一色出版のサイトでは、定期的に昆虫などの記事をアップしています。
その中で特にアクセス数の多いものに、「昆虫と脳」をテーマにしたものがあります。

寄生バチや狩りバチの不思議な習性、
またミツバチやアリたちの利他的ともみえる行動をみると、
一体、脳の仕組みはどうなっているのか、と考える気持ちもわかります。

今回は、昆虫の脳の特徴を3つ取り出し、
紹介しみようと思います。

(今回は『遺伝子から解き明かす脳の不思議な世界』上川内あづさ、石川由希「第4章 小型でハイスペックな脳の獲得」をもとにしています)



おはようございます。
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その1:極小の脳


人間や他の動物と比べても、特に小さな体をもつ昆虫たち。
このようなサイズの中に、そもそも脳があるのかという疑問もありますが、
頭部にある神経の塊が脳と呼ばれているようです。

よく研究されているショウジョウバエの脳をみてみましょう。
その脳の大きさは、
縦300マイクロメートル、
幅600マイクロメートル、
奥行き200マイクロメートル、
となります。
のイメージ...
ややわかりにくいかもしれませんが、
コピー用紙の厚みにたとえると、
縦・横・幅はそれぞれ3・6・2枚ほどになります。

では、この極小の脳の中で、
どのようなことが起きているのでしょうか。
人間と同じように
学習や記憶が成り立っているのでしょうか。

その2:共同生活を成り立たせる学習や記憶

学習や記憶を支えるものに、
キノコ体と呼ばれるものがあります。

これは昆虫の脳の上側にあって、
文字通り、キノコのような形をしたものです。

この部分が学習や記憶に関わっていることがわかっています。
のイメージ...
特に顕著なのが、ハチの社会の成り立ち。

原始的なハチとされるハバチ、
その次に進化したコマユバチ、
さらに進化したスズメバチなどは、
キノコ体のある部分が段階的に獲得されてきたようです。

ちなみに、このキノコ体のある部分とは、ケニヨン細胞と呼ばれます。
この細胞を段階的に獲得することによって、その行動にも変化が出てきました。

・ケニヨン細胞が1種類のハバチは、単独で行動し、植物食
・ケニヨン細胞が2種類のコマユバチは、単独で行動し、寄生する
・ケニヨン細胞が3種類のオオスズメバチは、巣を作って共同生活し、肉食
スクリーンショット 2020-06-08 11.06.34
このように、段階的にケニヨン細胞が獲得されることによって、
脳で処理できる情報の種類や量が格段に増えたとされます。

ミツバチをはじめ、ハチ・アリ類の脳が発達しているというのはよく知られていますが、
他の昆虫ではどうなのでしょうか。

シロアリの場合をみてみましょう。
(シロアリはアリとは離れた系統の昆虫)

その3:性格を決める脳の中の物質

シロアリもミツバチと同じように、
カーストという分業制が知られています。

そのカーストの中に、兵隊アリがいます。

このアリは大アゴと毒腺といった武器をもち、
外敵に勇敢に立ち向かいます。

最近の研究で、シロアリの脳の中の、
チラミンという物質の量によって、
攻撃的な性格になるか否かがわかってきたようです。

つまり、チラミンの量が多いシロアリほど、
攻撃的になるのです。

試しに、普段は攻撃しない臆病なシロアリに、
このチラミンを投与すると、
「積極的に外敵に攻撃するようになった」とされます。

これとは逆の現象もあるようです。

どういうことかというと、
勝負に負けた個体は、著しく攻撃性を低下させるというものです。

これによって、コストの大きい戦闘という事態を避けて
生き残りができる、「動物の基本的な生存戦略」とされます。

「敗北のトラウマ」という名で知られているようです。

このような攻撃性の低下にも、脳内の物質が関わっています。

たとえば、オクトパミンという物質が多く放出されると、
攻撃性が上昇します。

映画『ラストエンペラー』には、コオロギを戦わせるがありますが、
コオロギでも、このオクトパミンが攻撃性をあげることが知られていました。




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『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』は
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アマゾンや書店への搬入がやや遅れ気味ですが、
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(前藤薫編/324ページ/2800円+税)
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巻末のパスワードをつかったオンライン版では、
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一色出版では、動画を含めたオンライン版で、
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===編集ちゅう===
・「寄生バチと狩りバチの不思議な世界」
ようやく発売しました。
間も無くアマゾンにも反映されます。

・「ヒトゲノム事典」
特に入稿話。
そろそろ編集委員による執筆原稿も必要に。

・「チョウとガの不思議な世界」
初校段階のままですが、相互査読に入るよう推進中。
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