しかし、宇宙空間に生身でさらされ、31カ月間も生存できる昆虫がいます。
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極端な環境でも生存できる生き物に、クマムシがあげられます。
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クマムシも宇宙空間での実験で生存できることが確認されています。
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そのクマムシと同様の能力を持つ昆虫が、ネムリユスリカ。
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クマムシに比べ、10倍以上の体長を持つカの一種です。
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岩山に点在する小さな水たまりにネムリユスリカの幼虫が確認されます。
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この幼虫は、脳・心臓・脂肪体(人間でいう肝臓)・消化管など、人間と同じような臓器を持ちます。
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このネムリユスリカ幼虫は、その臓器を乾燥したまま、17年間、生存できることが知られています。
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このときネムリユスリカ幼虫は、ほぼ完全な脱水、かつ無代謝です。
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カの幼虫が17年間も生きられること自体おどろきですね。
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このように乾燥状態でも長期間生存できる能力は「クリプトビオシス」と呼ばれます。
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ネムリユスリカ以外に、クマムシ、ワムシなどで確認されているようです。
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なぜ、17年間の臓器乾燥からの蘇生が可能になるのでしょうか?
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ネムリユスリカ幼虫は体内に大量のトレハロースを持ちます。
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そのため、水を代替するものとして体内で活躍します。
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なお、トレハロースが活躍するのは昆虫に限ったことではないようです。
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高い保水力は、人間の使う化粧水にも利用されています。
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さらに、乾燥シイタケ内には約20%のトレハロースが含まれます。
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だから水で戻すと柔らかい状態になるというようです。
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17年間の乾燥から蘇生できる理由がトレハロースにあるのはわかりましたが、
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31カ月も宇宙空間にさらされて生存できるのはなぜでしょうか?
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地上で31カ月という長期間、高温にいるとネムリユスリカ幼虫は生きていられません。
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というのは、宇宙空間には酸素も水もない、ためとされます。
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生き物に必須の酸素・水がないおかげで、生体を保護するトレハロースの酸化が起こらないためとされます。
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・ネムリユスリカは17年という長期間の乾燥から蘇生できる
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・乾燥からの蘇生はクリプトビオシスと呼ばれクマムシなどでも確認
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・宇宙空間ではトレハロースが酸化されないので31カ月の暴露から蘇生できる
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今回の内容は、田付貞洋他『アフリカ昆虫学』(2019年、海游舎)をもとにしています。
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