多くのストレスをヒナに与えた場合、
成長した鳥は良好な学習ができなくなるようです。

ということは、
「メスは歌をよく学習できたオスを選ぶことで、
発達履歴がよい、また発達ストレスに耐性の高い
オスを選んでいる」
とされます。

このように、歌の良し悪しが鳥の資質を反映しているようですが、
昆虫にもこのようなことはあるのでしょうか?

2 昆虫の求愛ソング

音を出す、鳴く昆虫はたくさん知られていますが、
音によって雌雄のコミュニケーションを取っている昆虫は
限られているようです。

「音声を使ってオス・メス間のコミュニケーションする
昆虫の代表は、コオロギやキリギリスなど直翅目と
セミの仲間である」
(『昆虫たちの不思議な性の世界』
「3章 愛をささやく昆虫たちのことば」より)

甲虫目のカミキリムシなどがキーキー鳴く場合もありますが、
威嚇のためが多いようです。

では、鳥の場合のように、
メスがオスの歌の良し悪しをもとに
求愛相手を選ぶことはあるのでしょうか。

キリギリス類においては、
「メスはオスの鳴き声から同種かどうかを識別しているだけでなく、
オスの選り好みもしているらしい」
とされます。

実験から、そのようなことが起きていることが
わかっているようです。

では、そのようにメスが選り好みするメリットは
どこにあるのでしょう。

「鳴き方がオスの何らかのクオリティーを反映しているのかは
わかっていない」
とされます。

鳴き声が、鳴いているオスの資質と関係あるかは
どうやら、昆虫ではまだわかっていないようです。

したがって、メスが選り好みすることのメリットも、
現時点では、まだわかっていないとされます。

歌鳥では、歌を制御する神経系(歌神経系HVC)がよく研究されていて、
そこへのストレスが、どのような負の影響を発達にも与えるかが
分かっているよです。

しかし、実際にメスがオスを選ぶ時には、
求愛ソングの良し悪しだけでなく、
羽の色や鮮やかさも、同時に重要とされています。

一つの特徴でオスの良し悪しが決まるわけでなく、
それぞれのメスにも好みがあって、
どの特徴を重視するかがオス選びの基準になるとされます。

性格、ルックス、年収、学歴など、
人間の女性が男性を選ぶときのように、
他の生き物にも、資質や個性を見極めることは重要で、
さまざまな指標が使われているのかもしれません。





===========================================
『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』
(前藤薫編/324ページ/2800円+税)
https://ws.formzu.net/dist/S93315378/

試し読みは、こちらから。
https://tameshiyo.me/9784909383129

オンライン版の試し読み
https://www.isshikipub.co.jp/parasiticwasp-tameshi/



上記のリンクから、ご希望のタイトルの部数と発送先を入力し、
送信ください。
全国一律、送料無料で、完成しだい、お送りします。

なお、ハチたちの綺麗な写真が手元にたくさんありますが、
紙の本ではモノクロで掲載になると思います。

巻末のパスワードをつかったオンライン版では、
綺麗なカラー写真、動画も視聴できますので、
本を買った際には、オンライン版を利用することを、
お勧めします。

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
一色出版では、動画を含めたオンライン版で、
内容すべてが読める本を刊行しています。

文章だけでは伝わらない臨場感を、動画で視聴できます。

また、本では白黒で小さくなった写真も、
カラーぼ高解像写真で見られます。

お手元のスマホやPCで、
いつでも生物の不思議さを体験してみてください。

===編集ちゅう===
・「ヒトゲノム事典」
編集委員による原稿査読の進行中。

・「チョウとガの不思議な世界」
編者とやりとりして、相互査読に入るよう推進中。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
今日のメルマガはいかがでしたか?
ほんの一言、率直なご感想をこのメールに
返信いただけましたら次回からの執筆に反映させていただきます。
(メルマガは毎週月曜にお届けしています)

*********
メールマガジンの解除は下の「購読中止」をクリックください
*********
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
株式会社 一色出版 Isshiki publishing
岩井峰人Iwai Minehito
〒112-0001 東京都文京区白山2-2-6 -402
TEL 03-6801-6905/FAX 03-6801-6915
https://www.isshikipub.co.jp/
https://twitter.com/isshiki_shuppan