昆虫の大きな特徴の一つに、蛹(さなぎ)になることが挙げられると思います。
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では、外側からはうかがい知れない蛹の内側で、どのようなことが起きているのでしょうか。
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蛹を経て成虫になる昆虫を完全変態昆虫といいますね。
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完全変態昆虫は昆虫の種数の80%を占めるとされています。
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これほどまで種数を増やした完全変態昆虫の繁栄の要因には、何が挙げられるでしょう。
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多くの専門家からは、幼虫の時に完全に摂食に専念できる、幼虫と成虫とで餌の競合が起きない、などの点が挙げられています。
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一方、あまり話題にされませんが、そのほかに蛹を経ることには大きなメリットが2点あります。
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特にこのことは、「進化型」の完全変態昆虫において指摘されます。
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進化型の完全変態昆虫とは、例えばハエやチョウのことです。
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この2グループ、何が違うかというと、成虫になるための準備をする時期です。
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祖先型は蛹の段階になってはじめて、成虫への準備が体内で始まります。
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しかし、進化型では、幼虫の初期のころから、すでに成虫への準備が始まっています。
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準備というのは、すでに成虫に分化するもととなる細胞群があるという意味です。
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成虫原基は幼虫の成長と一緒に発育し、成虫の組織へと分化していきます。
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翅、複眼など成虫の組織が幼虫の成長と一緒に分化していくということですね。
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さて、蛹の大きな役割の2点めには、大型化への成長が挙げられています。
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つまり成長不良を起こさずに、きちんと標準的な体サイズの成虫になるということです。
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ここで活躍するのが「幼若ホルモン」と「エクダイソン」というホルモンたちです。
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エクダイソンは別名「脱皮ホルモン」とも呼ばれており、
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彼が蛹の段階での主役といってもいいかもしれません。
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対して幼若ホルモンは主役とは異なりますが、大切な役柄を持つ名脇役といえるでしょう。
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・蛹には祖先型と進化型という2グループが挙げられる
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・蛹がきちんと成長するには幼若ホルモンとエクダイソンの活躍が必要
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今回の内容は、比留間潔「栄養と幼若ホルモンによる成虫原基の発育調節」(日本応用動物昆虫学会誌、62巻3号)をもとにしています。
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