アギトアリがアゴを閉じるスピードは動物界トップクラス。

捕食のとき、またはアリジゴクの巣穴から脱出するときもこのアゴは活躍します。

アゴで地面を叩き、自らを巣穴から弾き飛ばします。

自分を弾き飛ばすほどの威力をもつアゴは、自重500倍のものまで持ち上げられるとされます。

このようなことに触れ、「昆虫は大変な力持ち」とよく言われます。

この表現は果たしてふさわしいのでしょうか。

おはようございます。
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こういう時、比較対象として人間を思い浮かべているかもしれません。

自分の体重より500倍のものなど、人間が持ち上げるのは到底無理でしょう。 

一方でアリは自分よりはるかに大きい獲物を運んでいる、と。

これまで非同期型、飛翔筋などに触れましたが、
筋肉の質が異なるのでしょうか。

人間、昆虫、いずれも力を出しているのはミオシンというタンパク質が鍵となるとされます。

このミオシンの性質は、両者で異なることはないようです。

では、どこが違うのでしょうか。

これは体重と筋肉の関係に由来しているようです。

体重は体長の3乗に比例するとされます。
もし体長が半分になったら、2分の1の3乗、つまり8分の1の体重になります。

一方、筋肉は体長の2乗に比例するとされます。
もし体長が半分になったら、2分の1の2乗、つまり4分の1になります。

ここで「筋肉」と言っているのは、筋肉の断面積のことです。
筋肉の力は断面積に比例するとされます。

体重は8分の1になったのに、筋肉は4分の1になるのであれば、
自重の2倍のものを持ち上げられるといえそうです。

同じように考えると、
身長が100分の1になれば、
自重の100倍のものを持ち上げられるようになります。

あくまで理論上の話ですが、
こう計算すると、昆虫がなぜ怪力なのか、その不思議がわかりそうですね。

まとめますと、
・筋力は筋肉の断面積に比例する
・体長が半分になると体重は8分の1に、筋肉は4分の1になる
・体長が小さくなっても体重が減るほどは筋肉は減らない
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今回の内容は、岩本裕之『昆虫たちのすごい筋肉』(2019年、裳華房をもとにしています。

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