6月18日の土曜にオンライン開催された「ムシを極める!」(昆虫科学連合・日本学術会議シンポジウム)はご覧になったでしょうか。
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今回はこのシンポジウムの中で、印象的な話題を紹介したいと思います。
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最初の印象的な話題は、日本を代表する映画の主役が登場です。
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こう聞くと地上の葉を思い浮かべますが、葉は地上だけではありません。
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他のガが見向きもしない水辺にいるのは、浮き草が目的です。
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「ミズメイガ」とつく通り、水中暮らしがライフスタイルの一部になっています。
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このガは、そんな面倒をせずに、「気管鰓(きかんえら)」を使って呼吸します。
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鰓のおかげもあって、スイレンやハスなど、人間にもお馴染みの水辺の草を食しているようです。
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水中生活なので、陸生の天敵から隠れやすいというメリットも。
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しかし、水中で隠れていても安心というわけではありません。
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ミズメイガ幼虫に水の中から迫ってくる生き物は、あの大怪獣ゴジラの名を冠する寄生バチ。
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「ゴジラサムライコマユバチ」が潜水してまで、このミズメイガ幼虫を襲います。
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このゴジラサムライコマユバチは、発見され水中に逃げ込むガ幼虫に対し、
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潜水して追いかけ、水の中から水面へと追いやります。
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水面でガ幼虫の背中にのり、産卵管をさして寄生する、という戦術です。
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水中だけでなく、空中でも奇妙な寄生方法を持つ寄生バチもいます。
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寄生バチの一種、ホシガタハラホソコマユバチ(Meteorus stellatus)。
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この寄生バチは寄生相手の体内から脱出すると、糸を出して、
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秋から冬にかけ、各地でたくさんの干し柿が軒先に垂れ下がるのが見られます。
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この寄生バチの幼虫は、この干し柿のごとく、多くの個体が集団になってぶら下がります。
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しかも、とても狭い範囲に、押し合いへし合い、垂れ下がります。
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もっと広い範囲に散らばった方が、まゆを作りやすいのでは?
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しかし、狭い範囲にギュウギュウにいることは外せません。
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なぜなら、この寄生バチ幼虫は「集合まゆ」を作るからです。
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集合まゆとは、数十から100以上の個体が集まって作るまゆのこと。
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この「風まかせ」は比喩ではなく文字通りの意味です。
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風に揺らされたハチ幼虫たちは、お互い絡み合います。
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わずかな気流がないと、きちんと集合できないようです。
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絡み合い、形の整えた結果、コンペイトウの形をした集合まゆが出来上がります。
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わざわざコンペイトウの形にするのは意味があります。
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上記の2種のハチのように「面白い昆虫、現象を見つけるコツは?」という質問に対し、
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「一人で地道に探してもできない。アンテナを高く立てていろんな人からの情報をキャッチすること。情報の分析を得意な人たちにお願いすること」とされていました(前藤薫先生)。
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また、好蟻性昆虫を見つけるコツは?という質問に対し、
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「ひたすら行列を眺める。アリ何千匹に好蟻性昆虫一匹という割合。集中切らさず見続ける」とされていました(丸山宗利先生)。
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・ゴジラサムライコマユバチは潜水してガ幼虫を水面に追いやり寄生する
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・ホシガタハラホソコマユバチ幼虫は多くの個体が集まって集合まゆを作る
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今回の内容は、「ムシを極める!」(昆虫科学連合・日本学術会議シンポジウム、2022年6月18日)をもとにしています。
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- 『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』前藤薫(編著)、2020年、324ページ、オンライン版付き
- 『遺伝子から解き明かす脳の不思議な世界』滋野修一・野村真・村上安則(編著)、2018年、520ページ、オンライン版付き
- 『遺伝子から解き明かす性の不思議な世界』田中実(編著)、2019年、544ページ、オンライン版付き
- 『遺伝子から解き明かす魚の不思議な世界』神田真司(編著)、2019年、480ページ、オンライン版付き
- 『遺伝子から解き明かす鳥の不思議な世界』上田恵介(編)、2019年、432ページ、オンライン版付き
- 『ヒトゲノム事典』斎藤成也他(編著)、2021年、448ページ、オンライン版付き
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