以前は腕時計をしている人が多かったと思います。

しかし今ではスマホが普及し、これで時間をみる人が増えているようです。

いずれにしろ、1日の生活に時計は必須と言えるでしょう。

一方で、決まったタイミングで行われる昆虫の行動があります。

昆虫はどのような時計を使っているのでしょうか。

おはようございます。
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羽化は昆虫の生涯でただ一度きりのもの。

失敗できません。

慎重にいきたいところです。

この時に重要になるのが羽化のタイミング。

アゲハチョウは日の出前後。

セミは夕方6時ころから2、3時間。

トンボの多くは日没後、数時間で羽化します。

このように羽化のタイミングは早朝、夕方に集中しています。

これはこの時間帯が涼しく、湿度が高いためです。

もし逆に暑く、乾燥していると、どうなるでしょうか。

体を作っているクチクラは、羽化の直前は乾いています。

そのため体内の水分は失われやすい状態です。

乾燥していたらうまく翅を広げられません。

それに暑ければ脱水の危機にさらされます。

大事なライフイベントの成功のため、
昆虫は日の出・日の入りという周期を記憶しています。

記憶された周期は、羽化時計という体内時計によって保存されます。

日の出・日の入りという日の動きをもとにする羽化時計は、
多くの昆虫にとって一生を左右する大事な仕組みのようですね。

しかし他方では、日の出・日の入りにあまり影響されない昆虫もいます。

何が最も大事なのでしょうか。

マングローブスズは文字通りマングローブの林にすむ、東アジアで見られるコオロギです。

マングローブ林は満潮のとき、海水につかってしまいます。

このような状態ではマングローブスズは地表で活動できません。

そのため満潮のときは海水につからない場所、高いところに避難しています。

地表があらわになる干潮のときに地表で活動できます。

このような生活をするマングローブスズにとっては、日の出・日の入りよりも重要な周期が
潮の満ち引きです。

マングローブスズはこの潮の満ち引きのリズムを計る仕組み、体内時計を自分のうちに持っているようです。

この時計は潮が引いたときだけマングローブスズが活動的になるよう設定されています。

日の動きよりも潮の満ち引きで活動時間が決まるのですから、
潮汐を計る体内時計が最も大事というのもうなずけます。

さらに、潮汐を計る時計が大事というのを証拠づける実験が行われました。

実験的に、日の出・日の入りを計る体内時計が働かなくなるようにしました。

しかし、潮汐を計る体内時計は働いています。

これによってマングローブスズは生活を維持できるようです。

まとめますと、
・羽化という大事なライフイベントのために羽化時計が設定
・羽化時計は日の出・日の入りをもとに設定されている
・マングローブスズは干潮にのみ地表で活動
・生活サイクルを維持するのに潮汐を計る体内時計を持つ
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今回の内容は、沼田英治編『昆虫の時計』(H26年、北隆館をもとにしています。

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