1920年代に国民的英雄として称揚される下層民出身スポーツ選手が相次いで登場したことは、スポーツの大衆化が十全なレジティマシーを獲得したことの象徴である。「パンパの暴れ牛」の異名を取ったアルゼンチンのヘヴィー級ボクサー、ルイス=アンヘル・フィルポは、近隣諸国でタイトルを総なめにした後米国ツアーを敢行した。とりわけ1923年ニューヨークで当時のチャンピオン、ジャック・デンプシーと行なった試合は南北アメリカ大陸全土から大きな注目を浴び、フィルポが最終的に惜敗するものの、今も「世紀の一戦」として語り継がれる名勝負とされている。