生き物が光るということに不思議さを感じる人は多いのではないでしょうか。
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人間であれば、電気をつけたり、ライターで火をつけたりして光を発します。
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自分の体の中に、発光するための道具を獲得したといえるかもしれません。
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ではどのような経緯で光るように、発光する道具を獲得するに至ったのでしょうか。
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おはようございます。 一色出版の岩井峰人から配信しています。 (毎週月曜、年中無休配信)
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『光る生き物の科学』(2021、日本評論社)という本を読む機会がありました。
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著者は一色出版の本の著者でもある大場裕一先生という方です。
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ホタルの専門家というイメージが強いですが、発光生物全般にわたり、調査研究をされてきているようです。
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したがい、本書はホタルを主題にしたものと思いがちですが、多くは海の発光生物に割かれています。
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というのも発光生物の76%が海にいるらしく、自然な構成かもしれません。
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発光生物の中でも陸生であるホタルは、ややイレギュラーな存在かもしれません。
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ではそのホタルは、どのような過程を経て、発光するようになったのでしょう。
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この問いは、ホタルの祖先はどのようにルシフェラーゼを獲得したのか、と言い換えられるようです。
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なお、ルシフェラーゼとは、発光を触媒する酵素のことです。
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ルシフェラーゼという発光するための道具をいかに獲得したか、といえそうです。
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そのルシフェラーゼという酵素は、他の酵素から進化したことが知られています。
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ですので、よほど複雑なプロセスを経て、ルシフェラーゼが進化したと思われるかもしれません。
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しかし実際は単純なプロセスでルシフェラーゼに進化したようです。
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そのプロセスとは、わずかなアミノ酸の変異によるものです。
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大規模なゲノム重複などを経ずに、発光酵素を獲得したようですね。
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では、このルシフェラーゼという酵素は、ホタルに特別なものなのでしょうか。
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単純なプロセスによって進化したのならば、他の昆虫にも見られるのではないでしょうか。
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ホタルの他に光る昆虫として、ヒカリコメツキがいます。
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ただ、このヒカリコメツキ、元々祖先では発光していなかったとされます。
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やがて発光する機能を持つのですが、ホタルとは独立に、「ルシフェラーゼを進化させて発光形質を獲得した」ようです。
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ルシフェラーゼの母体とも言えるアシルCoA合成酵素という酵素は並列的にたくさん存在しているとされます。
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その中のあるものがルシフェラーゼに進化したとされます。
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ホタルとヒカリコメツキは別々のアシルCoA合成酵素の遺伝子から、別々に進化したとされます。
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言い換えて、「たまたま同じ仕事に就いた〈いとこ〉同士だった」とも言われます。
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・ホタルは光るための道具としてルシフェラーゼを獲得した
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・他の昆虫もルシフェラーゼを持つが異なる遺伝子から進化した
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今回の内容は、大場裕一『光る生き物の科学』(2021、日本評論社)をもとにしています。
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