台風シーズンが到来し、今日明日にもやって来るようです。
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このような時、陸に暮らす昆虫たちは大きな影響を受けるかもしれません。
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巣がこわれたり、浸水したり、想像にかたくないですね。
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では海に暮らす昆虫は、どのような影響を受けるのでしょう。
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といっても、海の昆虫を思い浮かべるのは難しいかもしれません。
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彼らは、今回のような台風のとき、そして陸から遠く離れた海で、どのように暮らしているのでしょうか。
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この中のほとんどは汽水域や池など淡水で暮らしていますが、65種ほどが海水で暮らしているとされています。
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波のある海で暮らすのは大変そうですが、この中でも陸から遠く離れた外洋に暮らすものもいるようです。
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強い日差しにさらされ、エサも少なく、嵐では大波にもまれるという過酷な環境です。
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わずかな種数のようですが、いること自体に少し驚きませんか。
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彼らはそこで、どのように暮らしているのでしょうか。
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何を食べ、どのように子を増やし、また嵐のときに沈んでしまうことなど、ないのでしょうか。
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有名な話ですが、アメンボが浮いていられるのは、足先にある豊富な毛のおかげです。
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着水したとき、水面につく面積が、毛の束がない状態よりも300倍にも増えることがわかっています。
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十分な面積を持てば表面張力が大いに働き、浮いていられるということですね。
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雪国で使われていたカンジキのような働きともいえそうです。
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また、仮に沈んでしまっても、「酸素ボンベ」によって、ある程度の時間は水中で呼吸ができるようです。
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この酸素ボンベとは、体中に生えた毛に酸素を取り込み、体の周りに空気を抱え込んでいることを指しています。
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1985年に報告された実験では、17時間も潜水していたアメンボがいたとされます。
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このように、浮くための特殊な構造をもったアメンボですが、死んでしまう大きな原因に溺死があります。
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通常はここから油が出てきて、脚先にすりつけて、浮く力に利用しています。
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若いときはいいのですが、老いてくると問題発生となります。
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最終的には沈んでしまい、溺死にいたるという結末です。悲さんです。
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毛による着水面積の確保と油によって浮くことはわかりました。
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東インド洋には、ツヤウミアメンボという種が暮らしています。
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このアメンボにハダカイワシを与え、食べるかどうかという実験が、2008年に行われました。
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イワシを与えたとたん、20ほどのツヤウミアメンボがいっせいに集まり、めいめい口器をイワシに突き刺しました。
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その20分後にはイワシが、「1mmほどの幅のヒモ状の食べ残しのみとなっていた」と報告されています。
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カメムシの仲間であるアメンボは、針のような口を持っています。
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そして口から消化液を相手に流し込んで消化するとされます。
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小さな稚魚だったようですが、アメンボのどん欲な食性がうかがわれます。
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では、ツヤウミアメンボは小魚を食べているのか、というと、そういうことではないようです。
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なにせ、アメンボが潜る姿は誰も見ていないようです。
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実際には、何を食べているのかは、きちんと調べきれていないとされています。
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わかっている限りではおそらく、動物プランクトンでは、と言われています。
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不明も多いウミアメンボですが、子の増やしかたは知られています。
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ウミアメンボが卵を生みつけるものは、海をただよう流木、プラスチックの容器、ロープなど、利用できるものは何でも利用する、という作戦です。
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そもそもオスメスが出会う必要がありますが、広い海洋のなかで、どのように出会うのでしょう。
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出会う確率を特別な理論で計算すると、1平方kmに100匹のとき(これは少ない密度を意味します)、1日に約10回とされます。
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海洋で出会うというと、限りなくゼロに近いイメージですが、意外と出会いのチャンスはあります。
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・原田哲夫他「外洋棲ウミアメンボ類の特性、分布、耐性」大庭伸也編『水生半翅昆虫の生物学』2018、北隆館
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