さて、その衣服はどれくれい古い時代から人間は身につけ始めたのでしょうか。
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これを究明するには、考古学や人類学な手法が考えられます。
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一方で、意昆虫進化の視点から迫る研究も盛んにされました。
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昆虫進化と衣服の起源には、どのような関係が考えられるのでしょうか。
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人間の暮らしには、いろいろな昆虫が関わっています。
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中にはありがたくない昆虫がいることも知られています。
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衣服に関わりの深い昆虫に、コロモジラミ(Pediculus humanus)が挙げられそうです。
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衣服の起源論争の主役となったコロモジラミ。さまざまな領域の塩基配列によると、アタマジラミから派生したとされている。
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下着類などに寄生し、吸血の際に感染症を媒介する、2から4mという小ささの、ありがたくない昆虫ですね。
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では、このコロモジラミの何を調べることによって、衣服の起源がわかるのでしょうか。
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したがって、コロモジラミの生まれる前には、衣服が存在したはずです。
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このコロモジラミが誕生した時期、言い換えて、系統進化上の分岐時期を調べることで、衣服の起源のヒントになりそうです。
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では、コロモジラミは、いつ頃誕生したのでしょうか。
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実は、コロモジラミと衣服の関係については複数の研究報告があり、世界的にも注目されたようです。
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2003年の報告によると、まずシラミの祖先は人間の頭に寄生したとされます。
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その後、コロモジラミが派生的に分かれたとされます。
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2004年の報告では、現代のヒトつまりホモサピエンスに寄生するコロモジラミとは別に、古いヒト属であるホモエレクトス(190から70万年前に生息)に寄生する別種がいたとされます。
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2005年の報告によると、派生的に分岐したのではなく、独立にコロモジラミが生まれたとされます。
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このように、この研究テーマはまだ一つの決着には至っていないようです。
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2013年の報告では、コロモジラミの生まれた年代を、51万から11万年前と推定しています。
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では、衣服を身につけたのは、いつ頃になるのでしょうか。
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コロモジラミの分岐年代をもとに考えると、およそ50万から10万年前ということになるでしょうか。
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アバウトな数字になっていますが、このテーマの混沌とした様子を表しているかもしれません。
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今回の内容は東城幸治「ヒトジラミ」『遺伝子から解き明かす昆虫の不思議な世界』をもとにしています。
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