『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』の読者の方から、
このようなリクエストが届きました。

「キバチやハバチの図鑑、読み物を作って欲しい」

もっと複雑に発達した狩りバチやミツバチのリクエストではなく、
祖先的なハチのリクエストに、少し驚きました。

今回はこのリクエストにお答えするように、
キバチの面白い特徴を取り上げてみたいと思います。

(今回の内容は『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』をもとにしています)



おはようございます。
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1 キバチの特徴とは。


ハバチ、キバチという名前の通り、生活史のなかで葉、木に関わる期間が長くなっているようです。
たとえば産卵。

ヒラタハバチはじめハバチの仲間は、産卵管をノコギリのように使い、
植物に切れ目を入れて、卵を産み付けます。
オオアカズヒラタハバチ
卵塊を保護するオオアカズヒラタハバチ(Cephalcia isshikii)の母親。トウヒの針葉を鋸状の産卵管で切開し、そこに卵の柄を埋め込んで固定する。母親は大あごをかざして天敵から卵を守る。

またクキバチはじめキバチの仲間の成虫は、特別長い産卵管を錐のように使って、
茎や幹に穴を穿ちます。
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図4.トサヤドリキバチ(Ophrynopus tosensis)。腹部に収納された長い産卵管を繰り出して材内に生息する昆虫の幼虫に産卵する、原始的な寄生バチである。写真提供:渡辺恭平。

いずれも、乾燥や外敵などから身を守り、
同時に葉など食事しやすい環境のもとで生育できます。

人間の赤ちゃんが母親のお腹の中で安全かつ栄養に困らず発育できたり、
またカンガルーなど有袋類の赤ちゃんも
母親のお腹で発育できることに似ているかもしれません。

ここで、キバチの中でも際立って特徴的な習性をもつ、
あるキバチについて見てみたいと思います。



2 キノコと共生するキバチの戦略


このキバチは、
我が子の食事のために、木に特別な加工を施します。
(ここからは「9章 キノコとキバチと寄生バチ」[筆者・蔵滿司夢]より紹介します)

このキバチは体内に、菌類をお腹の中に飼っているのです。
parasiticwasp09-04
ヒラアシキバチの腹部解剖図。
マイカンギアの内部に菌糸を確認できる。
写真:松本吏樹郎

この菌類とはキノコの菌糸であり、
産卵時に卵と同時に木の中に産み付けられます。

産み付けるのはそれだけでなく、
木を弱らせる毒液(ミューカス)も打ち込まれます。

こうして木が弱ることでキノコの成長がうながされ、
そのキノコが木質を分解し、キバチの幼虫が食事しやすくなるという仕組みです。

キノコとキバチの共生関係と言えるようです。

このような仕組みは、栄養の少ない、かつ分解の難しい木質部から、
いかに効率的に栄養を摂取するか、その適応の結果と言えるかもしれません。
parasiticwasp09-01
クマノミズキの衰弱木に産卵するクロヒラアシキバチのカップル。

対照的に、菌類と共生していないキバチは、
どのように栄養を摂取しているのでしょうか。

菌類と共生関係のないキバチ、クロヒラアシキバチでは、
あるキノコが生長している樹木を見つけ、
そこに産卵しているようです。

キノコによって木質が分解されているため、
生まれてくる幼虫が食事しやすい環境になっています。

これなら、上述のキバチのように、
自分の中に菌糸を持っていなくても
効率的に栄養摂取できそうですね。




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なお、ハチたちの綺麗な写真が手元にたくさんありますが、
紙の本ではモノクロで掲載になると思います。

巻末のパスワードをつかったオンライン版では、
綺麗なカラー写真、動画も視聴できますので、
本を買った際には、オンライン版を利用することを、
お勧めします。

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一色出版では、動画を含めたオンライン版で、
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また、本では白黒で小さくなった写真も、
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お手元のスマホやPCで、
いつでも生物の不思議さを体験してみてください。

===編集ちゅう===
・「ヒトゲノム事典」
2項目の入稿がありました。原稿は9割りほど揃った印象です。
「21.1 肝機能指標に関わる遺伝子」(杉山真也 国立国際医療研究センター研究所ゲノム医科学プロジェクト副プロジェクト長)
「消化・吸収に関わる遺伝子」(松尾洋孝 防衛医科大学校 分子生体制御学講座)

・「チョウとガの不思議な世界」
編者とやりとりして、相互査読に入るよう推進中。
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