昆虫にはさまざまな種類の生態がみられます。

あまり注目されないかもしれませんが、交尾のスタイルにも多様性がみられます。

昆虫たちは一体、どのようなスタイルを進化させてきたのでしょうか。

おはようございます。
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人間を含む哺乳類などでは、精子を直接相手の体内に渡す方法が一般的ですね。

しかし昆虫の、中でも無翅昆虫はそうではありません。

無翅昆虫とは、文字通り翅のない昆虫を指します。
例えば、トビムシ、コムシがいます。

彼らの交尾の仕方をみてみましょう。

彼らは湿気の多いところで暮らしています。

精子の受け渡しも、やはりそのような環境で行われます。

順序としては、まずオスが、小さな滴のような精包を、湿った地面、木片などに置きます。

精包とは精子をつつみ、乾燥から守ったり、栄養源にもなる物質です。

そしてメスがそれを見つけ、生殖口へと拾い上げます。

精子を直接渡すのでなく、間接的にメスに渡っていることがわかりますね。

また交尾のタイミングも、いつでもいいというわけではないようです。

行われるのは、夜や薄暗い時間帯、また雨の日のことが多いようです。

しかし、ここで疑問がわきます。

メスは精包を見つけ出す必要がありますが、見つけられないということもあるのか、という疑問です。

精包から何か特別な匂いが出ていたりするのでしょうか。

この疑問に対する答えは、シンプルなものでした。

彼らは狭い場所にたくさんの個体が一緒に暮らしていることが多いようです。

そのため、見つけ出すことが、割と簡単にできるというカラクリです。

近くに目的のものがあれば、偶然でも見つかる可能性が高そうですね。

とは言っても、小さな精包を見つけるのは困難かもしれません。

保険というわけではないでしょうが、オス自身も1個体あたり100個以上の精包を置きます。

さらに、精包からフェロモンが放出され、メスが見つけやすくなるような仕掛けもとられています。

これで準備万端。あとはメスが見つけてくれるのを待つだけ、、、
と、なればいいのですが、これでも不安になるオスがいるようです。

トビムシの中には、オスがメスを精包までエスコートするものもいるようです。

このオスはハサミのような触覚でメスをつかみます。

この状態で、精包まで連れて行きます。

しかも、これで終わりではありません。

エスコートしたあと、二人はリズミカルにダンスを始めます。

お互いの頭をつきあわせ、回ったり押しあったり、
そしてロマンティックな雰囲気が高まったところで、
メスは精包を生殖口に拾い上げます。
文書名honbun
これで精子の受け渡しが完了となります。

しかし最後に注意点があるようです。

メスが空腹だった場合、精包をそのまま食べてしまうことがあります。

この点は注意が必要のようですね。

まとめますと、
・無翅昆虫では間接的に精子の受け渡しがされる
・精子は精包で包まれ渡される
・中にはメスをエスコートするオスもいる
・婚姻ダンスを経て受け渡す場合もある

次回、有翅昆虫の交尾に触れたいと思います。
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今回の内容は、大場裕一編『昆虫たちの不思議な性の世界』(一色出版、2018)をもとにしています。

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