※今回の話題はメルマガ会員の方からのリクエストに基づいています。
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「シイタケ栽培」と聞いたとき、どういうシーンを思い浮かべますか?
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「短く伐採された木から生えているシイタケ」というシーンではないでしょうか。
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しかし近年では、室内でシイタケを栽培することが多くなっているようです。
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温度・湿度が管理された建物の中で、クヌギやコナラなどのおが粉を固めたブロックを用いて栽培されています。
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これによって、高品質のシイタケが、効率よく栽培されるようです。
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ただ、これが理想的かというとそうでもないようです。
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どうやら、「周囲から隔離された空間」という点にウィークポイントがあるようです。
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例えば、室内に何らかの原因で害虫が侵入するとします。
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その虫にとっては天敵がいなくて、自由な活動、旺盛な繁殖が可能な、まさに楽園といえる状態です。
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このような事態を防ぐために、一体どのような対策があるのでしょうか。
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シイタケに被害を与える害虫に、キノコバエ(Neoempheria spp)がいます。
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「周囲から隔離された空間」であるシイタケ栽培の建物にこのハエが入るとどうなるでしょうか。
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答えは上記の通り、爆発的な勢いで増殖していきます。
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ただ、このような菌床シイタケ栽培では、キノコバエに使用可能な農薬が登録されていないようです。
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他にも対策はあるようですが、近年、研究が進められているのが寄生バチによるもの。
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この寄生バチは和名をシイタケハエヒメバチといいます。
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この寄生バチの母バチはハエ幼虫を見つけると、お腹を曲げながら近寄ります。
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そして幼虫に馬乗りになり、産卵管を幼虫の体に突き刺して卵を産みつけます。
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ただキノコバエ幼虫もやられてばかりではないようです。
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しかし母バチはしつこく産卵管を突き刺して卵を産みつけます。
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必死の抵抗もむなしく、やがて幼虫は動きが止まります。
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動きが止まるのは、神経系を一時的に麻痺させる毒成分によるもの。
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幼虫はしばらくすると再び動き出し、何ごともなかったように餌を食べ始めます。
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その後ハエ幼虫は成長し、寄生バチ幼虫はその体内で、同じく成長を続けていきます。
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やがてハエ幼虫が十分に成長すると、キノコからはキノコバエでなくシイタケハエヒメバチがでてきます。
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シイタケハエヒメバチがハエ幼虫の臓器をエサにして成虫になったわけですね。
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実験的に、シイタケハエヒメバチをキノコバエが入り込んだ室内にはなしました。
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その結果、キノコバエは30分の1以上に激減したということです。
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高い防除効果が示されたことで、今後の防除手法として注目されているようです。
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・室内でのシイタケ栽培では害虫の爆発的な繁殖という危険がある
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・シイタケハエヒメバチの寄生によってハエを激減させられる
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・前藤薫編『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』2020年
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