ホタルは夜になると発光することは、ご存知かと思います。
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確かに、明るいうちに発光しても、相手に気づかれにくいですからね。
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では、周囲が暗くなりさえすればホタルは発光するのでしょうか?
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夜ではなくても暗くなるケースとして、皆既日食があります。
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日食とは、太陽の光が月によってさえぎられる現象です。
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中でも皆既日食とは、太陽光が全面的にさえぎられるものです。
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そのため、あたかも夜になったかのように暗くなります。
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ただ、皆既日食を実際に体験できる機会はごく限られているようです。
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直近では2021年12月4日、南極大陸の一部でみられました。
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その次になると2023年4月20日、南インド洋などでみられるようです。
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このように皆既日食じたいがごくわずかな機会に限られています。
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この時のホタルの振る舞いを観測するのは、困難極まるものと予想できますね。
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しかし、この難しい調査にもかかわらず観測できたという、唯一の記録が残されています。
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2017年8月21日、北米での皆既日食の時のことです。
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この時、皆既日食が起きた時刻は、午後1時から2時。
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本来であればホタル(現地の代表種のPhotinus pyralis)はこのような時間帯に発光することはありません。
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では、本来発光しない時間に暗くなったら、このホタルは発光するのでしょうか。
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いずれの地点でも完全に太陽が隠れると、まもなく発光し始めたとされます。
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その後、太陽が出てくると、すみやかに発光をやめたとされます。
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ただし、通常、夜になれば多くの個体が発光するのに対し、
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皆既日食の時は一部の個体のみに発光がみられたようです。
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つまり、「一部の慌てものだけが、夜と勘違いして発光した」と言われます。
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・皆既日食における唯一の観測が2017年8月にあった
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今回の内容は、大場裕一『世界の発光生物:分類・生態・発光メカニズム』(2022年2月、名古屋大学出版会)をもとにしています。
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