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もしあなたが、自分の脳を乗っ取られ、相手の意のままに操られるとしたら、
どんな気分だろう??

このような恐ろしいことは想像もしたくないが、
実際、寄生バチ、狩りバチの世界では生きるために
営まれています。

今回は寄生相手を操作する、
ハチたちの面白くも恐ろしい現象を紹介します。

(今回の内容は『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』[前藤薫編著、2020年]をもとにしています)



おはようございます。
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その1 クモヒメバチによるクモの操作

クモは、網にかかった昆虫たちを餌として食すのですから、
餌食となる昆虫にとっては脅威の対象と言えるかもしれません。

そのクモの脅威を逆手にとって、自らの子どもの成長に
利用するのがクモヒメバチです。

「雌バチは寄主のクモに近づいて飛びかかり、産卵管で刺す。
するとクモは電撃的に動けなくなる。」
(第5章 クモヒメバチ、より)
図8.ゴミグモに飛びかかり麻酔をするゴミグモヒメバチ(<em>Reclinervellus tuberculatus</em>)の雌成虫。
その後、クモの脚がちょうど届かない所に卵を産み付けます。

しばらくするとクモは麻痺がとけて、
自由に動けるようになりますが、卵を気にしません。

数日後に幼虫が産まれます。

産まれた直後から幼虫はクモの体液を吸引し、
成長していきます。
図11.ゴミグモの体表で成長するゴミグモヒメバチ(Reclinervellus tuberculatus)の中齢幼虫。
図11.ゴミグモの体表で成長するゴミグモヒメバチ(Reclinervellus tuberculatus)の中齢幼虫。

この後、蛹になるために、安全な場所を確保しなければなりません。
クモの網のうえで蛹になりたくても、
クモがメンテナンスしなければ、網は「あっという間に崩れて」しまいます。

ここで見られる現象が、ハチ幼虫によるクモの操作。

ハチ幼虫は何らかの物質をクモに注入し、
蛹に都合のいい網をクモに作らせます。

その網は「cocoon web」と呼ばれ、
・網サイズの縮小
・粘着糸の減少
・糸本数の減少
といった特徴が複数の種に共通して見られます。

しかも、わずか一晩でcocoon webは作られるようです。

このような構造の網は、雨や落下物が当たりにくく、獲物がかかりにくくなったことで
耐久性が高まるとされます。

その結果、ハチ幼虫は強固になった網で安全に
蛹になることができるようです。

ハチ幼虫によるクモの操作は、幼虫がクモから離れても続き、
しばらくすると次第に効果が薄れて行くようです。

クモ体内で濃度が高いほど、効果が発揮されているようです。



その2 カリヤサムライコマユバチによる操作

トウモロコシの害虫で有名なアワヨトウ。
その幼虫に寄生するのがカリヤサムライコマユバチです。

このハチは先のクモヒメバチのように、
自らの都合のいいように行動させるのとは逆に、
都合のいいように「動けなく」します。
(第6章 内部寄生の謎、より)

このハチ幼虫はアワヨトウ幼虫の体内に寄生します。
体内で成長し、一定期間たつと体内から脱出します。
カリヤサムライコマユバチ3 齢幼虫
図4.アワヨトウ幼虫から脱出しているカリヤサムライコマユバチ3齢幼虫。

その時、体内から自分の体を食い破られているにもかかわらず、
アワヨトウ幼虫はまったく動きません。

寄生されていない時に、試しに針でつついて見ると
「すぐに反応して暴れる」にもかかわらずです。

実はこのハチ幼虫は脱出のとき、
体内で糸を吐きますが、
これがアワヨトウ幼虫の体を内側から縛る
という働きを持っていたためです。

ハチ幼虫が脱出し終わると、
この糸は自然と溶けるようです。

その後、アワヨトウ幼虫は数十センチ前進し、
生き絶えて最後を迎えます。



その3 エメラルドゴキブリバチ

寄生相手を操作することで
最も有名なのは、
エメラルドゴキブリバチではないでしょうか。

寄生バチの特徴の一つには、大アゴが挙げられます。
人間の手足のように使用され、獲物を狩りした時も
巣に持って行くために使用されます。

しかし、持ち帰れないほどの大きな獲物であったらどうでしょう。

エメラルドゴキブリバチは、1回目の毒針による突き刺しで
ゴキブリ幼虫を麻痺させます。

2回目の突き刺しで、脳に毒を注入します。
それによって行動を支配します。

「ゴキブリはハチに触覚を引っ張られると
素直に自らの肢で歩いてハチの巣に向かう」
(第1章 ハチの誕生と進化、より)
とされます。

このような行動操作には、
神経伝達物質であるドーパミンなどか関わっている
とされています。

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『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』
(前藤薫編/324ページ/2800円+税)
https://ws.formzu.net/dist/S93315378/

試し読みは、こちらから。
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オンライン版の試し読み
https://www.isshikipub.co.jp/parasiticwasp-tameshi/



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なお、ハチたちの綺麗な写真が手元にたくさんありますが、
紙の本ではモノクロで掲載になると思います。

巻末のパスワードをつかったオンライン版では、
綺麗なカラー写真、動画も視聴できますので、
本を買った際には、オンライン版を利用することを、
お勧めします。

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また、本では白黒で小さくなった写真も、
カラーぼ高解像写真で見られます。

お手元のスマホやPCで、
いつでも生物の不思議さを体験してみてください。

===編集ちゅう===
・「ヒトゲノム事典」
編集委員による原稿査読の進行中。

・「チョウとガの不思議な世界」
編者とやりとりして、相互査読に入るよう推進中。
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