あけまして、おめでとうございます。

何卒本年も、宜しくお願い申し上げます。

さて前回のメルマガで、あまり注目されない無翅昆虫の交尾について触れました。

今回は有翅昆虫のものについて触れてみたいと思います。



おはようございます。
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無翅昆虫では、間接的に精子の受け渡しが行われました。

例えばトビムシやコムシでは、オスが精包を置いておき、メスが見つけて生殖口に拾い上げる、という方法です。

ここではメスが精包を見つけやすいように、
精包に匂い、フェロモンが放出されるようになっていたり、
オスメスが密度高くいる場所に置いたり、など、
工夫もとられていました。

しかし、直接渡す方が確実かもしれません。

有翅昆虫の場合、直接メスへと渡すものが多いようです。

その際の姿勢、つまり交尾姿勢にはさまざまなスタイルが進化してきました。

多くの哺乳類のように、オスがメスに乗っかる昆虫も多くいます。

しかし、逆にメスがオスに乗っかる場合、
オスメスが横並びになる場合、
オスメスがお互い反対側を向いて行う場合、などにも多様化してきました。

例えば、昆虫の中でも原始的なグループとされる、カゲロウはどうでしょうか。

このカゲロウは見た目にかかわらず、アクロバティックな交尾をします。

まずオスは飛翔しながらメスを探します。

群飛といって、群れになって飛ぶので、相手探しは難しくはありません。

その際に便利なのが、オスの目です。

実はカゲロウのオスには通常の目に加え、別の目を持ちます。

別の目とは、メスを探すためなどに利用される、上向きの目のことです。

この上向きの目を使って、自分の結婚相手を探すわけですね。

では、オスが結婚相手となるメスを見つけると、どうなるのでしょうか。

人間であれ、また他の昆虫であれ、求婚のためにプレゼントを用意したり、ダンスを踊ることがあります。

しかし、このカゲロウはそのような途中の行程はないようです。

相手を見つけたオスは、非常に長くなった前脚を上へと伸ばします。

その前脚でメスの翅の根っこに引っ掛けます。

そして体をえびぞりにして、お尻の方にあるハサミのような部位(把握器)でメスのお腹をつかみます。

把握器で固定された状態で、交尾が行われます。

なかなかアクロバティックかつハードなスタイルですが、
これが最適解として落ち着いたのかもしれません。

なお、カゲロウのオスには陰茎(ペニス)が二つあります。

メスにも生殖口が二つあります。

ヒトも精巣、卵巣は二つありますね。

ヒトの場合、精巣でも卵巣でも、そこから伸びる管(輸精管、輸卵管)は一本にまとまります。

しかしカゲロウの場合、一本にまとまらずに、それぞれの陰茎が直接、ペアとなっている生殖口につながるようになっています。
カゲロウの交尾
同じく飛びながら交尾を、しかもハードな姿勢でするものにトンボがいます。

トンボもカゲロウ同様、やや原始的な昆虫の部類にされます。

トンボでもハードな姿勢の交尾がみられます。

トンボのオスは、腹部の末端、お尻の方から精子を出します。

この精子を直接、メスに渡すわけではありません。

実はトンボのオスの陰茎は、お腹にあります。

これは副性器と呼ばれます。

この副性器にまずは精子を移します。

その後、オスはメスの頭部または胸部をハサミ状の把握器でしっかりつかみ、体勢を固定します。

そしてメスがお腹を折まげ、オスの副性器から精子を受け取ることで、完了となります。

この時のオスメスの形がハート型になることから、
何か人間の恋愛を想像しがちですが、
実はかなり頑張ってお仕事している最中と言えるかもしれません。

なお、トンボの交尾は種によりますが、最短で数秒、最長で6時間ほどかかるものがいるようです。

まとめますと、
・カゲロウ、トンボは飛翔しながら精子の受け渡しを行う
・カゲロウの場合、メスが上になって精子を受け渡す
・トンボの場合、オスは一度、腹部の副性器に精子を移す
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今回の内容は、大場裕一編『昆虫たちの不思議な性の世界』(一色出版、2018)をもとにしています。

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