コロナ禍のせいか、異性との出会いのためにマッチングアプリが全盛をみているようです。

そこでは、アプリに登録された異性の相手の容姿・年齢・職業・年収・趣味嗜好など、多くの情報が利用されています。

では、昆虫が相手との遭遇そして交尾機会を求める場合、どのような情報を利用しているのでしょうか。



おはようございます。
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異性との遭遇の因果関係について、よく調べられた昆虫にゴマダラカミキリがいるようです。
このゴマダラカミキリをもとに、昆虫が情報利用して行動にうつすことについて触れてみたいと思います。
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ゴマダラカミキリはみかん農家に深刻な害を与えるとも。
ゴマダラカミキリはカンキツ系の木と関係が深いことが知られています。

いくつかの昆虫では、衰弱した木の匂いに誘引されて飛来し、雌雄が出会って交尾が成り立つことが知られています。

しかしカンキツ系のなかでも、衰弱していない生木にゴマダラカミキリは飛来します。

衰弱した木に比べ生木は豊富にあるので、ゴマダラカミキリは同種の異性に出会う確率は低くなります。

ではどのような情報を利用して、オスはメスに遭遇できるのでしょうか。

利用される情報の一つに、匂い物質があります。

この物質はセスキテルペン類といわれます。

ただ、この物質はゴマダラカミキリが幼虫の時から持っているわけではありません。

成長の過程でカンキツ系の木を食すことによって、体に保持していくことがわかっています。

さらに、ゴマダラカミキリがカンキツ系の木をかじる際にも、このセスキテルペンが揮発するようです。

ということは、ゴマダラカミキリにとって、このセスキテルペンを多く放出している木には同種がいる可能性が高くなります。

つまり、このセスキテルペンという物質が同種がいることを知らせる情報として利用されています。

しかし、ある特定の木に同種がいることがわかっただけでは、交尾機会が得られそうにありません。

木のどこに相手がいるのか、特定する必要があるためです。

どのような情報を利用して遭遇にいたるのでしょうか。



ゴマダラカミキリは「負の走地性」という性質をもちます。

これは、本種が斜面を着地すると、上へと登る性質のことです。

オスは木に飛来すると、ほとんどの場合、上へと登っていきます。

これはメスが既に飛来している場合、上に登っていることを前提とした行動のようです。

しかし、これだけではメスに接触できる可能性は低いままです。

さらに別の情報である、匂い物質を利用します。

セスキテルペンという、上で触れた物質をメスは発しています。

この情報をもとに、オスはさらにメスに近づくことができます。

最終的にメスに接触するには、視覚情報が利用されるようです。

視覚といっても、色をもとに識別するわけではありません。

対象のもつ明度、より具体的には背景と対象のコントラストを重要な情報として接触に至ります。

まとめると、
・人間は相手と出会うために、豊富な要素(容姿・年齢・職業など)を組み合わせて利用する

・昆虫特にゴマダラカミキリは交尾機会を得るために、嗅覚(セスキテルペン)、視覚(明度)を順番に利用する

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本文で多く触れられる対象を丁寧に紹介しています
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今回の内容は以下のものをもとにしています。
・深谷緑「無駄の少ないエレガントな情報システム」『昆虫科学が拓く未来』2009、京都大学出版会

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