クワガタムシはオス同士で大あご使って戦いますね。
餌場をめぐる争いで活躍します。

ただ決闘で大あごを使うのはクワガタムシに限りません。

狩りバチでも、クワガタ同様、大あごを使って戦われているようです。

おはようございます。
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オオキバドロバチは主にカメルーンにすむ大型の狩りバチ。

大あごを含めると、4センチ以上になるものもいるとされます。
日本で見られるオオスズメバチが4センチ前後ですので、
狩りバチとしては相当に大型です。

オオキバドロバチは「狩り」バチの名にふさわしく、この大あごを使って獲物を捕まえます……

ということはないようですね。

オスだけが持つこの大あごは、
メスを奪い合うための武器として使われます。

決闘の場面を見てみましょう。

舞台は、まもなくメスが生まれてくる巣。

巣から出てくるメスと一番に交尾しようと、多くのオスが決戦場へと飛来します。

飛翔するときなど、普段は邪魔でしかない大あご。
侍の刀のごとく、決闘のために、いよいよ使うときです。

自分の子孫を残すための真剣勝負。

巣にぶら下り、または飛翔して、4〜5個体のにらみ合いがしばらく続きます。

その後、あるきっかけによって、決闘が始まります。

きっかけとは、巣から伝わる振動。

羽化直前の蛹が動くことで、泥で作られた巣に振動が起きます。

それを感知したオスが、羽化の近いことを察するようです。

さて決闘は、他の昆虫や動物で見られるような、「武器が大きいオスに相手が降伏する」という、形式的な戦いではありません。

生死をかけて侍同士が切り合うように、オスたちは激しく戦います。

大あごを使った取っ組み合い、巣に近づく相手を投げ飛ばす。

ここでクワガタムシと異なるのは、ハチの飛翔能力が発達していることです。

飛ぶことに優れたハチ相手に、「投げ飛ばす」意味はあるのでしょうか。

投げ飛ばされたハチは、やはり飛んで決戦場に戻ってきます。

投げられては飛んで戻り、投げられては飛んで戻り、
最終的には体力勝負という面が強いようです。

勝ち残ったオスが、羽化直後のメスとはれて交尾に至ります。

では敗れたオスは子孫を残すチャンスがないのでしょうか。

そこまで残酷な決闘ではなかったようです。

決闘の最中でも、オスは複数へと巣に行ったり来たりします。

複数の巣でメスが羽化するタイミングを見計らっています。

同時に、自分が勝ち残れそうな決戦場を探しているわけです。

まとめますと、
・カメルーンのオオキバドロバチは大あごを使ってオス同士争う
・大あごを使って投げ飛ばすものの飛んで戻ってくる
・勝敗は体力勝負の面が強い
・オスは複数の巣で交尾のチャンスをうかがう
今回の内容は、田付貞洋他『アフリカ昆虫学』(2019年、海游舎)をもとにしています。


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