カマキリは両手のカマをたくみに使い、獲物を捕らえます。

しかし、カマキリでなくてもカマを操り、獲物を捕らえる昆虫がいます。

ハンティングの場所は水田の穂の上。

狭く不安定な場所で、俊敏に飛び回るハンターの正体とは?

おはようございます。
一色出版の岩井峰人から配信しています。
(毎週月曜、年中無休配信)

田の穂がみのる頃、イネの害虫のウンカが現れます。

ウンカはストロー状の口をイネに刺し、吸汁してダメージを与えます。

加害するその力は大きく、局地的にイネが枯れる「坪枯れ」は有名です。

ではイネが生い茂る田の中で、ウンカが酒池肉林の栄華に浸っているかというと、そうではありません。

このウンカを獲物とするのが、今回のハンターの正体、カマバチです。
カマバチ写真
クリックして拡大
クロハラカマバチのメス(左)、オス(右)
有剣類といって、スズメバチ、ミツバチと同じグループ。
その中の、セイボウ上科に属するのがカマバチ科。

カマというからには、大きく鋭利な武器を持っているかというと、そうではないようです。
少なくとも、カマキリのものとは相当に異なります。
私が見た限り、カマというより製氷屋さんで昔にみた氷鉤(こおりかぎ)。

獲物はウンカ、ヨコバイ類ですから、大きなカマである必要はなかったかもしれません。

この鉤を獲物の体表に引っ掛け、乗っかります。

このカマを持つのはメスだけです。
獲物を食べるならばオスメス関係ないはずですが、、、なぜでしょうか?

カマキリとは違い、ウンカなどを捕らえて、卵を生みつけます。
つまり、寄生というわけです。
卵を産みつけないオスには、カマが発達しなかったということですね。

ウンカの脇腹、背中など、種によりますが、寄生相手がふり落とせない所に、狙って卵を生みつけます。

孵化した幼虫は寄生相手の栄養たっぷりの体液を吸い取り、成長していきます。

やがて相手がカラカラになるまで飲み干すと、イネ上で、また土の中で繭を作ります。

まとめますと、
・カマバチはカマというより小さな鉤爪でウンカ、ヨコバイを捕らえる。
・カマを持つのはメスだけ。
・獲物の体表に卵を生みつけ、寄生する。
・幼虫は寄生相手を吸汁し成長する。
---------------------------
今回の内容は以下のものをもとにしています。
・前藤薫編著『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』2019、一色出版

===========================================
バックナンバーはこちらから
https://www.isshikipub.co.jp/mailmagazine-archive/
===========================================
『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』前藤薫(編著)、2800円+税、オンライン版付き
『遺伝子から解き明かす脳の不思議な世界』滋野修一・野村真・村上安則(編著)、4500円+税、オンライン版付き
『遺伝子から解き明かす性の不思議な世界』田中実(編著)、4500円+税、オンライン版付き
『遺伝子から解き明かす魚の不思議な世界』神田真司(編著)、4500円+税、オンライン版付き
『遺伝子から解き明かす鳥の不思議な世界』上田恵介(編)、4500円+税、オンライン版付き
『ヒトゲノム事典』斎藤成也他(編著)、12,000円+税、オンライン版付き

https://ws.formzu.net/dist/S93315378/

今日のメルマガはいかがでしたか?
ほんの一言、率直なご感想をこのメールに
返信いただけましたら次回からの執筆に反映させていただきます。
(メルマガは毎週月曜にお届けしています)
返信用のアドレスは下のリンクです。
miwai@isshikipub.co.jp

*********
メールマガジンの解除は下の「購読中止」をクリックください
*********
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
株式会社 一色出版 Isshiki publishing
岩井峰人Iwai Minehito
〒112-0001 東京都文京区白山2-2-6 -402
TEL 03-6801-6905/FAX 03-6801-6915
https://www.isshikipub.co.jp/
https://twitter.com/isshiki_shuppan
facebook twitter